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八名信夫が見た高倉健センパイの意外な一面

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八名信夫、激シブい!
八名信夫、激シブい! - (撮影:悪役商会)

 2014年に亡くなった名優・高倉健さんのドキュメンタリー映画『健さん』(8月20日公開)に、ありし日の健さんを知る人物の1人として参加している八名信夫(80)がインタビューに応じ、イタズラ好きで、茶目っ気があったという健さんの素顔を明かした。

【写真】生き様がにじみ出た俳優・高倉健さん

 1950年代に東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)の投手として活躍した八名は怪我のために選手を引退したが、当時の東映の社長だった大川博から「野球でう(打)たれるなら、高倉健にう(撃)たれろ」と言われて俳優に転身。「日当400円」のギャラから始めたという八名は数々の映画に出演し、「悪役」としての確固たる地位を築き上げた。

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 そんな八名の役者人生の支えとなったのが、東映の先輩で『網走番外地』シリーズや『飢餓海峡』などで共演した健さん。共演作が30作以上にのぼる先輩から、「役者はいつも腹を空かしていろ! 貪欲でいろ!」とハングリー精神を持つことの大切さを説かれ、「人に飯を食わせてもらおうなんていい加減な生き方はするな」と叱咤されてきたという。

 常に周囲に気を配る健さんの姿勢を「みんなの前ではいつも『健さん』だった」と評する八名。撮影現場で健さんがお手製のコーヒーをふるまうのが恒例だったそうで、「自分で豆をひいて、ちっちゃいカップで『お前ら飲め!』ってくれる。でもコレがまずくてな」と渋い顔。「雪の中での撮影だと(色でばれるから)捨てられないし。無理矢理飲んで『おいしかったです』というと、『じゃあもう一杯いけ』って! あれには参ったよ!」と笑う。

 また、イタズラ好きな一面もあったという健さんが殺陣師のコーヒーに睡眠薬と下剤を入れて飲ませては「いつ寝るか。いつトイレに行くか」と皆でワイワイ様子を見たことや、「健さんは起こしても起きないからね。撮影に遅れて来ることもあって、俺たちも健さんと共演のときは40分くらい遅れて(現場に)入ったりもしていたね」と意外に朝寝坊な健さんについても八名は楽しそうに懐かしんだ。

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 一方、健さんの魅力や美学について「健さんの映画では、どんなシーンでも『高倉健』の生き様が必ず画面に出る。『男の生き方』『強さ』『裏側にある優しさ』が表情に出ている」と力説する。「今は煙草を吸うだけで殺意が見える役者がいなくなった。活動屋という時代を生きた健さんを通して、画面に血が通ったり、匂いがするような、『映画ってこうなんだな』ってもんを感じ取ってほしい」と本作をアピールしていた。(取材・文:岩崎郁子)

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