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2011年のエジプト革命後を描いたオスカー最有力候補のドキュメンタリー作品とは?

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ジハーン・ヌージャイム監督
ジハーン・ヌージャイム監督

 オスカー最有力候補のドキュメンタリー作品『ザ・スクエア(英題) / The Square』について、ジハーン・ヌージャイム監督が語った。

 同作は、2011年2月に起きたエジプト革命でムバラク大統領が辞任し、その後政府は軍の統治によって支配しようとするが、革命支持者が台頭し始めていく過程を、リベラルな改革を求めるアハメッドとムスリム同胞団に所属するマグディの観点から描いた秀作。

 監督は、革命支持者を追うことで危険な目に遭ったそうだ。「今作では全く撮影準備をせずに、エジプトの革命支持者にタハリール広場で会って、すぐに撮影を開始したの。それから2年半近く、危険なエジプトに出入りしながら撮影した。今作の映像は、ニュースなどのクルーがタハリール広場に居ないとき、ニュース代わりに使用されたり、さらに(後に起きる)重要な法廷での証拠にもなったの。それに、革命支持者を追うため、クルーは警察に追いかけられたり、銃撃戦に巻き込まれたりしたわ」と答えた。

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 アハメッドとマグディを選んだ理由は「まず、自分が行けないような場所でも、彼らによって行けること、ストーリーを導いてくれるようなカリスマ性のある人物でなければならなかった。さらに、わたしを驚かせたり、反対するような人でもあってほしかった。そして長期の撮影でも、嫌にならない人物を選びたかった。アハメッドは、わたしの友人が彼をニュースの題材としたことで知り合い、マグディは同じムスリム同胞団の中でも、少し異なった見解を持っていたことから、この二人に決めたの」と明かした。

 今作は最初にサンダンス映画祭で上映されたが、その後もエジプトは変化を続けている。「映画を製作するうえで最も難しいのは、どこで撮影を終えるかで、特にこのエジプトではまだまださまざまな出来事が起きている。最初は、新たにムルシ大統領が(2012年6月に)就任したときに撮影を終えるつもりだったけれど、実際にサンダンスに入る2週間前に革命支持者たちが、このムルシの政治に抗議を起こしたの。幸いにも、この映画がサンダンスのドキュメンタリー部門で観客賞を受賞し、人々にも注目されたため、我々は再びエジプトに戻って追加撮影することができたわ」と変化し続ける情勢に対応していたようだ。

 映画は、エジプト社会を変えるために粘り強く戦う若者の姿が克明に描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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