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故・井上ひさしさんの舞台「キネマの天地」が25年ぶりに再演!大和田獏、岡江久美子夫妻の娘大和田美帆に注目!

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大和田獏、岡江久美子夫妻の娘で田中小春を演じる大和田美帆
大和田獏、岡江久美子夫妻の娘で田中小春を演じる大和田美帆

 4日、新宿の紀伊國屋サザンシアターで第95回こまつ座公演「キネマの天地」公開舞台けいこが行われ、9月5日の初日を前に、故・井上ひさしさんの舞台が25年ぶりに公の場で披露された。

 1986年に松竹大船撮影所50周年企画として封切られた映画『キネマの天地』は、監督に山田洋次、脚本に井上ひさし、山田洋次、山田太一、浅間義隆が参加した青春ドラマ。映画版は、松竹蒲田撮影所を舞台に、往年の名女優・田中絹代がモデルと思われる主人公の女優・田中小春(映画版は有森也実主演)が映画スターになるまでを描く青春ドラマ。斎藤寅次郎、島津保次郎、小津安二郎など、1930年代松竹蒲田で活躍した監督をモデルとした人物たちが登場するなど、映画愛にあふれた内容となっていた。

 実は映画版が公開された1986年、その映画版の続編として井上ひさし作・演出による舞台版が日生劇場で上演されており、その舞台版「キネマの天地」を25年ぶりに再演するのが今回のこまつ座公演である。物語は、「K.T.に殺される」といって死んでいった1年前の女優毒殺事件の真犯人を追及するために、万年下積みの老俳優を刑事役に仕立てて、「真犯人追及劇」を小倉監督が仕込むところから始まる。容疑者は立花かず子(麻実れい)、徳川駒子(三田和代)、滝沢菊江(秋山菜津子)、田中小春(大和田美帆)という「K.T.」というイニシャルを持つ4人の女優たち。やがてその芝居の行方はどんでん返しに次ぐどんでん返しを迎える……という内容となる。

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 娘役で人気沸騰中の若手スター田中小春を演じる大和田は、「殺人事件の犯人追及劇の間に見られるキネマという輝かしい世界の光と影や、客席から観たら笑っていただけるようなスター女優たちの嫌味合戦など、見どころはたくさんです。舞台界の素晴らしい先輩方の中でキネマの世界を生きたいと思います」と意気込みを語る。大和田獏、岡江久美子夫妻の娘としてデビューした大和田は、今や舞台女優として確固たる地位を確立している。本舞台でも、快活でどこか憎めないような末っ子的な気質を持つ女優・田中小春役を好演。映画版とは違った魅力を振りまいていた。

 本舞台では、松竹蒲田期待の若手女優の田中小春、助監督の島田健二郎、小春を女優に抜擢した小倉虎吉郎監督の3名が映画版に引き続き登場。青春映画としての側面の強かったドラマ版とはうって変わって、女優4人と監督、助監督、そして刑事役にふんする大部屋老役者の7人による二幕構成の推理劇として描かれている。「母もの映画」の大スター徳川駒子を演じる三田和代は「時代や社会批判が重いテーマとして作品に潜んでいるのが井上作品の特徴ですが、これは演劇論、俳優論に徹した珍しい作品です。芝居に対する作家の愛と祈りを感じます」と本作について解説。晩年まで映画館に通い続け、映画に多大なる愛情を注ぎ続けた井上さん流の映画愛が非常に強く感じられる映画賛歌・俳優賛歌となっている。(取材・文:壬生智裕)

第95回こまつ座公演「キネマの天地」は9月5日から10月1日まで紀伊國屋サザンシアターで上演予定(以後、大阪、岩手、山形でも上演予定あり)

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