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河瀬直美が総理大臣になったら…日本大好きイランの鬼才モフセン・マフマルバフ監督と対談!

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映画を絶賛した河瀬直美監督と来日したモフセン・マフマルバフ監督
映画を絶賛した河瀬直美監督と来日したモフセン・マフマルバフ監督

 イラン映画の鬼才モフセン・マフマルバフ監督が最新作『独裁者と小さな孫』を引っ提げ来日し、20日都内でトークショーを開催。カンヌ国際映画祭常連同士ともいえる河瀬直美監督との対談が実現した。

平和について語るマフマルバフ監督&河瀬監督フォトギャラリー

 本作は、クーデターによって失脚した独裁者が、幼い孫と一緒に海を目指した逃亡の果てにたどる運命を描いた人間ドラマ。「アラブの春などの出来事を、違う目線で撮りたかった。どの国でも自分や自分の国の状況を、この映画の中に見つけるのではないか」と語ったマフマルバフ監督に対し、河瀬監督は「大変素晴らしい作品。この映画を作らなければいけない、という情熱を感じた」と手放しで絶賛。

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 そして、本作になぞらえ「もし、わたしが総理大臣になったら、日本の隅から隅まで歩いて回りたい。歩いて行った先で何を見るかが大切で、今まで真実や正義と思っていたものと、別のものを発見するかもしれない」と思いを明かした河瀬監督。日本が大好きだというマフマルバフ監督が、「ずっと日本人を尊敬してきた。70年間平和を守ってきた日本が、どうして今戦争に向かおうとしているのだろうか。平和のどこがいけなかったのだろうか」と疑問を呈する場面もあった。

 これに河瀬監督は「奄美大島で出会ったあるおじいちゃんが、世界を救うのは“お母ちゃんの心”だと言っていた。子供を戦争に行かせたい母親はいない。その気持ちが中心にあれば戦争はなくなる。この映画の結末はいろいろな意味にも取れるが、見終わった後に、今自分がどの立場に立って、日本に生きているのかを考えてみてほしい」と訴えた。

 「自分のことを、地球人だと思っている。いままで約70か国を訪れたが、悲しみや喜びはみんな同じ」と持論を展開したマフマルバフ監督は、「わたしは人のために映画を作りたい。映画は自分にとっての道具で、その道具を使って文化に働きかけている」という信念を披露し、河瀬監督も「国境を越えて作家たちが、武器でなく、映像や写真、音楽などの表現でつながり合うことができれば、平和な世の中になる」と共感する。

 最後にマフマルバフ監督は、「先日訪れたイスラエルでは、子供を戦争から逃れさせるために留学などで外に出すことが多い。日本がそういう国にならないことを祈ります」とメッセージを送っていた。(取材・文:タナカトシノリ)

映画『独裁者と小さな孫』は12月12日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

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