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ベネチア国際映画祭金獅子賞のベネズエラ映画とは?

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観客を引き込むにはね… - ロレンソ・ビガス監督
観客を引き込むにはね… - ロレンソ・ビガス監督

 昨年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したベネズエラの映画『フロム・アファー(英題) / From Afar』について、 ロレンソ・ビガス監督が6月10日(現地時間)にフィルム・フォーラムで行われた単独取材で語った。

 本作は、ベネズエラのカラカスを舞台に、他人との接触を極力避けてきた50歳の歯科技工士アルマンドが、性の対象として街で誘ったギャングのリーダーの若者エルダーと出会い、二人の運命が変わり始めていくさまを描く。

 今作ではキャラクターを中心に据え、ベネズエラのストリート・ギャングや政治の腐敗が背景に描かれていることが興味深い。「僕は社会や政治を捉えるときは、直接的な描き方をせずに、(今作のような)シンプルなストーリーを通して伝えていくのがベストなやり方だと思う。そんなシンプルなストーリー構成で、背景で何が起きているかを伝えていく。それに、観客に今作で何が起きているのかを把握してもらうには、ストーリーを通して観客を感情的に引き込まなければいけない。そのため、今作ではまず観客にアルマンドとエルダーの関係に関して共感してもらいたかった」と説明した。

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 上流階級のアルマンドとその日暮らしのエルダーは対照的だが、お互い父親に対して憎しみを持っている。「彼らは出会ってから、感情的に必要なことを共有する。暴力を振るってきたエルダーの父親はすでに亡くなり、一方アルマンドも父親とは(過去の虐待によって)疎遠になっていて、お互い父親という存在を失った状態だ。今作では、ベネズエラ社会がいかに階級によって分かれているかにも触れているが、それとは逆に階級の違いがあっても、感情的に必要なことをお互いが共有できれば、一緒にいることもできることを示している」と語った。

 パブロ・ラライン監督作『NO』の撮影監督セルヒオ・アームストロングとのタッグについて「これまで僕はドキュメンタリー作品を手掛けてきたが、自分は長編作の監督だと認識していて、長編作の方が心地よく描ける。今作では、僕が最初にアウト・オブ・フォーカス(焦点がずれた撮影)を彼に提案した。その手法で、アルマンドと道を歩いている他の人々と区別し、まるでアルマンドが別次元にいる感覚にさせた。この手法は、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督やフランスのロベール・ブレッソン監督作を鑑賞して得たものだ」と答えた。なるほど観察的なカメラ配置が秀逸だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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