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高橋一生の魅力がヤバい映画7選

高橋一生(写真は2020年10月撮影)
高橋一生(写真は2020年10月撮影)

 年末に放送されたNHKドラマ「岸辺露伴は動かない」では「ハマりすぎ」と原作ファンからも称賛を浴び、放送中の日曜劇場「天国と地獄 ~サイコな2人~」では、サイコパスから女性刑事への見事な“入れ替わり演技”を見せてかわいさを爆発させている俳優・高橋一生。天才ぶりをあらためて世に知らしめている彼の“ヤバい”魅力、演技が光る映画7選を紹介します。

【写真】長澤まさみ&高橋一生の大人の色気がやばい…

声変わり前のさわやかボイスに胸キュン

 1995年に公開された、柊あおいの同名漫画に基づくスタジオジブリの名作アニメーション映画「耳をすませば」。高橋は、読書が好きな中学生のヒロイン・月島雫(声:本名陽子)が恋心を寄せる男の子、天沢聖司の声を担当した。

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 バイオリン職人を目指すひたむきさや、雫をからかう少年ぽさを見せたかと思うと、うれしいことがあると「一番に雫に教えたかった」と女心を撃ち抜くようなセリフも言ってのけてしまう聖司のかっこよさを、公開当時14歳の高橋が見事に表現している。彼の低音ボイスも俳優としての大きな武器だが、本作の高橋は声変わり直前! フレッシュでみずみずしさあふれる演技が聖司の魅力とマッチしており、「ヤバい!」と悶絶してしまうはず。また時間をかけて自分の才能を磨き、夢を追いかけるすばらしさを描く内容も、それ以降、あらゆる経験を積んだ高橋がいまや世代を代表する俳優となっていることを考えると、なんとも感慨深い。

映画初主演作!ぎこちないキスシーンも必見

 謎の生命体に寄生され、彼らに人格まで乗っ取られてしまった人間たちが死闘を繰り広げるスプラッター・ムービー『MEATBALL MACHINE -ミートボールマシン-』(2005)。高橋は、孤独な青年ヨウジの痛みを演じ切り、映画初主演にして、彼の真骨頂を存分に発揮している。

 本に囲まれて暮らし、職場でも孤立しているヨウジの唯一の楽しみは、隣の工場で働くサチコ(河井青葉)の姿を盗み見ること。人付き合いが苦手なヨウジだが、サチコとのぎこちないキスなど、高橋の繊細な感情表現はさすが。サチコは謎の生命体に襲われてモンスターへと変貌を遂げてしまい、そんな彼女とヨウジはバトルを繰り広げることになるのだが、特殊メイクや血みどろグロ描写アリの大胆な設定の中から浮かび上がるのは、ヨウジの怒り、哀しみ、そして愛情。アクションやホラーとしてのみならず、しっかりとドラマが伝わるのは、高橋の演技力の賜物。そして寂しさをたたえた雰囲気が、ことのほか似合う!

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オタクキャラが大人気!庵野秀明も絶賛

 庵野秀明が脚本・総監督、樋口真嗣が監督・特技監督を務め、日本発の「ゴジラ」シリーズとしては初めてフルCGで作られたゴジラを描写した特撮映画『シン・ゴジラ』(2016)。主人公の矢口(長谷川博己)だけでなく、早口で一気にしゃべる尾頭(市川実日子)、“水ドン”が話題となった泉(松尾諭)など、数々のインパクト大なキャラクターが誕生した。なかでも高橋がふんした巨災対(巨大不明生物特設災害対策本部)メンバーの一人である安田は、その熱心な仕事ぶりやオタクぶりも愛らしく、大変な人気を集めた。

 膝立ちになってパソコンをぱちぱちしたり、突然「わー!」と両手を上げてパニくるなど、キャラクターの性格を表す仕草の繰り出し方が、実にうまい! 安田が、尾頭に素直に謝る「ごめんなさい」の一言も印象的だが、なんとこのセリフは、高橋のアドリブなのだとか。発声可能上映会の舞台挨拶では、庵野監督が「安田(のシーンやセリフ)は面白かったから全部残っています」と高橋を絶賛。松尾も「僕は業界きっての高橋ファン」と語るなど、プロも惚れる俳優であることが証明された。

ファインダーをのぞく視線がセクシー!

 『チワワちゃん』(2019)、『とんかつDJアゲ太郎』(2020)などの新鋭・二宮健監督による『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』(2017)。高橋は、妄想と現実の境界をさまようヒロイン・アキ(桜井ユキ)の恋人、カイトを演じた。女優を夢見て上京しながらも、いまはサーカス団で働いているアキ。彼女の唯一の宝物のような思い出が、カイトと過ごした時間。アキはカイトといると、いつの間にか心が解けて、何でも打ち明けたくなる。カイトは「いいよ」「うん」と優しくうなずきながら、目を細めて彼女を見つめる。高橋が表現する、この包容力たるや……! アキだけでなく観客もメロメロ、とろけること必至なのだが、安らぎだけではなく、どこか儚げで、まるで深い海のような不思議な存在感まで漂わせてしまい、目が離せなくなる。

 写真家のカイトが、アキを撮影する場面も注目。ファインダーをのぞく視線がセクシーで、距離を縮めていく2人の姿がエロティック。さらに忘れ難いのが屋上での官能シーンで、高橋は美しい背筋も披露。さみしさや切なさ、人生の移ろいまで感じさせる、美しいラブシーンを作り上げている。

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内気な青年から洗練された成功者に変貌

 本屋大賞にノミネートされた川村元気の同名小説を、『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史監督が映画化した『億男』(2018)。宝くじで3億円を当てた男が、真の幸せを探し求める姿を追う。高橋は、主人公・一男(佐藤健)の親友である九十九(つくも)を演じた。

 冒頭で登場する九十九は、目にかかった前髪も印象的な、スタイリッシュな服装に身を包んだIT企業の成功者だ。時をさかのぼると、大学時代の彼はメガネをかけた地味な青年で、高橋はその変化をナチュラルに体現してみせた。そう、高橋の俳優力は時空をひょいと越えるのだ。さらに九十九は吃音症でありつつも、落語研究会に入部するほどの落語好きで、高座に上がると吃音症が吹き飛ぶ青年とあって、かなりの技量が必要となる難役だ。落語シーンもお見事で、その器用さには驚くばかり! 一男と九十九は「二人合わせると100点コンビ」と呼ばれる二人で、佐藤と高橋の息の合ったやり取りを楽しめるのもうれしい。

長澤まさみを通して甘い同棲生活を疑似体験

 クリエイターの発掘を目的とする第1回「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」でグランプリに輝いた企画を映画化した『嘘を愛する女』(2018)。昏睡状態に陥った恋人の名前や職業などがすべて嘘だと知った女性・由加利が、彼の正体に迫っていく。『世界の中心で、愛をさけぶ』では同級生役、CMでは夫婦を演じるなど、共演を重ねてきた長澤まさみと高橋が、初めての恋人役を演じた。

 高橋が演じた桔平は、せわしい日々を送るキャリアウーマンの由加利を包み込むような優しい男性。夕飯を作って待ってくれていて、酔っ払って帰っても、クシャッとしたかわいい笑顔で「おかえり」と抱き止め、喉が痛くなったら口の中を覗き込んでもくれる……。由加利を通して、高橋との“理想の同棲生活”を味わえるのも、本作のおいしいところ。しかし甘い生活は、一気にどん底へ。桔平の大きな嘘に、由加利は翻弄されていく。何だか高橋には、つかまえたと思っても、突然どこかへふらりといなくなってしまうような雰囲気があり、ミステリアスな桔平は文句ナシのハマり役。

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ミステリアスな夫にゾクゾク

 第77回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督による歴史ミステリー『スパイの妻<劇場版>』(2020)。太平洋戦争前夜を舞台に、恐ろしい国家機密を知ってしまった貿易会社の社長・優作(高橋)と、その妻・聡子(蒼井優)の波乱の運命を追う。

 かっちりとしたスリーピースに身を包み、時代の空気をまとった高橋の“大人の色香”が炸裂。一気に観客を昭和初期へと誘う。妻を見つめる温かな視線、彼女をさらりとお姫様抱っこしてしまうスマートさなど、うっとりとするような魅力にあふれている優作だが、実は正義のために国家機密を暴こうとしていることがわかり、次第に彼の中に潜む青い炎が浮かび上がる。この本心の見えない不気味さまでも色気があり、大いにゾクゾクさせられる。優作と高橋に共通するのはきっと、静けさの中に驚くほどの情熱があること。そしてこれこそが、高橋の最大の魅力のように感じる。また蒼井とは、『ロマンスドール』に続いての夫婦役となり、彼らの長ゼリフの応酬となるシーンは圧巻! ピリリとした緊張感の中で、2人のコンビネーションを堪能できる。(成田おり枝)

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