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「県境で他人事と決めつけないで」女性写真家、原発映画第1作への思いを語る

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映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』の島田恵監督
映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』の島田恵監督

 15日、核燃料サイクル基地などの原子力施設のある青森・六ヶ所村と原子力発電所がある福島、それぞれの人々の今を追ったドキュメンタリー映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』の初日舞台あいさつが雪の影響で中止となった。そのため、会場のオーディトリウム渋谷では上映終了後、急きょ島田恵監督のインタビューが行われた。もともと舞台あいさつには、島田監督、そして本作の主旨に賛同して歌を提供した歌手の加藤登紀子が登壇予定だった。

映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』フォトギャラリー

 舞台あいさつの開始予定時間に間に合わなかったものの、3時間かけて会場に辿り着いた島田監督は「結局お会いできなかったが、こんな雪の中、観に来てくれた10人のお客さん一人一人に手紙を書きたい」と謝意を述べる。

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 本業が写真家の島田監督は六ヶ所村に住んでいた経験がある。「長年住み続けてきた六ヶ所村のことをこのまま闇に葬り、うずもれさせるわけにはいない」と資金も撮影技術もない中で映画を撮り始め、その途中、福島で原発事故が起きたことでそちらの現実もカメラで写し取った。完成以来、クチコミで評判が広まり、すでに全国150か所で上映されているという。

 「今まで何となくしか知らなかった六ヶ村の現実を知った」など各地で反響を巻き起こしているが、その理由として、島田監督は「くしくもというか不幸にもと言うか、言葉が見つからないが」と前置きしつつも「福島の原発事故が起き、思い戸惑いながらの撮影だったが、映像に残したことで、さらに多くの人の心に残る映画になった」と明かす。

 また、避難を余儀なくされた福島の住民の当時の様子について触れ、「人々は、とにかく生きるのが精いっぱいだった。今日の食べ物どうしよう、水はどうしよう、マスクどうしよう、子どもの学校どうしようと、原発賛成・反対は関係なかった。でも、その後、やはり人々が原発の是非をめぐって2つに分断されてしまった」とつらい現実を目の当たりにしたことも明かした。

 撮影中、一番心に響いた言葉を聞かれると、ある漁師の「この国は海と山さえあればいい」「そんなに都会で電気が必要なら、自分のところで原発を作ればいい」という発言を挙げた。「県境だけでよその県のことを他人事にしてはいけない。国民の皆さん、わたしも含めて国の問題の当事者なんです」と語気を強めていた。(取材・文:吉井隆史)

映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』は渋谷オーディトリウムで公開中

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