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ジブリの「今」を描く映画『夢と狂気の王国』 タイトルの“狂気”に込められた意味

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『夢と狂気の王国』の砂田麻美監督
『夢と狂気の王国』の砂田麻美監督

 数々の名作アニメーションを世に送り出してきたスタジオジブリの「今」を捉えた映画『夢と狂気の王国』が今月16日から公開された。メガホンを取ったのは、ガン宣告を受けるも最期の日まで前向きに生きようとする父の姿を記録したデビュー作『エンディングノート』が絶賛された砂田麻美監督。2作目となる本作で、ジブリの中核を担う宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーの3人を描いた彼女が作品に込めた思いを語った。

映画『夢と狂気の王国』フォトギャラリー

 もともと特別ジブリが大好きだったわけではないという砂田監督だが、「これだけ多くの監督がいる中で、わたしに話が来た理由が全然わからなくて、不思議だなと思うと同時にすごく光栄だなと思ったんです」とオファーを振り返る。撮影は昨年の秋から宮崎監督の引退の日まで延べ約1年にわたって行われ、監督は「最初は恐る恐るという感じでしたけど、少し慣れてきてからはほぼ毎日ジブリに通っていました」と話す。

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 約1年間の撮影を通してジブリに対する印象は変わったかという問いに、「わたしが勝手に抱いていた夢のようなイメージは全く変わらなかったですね。行ったことによって幻滅したり、『現実はこうだったんだ……』というようなことはほとんどない会社でした」と答えた砂田監督。しかし、時にはその夢のようなイメージが“狂気”として目に映ることもあったという。

 「夢を追求すればするほど、周りの人に恐ろしいと思わせる瞬間にぶち当たると思うんです。宮崎さんたちが何十年もアニメーションを手作業で作り続けているという事実もそうだし、『風立ちぬ』を作る上でどうしても妥協できないという業みたいなものも狂気だと思います。そういう姿を見ると、人間ってこんなことができるんだと感動すると同時に怖いなとも思います。畏怖の念ともいえるかもしれません。それを全部ひっくるめて“狂気”という言葉で表したかったんです」と映画のタイトルに込められた思いを明かした。

 最後に「スタジオジブリと同時代に生き、作品を体験できることはとても幸運だと思います。図らずもわたしはその創作の世界をのぞかせてもらって本当に幸せな時間をたくさんもらったので、それをおすそ分けしたいという思いで映画を作りました」と語った監督。「ジブリを一日見学するような気持ちで本作を観ていただけたらうれしいです」という彼女の言葉通り、スタジオジブリを取り巻く不思議な空気感をぜひ本作で体感してほしい。(編集部・中山雄一朗)

映画『夢と狂気の王国』は公開中

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