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アカデミー賞外国語映画賞『ノー・マンズ・ランド』ダニス・タノヴィッチ監督が来日!母国ボスニアについて熱く語る

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母国ボスニアの現状を憂うダニス・タノヴィッチ監督
母国ボスニアの現状を憂うダニス・タノヴィッチ監督

 アカデミー賞外国語映画賞受賞作『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチ監督が1日、シネマート六本木で行われた自身の最新作『鉄くず拾いの物語』のシンポジウム付き試写会に出席、作品を通して紛争後のボスニアの現状、少数民族ロマ人の「人権」などについて語った。

ダニス・タノヴィッチ監督が来日 画像ギャラリー

 本作は、保険証が無いために医療を受けることが出来なかったロマ人の一家の記事を読んだタノヴィッチ監督が、「医療を受ける権利」について世界に訴えるべく、自主制作として9日間で撮り上げた衝撃の感動作。2013年ベルリン国際映画祭 銀熊賞ダブル受賞(審査員グランプリ・主演男優賞)・エキュメニカル賞特別賞受賞作品。第86回アカデミー賞外国語映画賞ボスニア・ヘルツェゴビナ代表にも選出された。

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 本作で「愛する人を守るために、人は何ができるのだろう。」をテーマに、ロマの一家の生活を描いたタノヴィッチ監督は「撮影を続けているうちに、『差別を受けている主人公のセナが、金髪で青い目だったら扱いが違っていたかも』という哀しい現状を思い浮かべてしまったよ」と貧困のために教育も受けられず、荒廃した土地に住み、その日暮らし、保険証も持たず医療もきちんと受けることが出来ないでいる人々がいる現状を憂いた。さらに、「紛争から20年、ボスニアはいまだに経済の復興のきっかけをつかめないでいる。少数民族の方々は守らなければいけないと思っている」と語気を強めた。

 今後について「この映画にインスピレーションを受けてまた、映画をつくり続けて行きたい」と意気込んだタノヴィッチ監督。最後に、保険証を持っていない日本人のニートが増えている(日本は子どもの貧困率世界4位)という現状を受け「この映画が日本になぞらえて、いろいろ考えるきっかけになれば……。実際の現実社会にもっと目を向けて欲しい」とメッセージした。

 12月10日の「世界人権デー」にちなんで行われたシンポジウムには、タノヴィッチ監督のほかに根本かおる(国連広報センター所長(東京))と片柳真理(元上級代表事務所(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)政治顧問)も出席した。(福住佐知子)

映画『鉄くず拾いの物語』は2014年1月11日より 新宿武蔵野館ほか 全国順次ロードショー

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