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政治家でも解決できない国際問題に直面…現代建築の困難が明らかに

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石山友美監督&磯崎新&藤村龍至さん
石山友美監督&磯崎新&藤村龍至さん

 安藤忠雄磯崎新伊東豊雄、レム・コールハースら世界的な建築家たちの本音が飛び交うドキュメンタリー映画『だれも知らない建築のはなし』公開記念トークイベントが18日、都内で行われ、磯崎と石山友美監督が、建築家の藤村龍至さんを交えて現代の建築家が直面している課題などについて語った。

【写真】『だれも知らない建築のはなし』ギャラリー

 本作は、1982年にアメリカで開かれ、当代一流の建築家たちが課題を議論し合った伝説の国際会議「P3会議」を起点に、高度経済成長期から現在の日本の建築界の変遷をインタビューで浮き彫りにするもの。国際的に高く評価されるものの、バブル崩壊や震災で揺れる日本社会と建築の関係や、建築家たちの夢や苦悩が赤裸々に語られる。石山監督は大学卒業後「磯崎新アトリエ」に勤務し建築家を目指すも、アメリカ留学を経て映画監督に転身。父は著名な建築家・石山修武さんである。

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建築
映画キャストに名を連ねる磯崎新

 磯崎は映画について「僕は石山監督のデビュー作『少女と夏の終わり』を楽しく観ていまして、日常の時間が、突然断ち切れるような事件が起こる点や、ある種の群像劇であるところも、本作と似ている」と指摘しながら、「建築も1995年以降に世界がいかに変わったか、それが本作の一番の見どころ」と話す。磯崎は、当時まったく無名だった若き安藤、伊東を抜てきして「P3会議」に日本代表として参加した。

 これを聞いて、藤村さんが「1960年代は丹下健三に代表されるように、建築家はエリートとして、自らの提案が国家の課題と結び付いていた。けれど、安藤さん、伊東さんの世代になると、建築はジャーナリズムや批評家の評価に左右されるフィクションとしての性格が強くなり、さらに2000年以降は、グローバリゼーションやネット、環境や原発問題など、政治家でも解決できない国際問題に直面することになるんです」と現代建築の難しさの背景を説明する。

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 すると石山監督は「確かに建築の歴史を描いていますが、それだけじゃなく、建築家たちの個性がぶつかり合い、ドラマチックな時代のうねりや建築家同士のダイナミックな関係性も描きたかったんです。6人の建築家の顔が並ぶ本作のチラシを見て、(北野武監督の)『アウトレイジ』みたいと言う人もいるんですよ」と語っていた。(取材・岸田智)

映画『だれも知らない建築のはなし』は5月23日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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