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沖縄戦没者の魂を呼び起こす映画に…アメリカ人監督による渾身のドキュメンタリー公開

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ジャン・ユンカーマン監督
ジャン・ユンカーマン監督

 20日、沖縄戦終結から70年目の「慰霊の日」(6月23日)に合わせ公開されるドキュメンタリー映画『沖縄 うりずんの雨』の初日舞台あいさつに、ジャン・ユンカーマン監督が登壇。「沖縄と40年関わって、関係が長いので余計に、重い責任を感じてきました。3年半、必死に製作し、やっと初日を迎えました。本作が『平和の礎(いしじ)』の魂を呼び起こす映画になったらうれしい」と、少し目を潤ませつつ、穏やかだが熱い言葉で、東京・岩波ホールの観客に語り掛けた。

映画『沖縄 うりずんの雨』フォトギャラリー

 アメリカの大学を卒業後、ユンカーマン監督は沖縄・コザに住み、ベトナム反戦米兵の支援を半年間経験。映画監督としても日米を拠点に『老人と海』『映画 日本国憲法』など、戦後日本をテーマにした作品を多く手掛けてきた。「(本作)タイトルの『うりずんの雨』は(作中登場の)短歌『うりずんの雨は 血の雨 涙雨 礎(いしじ)の魂 呼び起こす雨』から取りました」と語るユンカーマン監督。

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 本作は、太平洋戦争末の沖縄戦から、戦後のアメリカ統治と日本返還、現在の基地問題へつながる、戦争と日米に翻弄(ほんろう)され続ける沖縄の現実を、日米元兵士や沖縄住民のインタビューを積み重ねて描く。「うりずん」は草木が芽吹く3月~5月の雨の時期を指す沖縄の言葉で、人々の沖縄戦の記憶とも重なる。

 ユンカーマン監督は撮影を振り返り、先の短歌にもある「(国籍の別なく戦没者)24万人の名が刻まれた摩文仁(マブニ)の記念碑『平和の礎』から、糸満の慰霊碑や「集団自決」のあった読谷村のチビチリガマと、南から北へ向かうと、各土地で犠牲者が出たことがわかります。そして去年、最後に何度目かで『平和の礎』を訪れ、静かでだれもいない日でしたが、名を刻まれた一人一人を思い、思わず涙があふれました。『平和の礎』と同様、本作も彼らの魂を呼び起こすものになったらうれしい。この魂はいまの沖縄の人々の力にもなっていて、希望につながる力だと、僕は思います」と語ると、会場から大きな拍手が起こった。(取材/岸田智)

映画『沖縄 うりずんの雨』は東京・岩波ホール、沖縄・桜坂劇場にて公開中 全国順次公開

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