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ゴジラが壁を壊した聖地・有楽町マリオン!その裏話を明かす

「メカゴジラナイト」には(左から)富山省吾プロデューサー、大河原孝夫監督、中野昭慶特技監督、手塚昌明監督が駆けつけた
「メカゴジラナイト」には(左から)富山省吾プロデューサー、大河原孝夫監督、中野昭慶特技監督、手塚昌明監督が駆けつけた

 多くの歴代ゴジラ作品を上映してきた”ゴジラの聖地”「TOHOシネマズ日劇」で3日夜、オールナイトイベント「メカゴジラナイト」が行われ、1984年版『ゴジラ』で特技監督を務めた中野昭慶が、同作で有楽町マリオンの壁が壊されたシーンの裏話を披露し、会場に集まったファンを喜ばせた。

【写真】「メカゴジラ」を手がけた映画人が集結!

 2月4日をもって閉館した「TOHOシネマズ日劇」。同館のフィナーレとして行われた特別上映イベント「さよなら日劇ラストショウ」では、およそ85年もの歴史を誇る同館(前身となる”日本劇場”時代も含む)の歴史を振り返る機会として多くの作品が上映された。このオールナイトでは、中野が特技監督を務めた『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)と『メカゴジラの逆襲』(1975)、富山省吾プロデューサーと手塚昌明監督が手がけた『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)と『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003)の4本を上映。そして上映前に行われた舞台あいさつには、1993年の映画『ゴジラVSメカゴジラ』の大河原孝夫監督も駆けつけ、歴代「メカゴジラ」を手がけた映画人が一堂に会する貴重な機会となった。

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 中野が手がけた84年版『ゴジラ』では、東京に上陸したゴジラが「TOHOシネマズ日劇」が入る商業施設「有楽町マリオン」の前を通過、壁面を壊すシーンがある。しかし(TOHOシネマズ日劇の前身となる)日本劇場跡地に「有楽町マリオン」がオープンしたのは映画公開と同じ1984年。映画撮影中は、「有楽町マリオン」が施工途中だったため、「一番困ったのが、この建物についている東宝と松竹、朝日新聞のマークがどこにつくのか(撮影中には)分からなかったということ。(建物の施工を担当した)竹中工務店と東宝関係者が協議していたんでしょうが、(マークの場所が)全然決まらなくて。このままマークなしでいこうかという話も出てきたんですが、セットに入る2日前に決まりましたと。それで図面通りの場所にマークを付けて撮影は終わりました」と中野は振り返る。

 さらに「これだけは言いたい」と続けた中野は、ゴジラが壊したのが壁面だけで、建物ごと破壊しなかったのはなぜか、という映画評論家たちの意見があったことを振り返り、「有楽町マリオンに東宝のマークがあったから壊さなかったんじゃないかとかなんとかいろいろと言われたんですけど、そんなことはない。あれは僕にとっては初めての一匹ゴジラだったんです。今までは相手がいたから(街を)壊していたけど、今回は一匹だけだから壊す理由がない。そこでない知恵を振り絞って思いついたのは、脇の道路が陥没して、それでゴジラがよろめいて、(ビルの側面を)壊したということです」とその意図を解説した。

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 現在の映画館では、入れ替え制、座席指定が主流となっているが、かつての映画館はそういったシステムがなかったため、人気作品の初日は行列ができるのが常だった。「かつて(満州映画協会のスター)李香蘭の映画を日劇でやった時に、日劇のまわりを(行列が)7周半まわったらしい。今日は久しぶりに日劇のまわりを歩いてみたけど、半分も歩いたら嫌になった。ここに何まわりも行列ができるなんて、どういうことだろう」と笑ってみせた中野は、「だから劇場(の行列)を何まわりさせるかというのはプロデューサーと監督の腕の見せどころだった。『ゴジラ対メカゴジラ』の時も田中友幸プロデューサーから『(劇場のまわりを)まわったぞ』と電話をもらった。そういう喜びのある劇場なんですね」と述懐。

 さらに手塚監督も「ゴジラ映画だと、初日にはみんな徹夜で40~50人ほど並んでいた。『いつから来ているの?』と聞いたら『水曜から』というからすごいなと。だから近くのコンビニで缶コーヒーを買って、並んでいる皆さんに配ったこともありました。今はガードマンに止められてしまうから、そんなことできないですよね」と語る。

 そんな大盛り上がりの「ゴジラ」トークもいよいよ終盤。富山プロデューサーが「ハリウッドでは(ゴジラやキングコングなどが共演する)モンスターバースという世界的なチャンピオン祭りが続きます。ですから東宝の特撮技術の粋を集めて、メカゴジラシリーズを作ってもらいたい」と提案すると、中野も「もし『シン・ゴジラ』の続編を作るならば、きっとネタに困った時にメカゴジラが出てくると思う。CGで作ったメカゴジラがどう生まれ変わるのか。それをワクワクした思いで待っています」と期待を寄せた。(取材・文:壬生智裕)

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