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スティーヴン・フリアーズ監督に聞く新作『あなたを抱きしめる日まで』とは?

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ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンに信頼を寄せたスティーヴン・フリアーズ監督
ジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンに信頼を寄せたスティーヴン・フリアーズ監督 - Rodrigo Vaz / FilmMagic / Getty Images

 映画『ハイ・フィデリティ』『クィーン』などコメディーからシリアスなドラマまで幅広い作品を手掛けてきたスティーヴン・フリアーズ監督が、新作『あなたを抱きしめる日まで』について語った。

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 本作は、1950年代に10代で未婚の母となり、強制的に幼い息子と引き離されてしまった女性フィロミナ(ジュディ・デンチ)が、50年後に自分の息子を捜すため、ジャーナリストのマーティン(スティーヴ・クーガン)の助けを借りながら、息子が住むとされるアメリカに向かう姿を描くドラマ。マーティン・シックススミスの原作「The Lost Child of Philomena Lee」を映画化した。

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 スティーヴ・クーガンが脚色した脚本について「まず、誰が読んでも脚本が共感できる内容(母の息子への思い)であることが気に入った。この映画の素晴らしさは、スティーヴの脚色から生まれたものだ。僕は脚本を読むまで実際に起きた出来事であることを知らなかったが、スティーヴのおかげで知り、すでに出演が決定していたジュディとスティーヴなら、監督してみる価値があると思った。それにスティーヴとジュディという、ちょっと予測できない関係も監督する決め手になった」と語る通り、映画ではこの二人の関係にくぎ付けになる。

 スティーヴ・クーガンとジュディ・デンチを演出するうえで「(演出については)黙っていることが大切だ。僕は映画人生を通して、それを学んだ気がする。無理に演出することで、変な仕上がりになってしまうからだ。今作では脚本を読み、彼らをキャスティングした時点で、全てそのままでよいと思っていた。どこも改善する余地が演出上なかった。もっとも、僕が若かった頃はもっと演出に干渉していたけれどね(笑)」と語った。演技派の俳優と優れた脚本に委ねたことがうまくいったようだ。

 撮影前にスティーヴ・クーガンに映画『或る夜の出来事』を鑑賞するよう勧めたのは「フィロミナとマーティンの関係は、クラーク・ゲイブルとクローデット・コルベールの関係に似ていると思ったからだ。僕自身は、フィロミナとマーティンの関係は、ある特定の時代のアメリカのコメディー映画を想像させる。僕はあの時代のジョージ・キューカー、ジョン・スタージェス、フランク・キャプラなどが好きなんだ」と明かした。

 映画は、スティーヴ・クーガンとジュディ・デンチの掛け合いに終始注目してしまう完成度の高い秀作。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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