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“日本映画界のサグラダ・ファミリア”と言われた異色作がワールドプレミア

左から秋山真太郎、司会者、中田圭監督、森田涼花、真野未華、五ツ木愛果、山崎裕之プロデューサー
左から秋山真太郎、司会者、中田圭監督、森田涼花、真野未華、五ツ木愛果、山崎裕之プロデューサー

 第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭にて日本映画『トリカゴ』のワールドプレミア上映が行われた。上映後には森田涼花秋山真太郎劇団EXILE)、真野未華五ツ木愛果らキャストのほか、中田圭監督、山崎裕之プロデューサーが登壇し、韓国の観客とティーチインを行った。

【写真】ワールドプレミアの模様

 本作は、ある日突然いわれのない理由で精神病院に入れられた私が、病院生活を通じ、現実と虚構があいまいになっていく世界からの脱出を試みる物語。

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トリカゴ
韓国でワールドプレミア上映された映画『トリカゴ』(C)2019「トリカゴ」製作委員会(株式会社ジーティープロ/フィルムクラフト/NOMAD)

 精神世界を描く難解さから、近年の日本映画では見られないテイストに観客も戸惑っているようだったが、「この映画は1960年代、70年代の日本映画へのオマージュです。当時の日本映画はアフレコ作品が多く、かの時代の映画を再現したかった」というのが中田監督の弁。完成までに8年かかっており、いつ完成するかと周囲に気を揉ませたことから、一部では『日本映画界のサグラダ・ファミリア』だと言われていました」と半ば自虐的に語っていたが、多忙な俳優のスケジュールを最優先に映画を撮っていたら、いつしか8年が過ぎてしまったという。

 そんな中田監督を慕う俳優は少なくなく、彼の作品なら出演したいと自らオファーしてくる俳優も。秋山もその一人で「中田監督とは『乱暴者の世界』(2010)に出演させていただいて以来のご縁。その後も作品のたびに声をかけていただいてありがたいです」と、中田監督のペルソナ俳優としての自負を誇らしげに語っていた。

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トリカゴ
映画『トリカゴ』より(C)2019「トリカゴ」製作委員会(株式会社ジーティープロ/フィルムクラフト/NOMAD)

 これに対し中田監督は、「不条理劇なので、台詞も現実離れしていて難解。演技へのアプローチも難しく、出演者の皆さんには負担をかけた」と恐縮しきり。これには森田も同調し、「出演が決まったのはいいのですが、シナリオが自分の出演シーン以外はもらえず、作品の全体像が見えないのが大変でした」と手探りだった撮影を振り返った。

 「『トリカゴ』を演出するにあたり、影響を受けた監督は?」という質問に「寺山修司、アレハンドロ・ホドロフスキー、若松孝二」など、カルト的な人気を誇るアンダーグランドカルチャーの先駆者たちの名前を挙げた中田監督。「彼らは作り手として、自分のイメージを観客に投げかけることによって観客の反応を見る。映画をコミュニケーションのツールと考えています」と持論を述べていた。(取材・文:土田真樹)

第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭は、7月7日まで開催

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