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新人・吉木遼、巨匠・島田荘司原作の主演作に、自分の演技を落ち着いて観るまで3回かかった

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自身の初主演作に緊張の面持ちで振り返り「俳優人生の糧(かて)になるものと思った」と語った吉木遼
自身の初主演作に緊張の面持ちで振り返り「俳優人生の糧(かて)になるものと思った」と語った吉木遼

 本格ミステリーの第一人者、作家・島田荘司が、本作のために書き下ろしたストーリーを基にした映画『幻肢』が、27日、公開初日を迎え、新宿K's cinemaでの舞台あいさつに、主演の吉木遼、キャストの谷村美月遠藤雄弥佐野史郎と、藤井道人監督、原作の島田荘司が登壇した。本作で長編初出演にして初主演を果たした吉木は「撮影の一瞬一瞬が、すべて、これからの俳優人生の糧(かて)になるものと思いました」と、緊張の面持ちで振り返った。

新人・吉木遼、巨匠・島田荘司原作の主演作に 画像ギャラリー

 俳優として舞台を中心に活動し、映画『恋は考えるな、愛は感じろ』(2013)で映画デビュー。初長編の本作で主演に抜擢された吉木は「(本作を)今日まで3回観たんですが、1回目は緊張で風景ばかり観ていました。2回目にようやくストーリーがわかって、3回目でやっと自分の演技が観られました。恥ずかしかったけど、うれしかった」と照れた表情を見せながら「自分が主演の映画が、こうしてみなさんに観ていただけるなんて」と感無量の様子。吉木の恋人でヒロイン役の谷村も「詩的でいいセリフがたくさんあって、映画の現場って楽しいなと再認識しました」と、撮影を語った。

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 本作の製作過程について、原作者の島田は「最初に電話をいただいたときは、『10日ほどで(物語を)書いてくれ』と言われ、『それは無理だ。じゃあ話し合いながら作りましょう』となったんです。藤井監督と打ち合わせしながら脚本を作っていったので、撮影が始まっても、小説の方は一行もできていなかった。こんなのは初めての体験。でも監督から、刺激的な言葉をたくさん提示してもらい、まったく世代のギャップは感じなかった。ただ『ジャーン、りんご』なんて劇中のセリフは、60過ぎの作家には、なかなか書けないセリフですけどね」と楽しそうに話す。

出演者・原作者・監督
この日登壇した(左から)島田荘司、佐野史郎、谷村美月、吉木遼、遠藤雄弥、藤井道人監督

 今年『オー! ファーザー』で長編デビューした藤井監督が「島田先生との打ち合わせは、3回ほどでノートがギッシリ(文字で)埋まるほど濃いもので、先生と(舞台の)吉祥寺の街を何度も散歩して、一緒にロケハンしていただいたのは、素晴らしい時間でした」と話すと、島田も「試写を観終えたとき、思わず立ち上がって拍手して、監督に『いいものができましたね』と握手したんです」と、新進監督とのコラボに満足といった表情を浮かべていた。

 本作は、青年の純愛を軸に、最新の精神医学と幽霊譚を巧みにミックスさせたラブミステリー。事故で記憶を失った医学生の主人公が、忘れてしまった恋人との思い出を、自分が研究する特殊な治療法によって蘇らせようとするが、治療後、彼のまわりで不思議なことが起こり始める。(取材/岸田智)

映画『幻肢』は新宿K's cinemaほかで公開

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