ADVERTISEMENT

寺島進、俳優志望の若者たちにアドバイス!! いぶし銀の芝居を裏付ける俳優哲学をじっくり語る!!

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
不器用でも、若者たちにまっすぐなアドバイスを与えた寺島進
不器用でも、若者たちにまっすぐなアドバイスを与えた寺島進

 20日、渋谷の映画美学校において、アクターズ・コース公開講座「映画俳優との対話」第4回が行われ、俳優の寺島進が俳優志望の若者たちと、自らの演技について語り合った。

 本講座は、映画美学校アクターズ・コースのカリキュラムの一環として行われる有料イベント。映画俳優をゲストに迎え、対話形式でこれまでの経験や演技に対する考えを聞くという内容は、さしずめ米の名物番組「アクターズ・スタジオ・インタビュー」の日本版といったおもむき。これまでも嶋田久作塩見三省光石研といった実力派が参加し、その演技の神髄に触れることのできる貴重な機会となっている。この日寺島は、篠崎誠監督のデビュー作で、DVD化もレンタルもされていないという、自身の主演映画『おかえり』の上映後に登場。受講者を前に「映画俳優という冠がついているけど、最近はテレビづいているから恥ずかしいな。滑舌も悪いし、人前も苦手なんですけど、お手柔らかにお願いします」とあいさつしたが、寺島のことを「寺やん」と呼ぶほどに気心知れた間柄の篠崎監督が聞き手ということで、リラックスした表情だった。

 寺島の映画デビュー作は、松田優作がメガホンを取った『ア・ホーマンス』(1986年)と言われている。しかし寺島によると、実はそれ以前に、作家・三島由紀夫の遺族の意向により、日本未公開となっている映画『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ(原題) / Mishima:A Life in Four Chapters』(1985年)に出演したことがあるという。「空てい部隊のひとりで出たのが初の映画なんですよ。観てもわからないと思うけどね」という寺島は、「観られるなら観たいなぁ」と懐かしそうに語る。

ADVERTISEMENT

 また、役者であることを意識したのは『あの夏、いちばん静かな海。』の撮影のときに北野武監督に言われた「スポーツ選手や、お笑いにも反射神経があるから限界があるけど、役者ってのは一生現役でやれるから、死ぬまでに天下を取ったらそいつの勝ちだぜ」という言葉だそうで、「言われて、ずっと役者をやっていいんだと思った。別におれは芝居が特別うまいわけじゃないしね。出会いとご縁と運で、(役者で)いさせてもらっている」としみじみ語る。そんな寺島にとって、盟友ともいえる存在が篠崎監督だ。二人は『おかえり』撮影前、信頼関係を築くために、映画についての徹底的なディスカッションを半年近く重ねたそうで、ときにはケンカをしながら、いいものを作ろうと共闘関係を結んだという。寺島は「あれは大事だったなと思いますよ。あのころの手作り感は忘れられないし、忘れちゃいけないなと思いますよね」としみじみと振り返った。

 ブルース・リーの名ゼリフ「Don't think.FEEL!!」(考えるな、感じろ!)を役者としての哲学に掲げているという寺島について、篠崎監督は「加瀬亮くんから、『アンテナ』という映画の役作りで悩んで寺島さんに電話したら、『考えるな、感じろ!』と言って電話をブチッと切ったと聞きました」と明かす。さらに寺島は、役者志望の若者たちから芝居論について聞かれると、「台本は自分のセリフだけ読むのではなく、最初から最後までしっかり読む」「寒い、暑いといった現場の過酷さが自分の芝居に役立つ」「監督や作品にとことん惚(ほ)れ込むことは大事」とアドバイス。どちらかというと不器用であるといい、その方法論に「なんかうまいアドバイスが言えねえなぁ……」ともどかしそうな寺島であったが、小手先でないからこそ、人の心に響く芝居ができるというのもまた事実。この日の参加者たちはそんな寺島の役者としての立ち振る舞いを見て、大いに刺激を受けた様子であった。(取材・文:壬生智浩)

映画美学校アクターズ・コース公開講座「映画俳優との対話」第5回は2012年1月10日に開催予定(ゲスト:洞口依子)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT