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成田凌が実感した「関係を育む時間」の大切さ

朝ドラ「おちょやん」も話題の成田凌
朝ドラ「おちょやん」も話題の成田凌 - 写真:映美

 話題作への出演も途切れず、現在公開中の映画『くれなずめ』では主演を務めている俳優の成田凌。最終回を迎える連続テレビ小説「おちょやん」での演技も大きな話題を呼んでいるが、その長丁場となる撮影を乗り切るための大きな礎(いしずえ)になったのは、高校時代の親友たちがドタバタ劇を繰り広げる『くれなずめ』での経験だった。そこで実感したのは、俳優同士のコミュニケーションや作品に対する愛情の持ち方といった「関係を育む時間」の大切さ。成田が撮影を振り返って、率直な思いを明かした。

色気あふれる…成田凌『くれなずめ』インタビューカット【写真】

 本作は、映画『アフロ田中』や『バイプレイヤーズ』シリーズなどで知られる松居大悟監督が、実体験に基づくオリジナル舞台劇を自ら映画化した友情ドラマ。結婚披露宴で集まった高校時代の親友6人組(成田、高良健吾若葉竜也浜野謙太藤原季節目次立樹)の“余興”をめぐるドタバタ劇の意外な結末とは? 主演を務める成田は、ある“秘密”を持ちながら、前田敦子演じる気の強い同級生・ミキエに恋心を抱く心優しい青年・吉尾を自然体で好演している。

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 成田にとって本作は、長丁場となる朝ドラを乗り切るための土台作りとなった。「共演者の皆さんと食事したり、飲みに行ったり、同じ時間を過ごすことで遠慮もなくなり、本当の同級生のように関係性が深まった」と笑顔を見せる成田。特に「おちょやん」でも共演した若葉とは、「それまでガッツリ共演することがなかったですが、この作品でグッと距離が縮まり、仲良くなれた気がします。だから、朝ドラでの共演もスムーズに入ることができた」と述懐する。

 さらに本作で、共演者との関係性を「育む時間」の大切さを学んだ成田は、朝ドラの撮影でその思いをより一層強く実感する。「最初から一貫しているのは、主演の杉咲さんにとって、気持ちいい撮影現場であってほしいということ。その思いも含めて、長い時間、現場でみなさんと戦っていると、作品に対して、人に対しての愛情がどんどん深まっていくことを改めて実感しました。あとは毎朝、自分のお芝居を観ることができるってなかなか新鮮なことですよね(笑)」

 コロナ禍によって、撮影が中断を余儀なくされたり、不都合を感じたり、エンタメ業界は、去年から今年にかけて苦難の時でもあった。だが、成田は飄々(ひょうひょう)とした表情で、こう切り返す。「すごく思ったのは、人間って、どんな状況でも慣れてくるものなんだなと。まず、スタジオに入る前に手を消毒して、フェイスシールドをつけて、ドライ、テスト、そして全部外していざ本番! みたいなルーティンがだんだんできあがってくるんです」。また、フェイスシールドによって自分の声の響きも変わり、聞こえ方も変わることから、「全部外して本番に入ると、これまで以上にお芝居に集中することができる」という成田。どんな状況でも前向に捉える姿勢が実に清々しい。

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 「映画館のために何かできることないか」……コロナ禍で打撃を受けたエンタメ業界の明日を憂う成田の目下の夢は「舞台あいさつ」なのだとか。「最近、イベントも減り、お客さんと直接お話できる機会が減ったので、ぜひ、全国のミニシアターを回ってみたい」と思いを語る。現実を素直に受け入れ、未来の夢に思いを馳せる成田の今後の活躍に大いに期待したい。(取材・文:坂田正樹)

映画『くれなずめ』はテアトル新宿ほかにて全国公開中

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