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巨匠ワイダ監督の新作は、主演女優の夫にささげたレクイエム

第59回ベルリン国際映画祭

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記者会見に臨むアンジェイ・ワイダ監督
記者会見に臨むアンジェイ・ワイダ監督 - Anita Bugge / WireImage / Getty Images

 2月13日夜(現地時間)、ベルリン国際映画祭で映画『スウィート・ラッシュ』(英題)のワールドプレミアが開催され、アンジェイ・ワイダ監督や出演者らが出席した会見で、主演女優が参加できない痛ましい理由が映画の秘密とともに明かされた。

第59回ベルリン国際映画祭コンペ作写真入り

 コンペティション参加の本作は、主演女優のクリスティナ・ヤンダの独白で始まる。実際のクリスティナと、彼女が主役のマルタを演じる『スウィート・ラッシュ』(英題)の、二重構造となっている。ドラマが進行しながら、途中でそれを撮影するスタッフまで映り込んでくるといった具合だ。当初は死をテーマにしたドラマとして始まったという本作は、製作開始後、クリスティナの夫が死に至る病に侵されていることが発覚するという現実の出来事を映画に取り入れる形となったことが、ワイダ監督から説明された。ドラマの中でマルタの夫の医師を務めたジャン・イングラートは「彼女にとって会見で答えるのは、大きな痛みを伴うことだ」と主演女優不在の理由を述べた。

 若さと死の対比、取り返しのつかない喪失が描かれた本作は、演技であることを明かしながら話が進むドラマの中の死でさえ、重みを持って迫ってくる力強い作品だ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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