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佐藤健は「とても熱い人」 『四月になれば彼女は』山田智和監督を感激させた一言

メイキングより佐藤健&山田智和監督
メイキングより佐藤健&山田智和監督 - (C) 2024「四月になれば彼女は」製作委員会

 映画プロデューサー、小説家の川村元気の累計発行部数45万部を突破する同名小説を実写映画化したラブストーリー『四月になれば彼女は』(公開中)。脚本会議から本作に携わり、主演を務めた佐藤健(35)の魅力を、山田智和監督(36)が語った。

佐藤健、長澤まさみらメイキング<6枚>

 本作は、結婚を間近に控えた精神科医・藤代(佐藤健)が、突如失踪した婚約者・弥生(長澤まさみ)の行方を追うなかで、10年前に交際した春(森七菜)との苦い初恋の記憶を思い返し、失われた何かを取り戻そうともがくストーリー。ウユニ、プラハ、アイスランド、東京など世界各地で撮影を行い、恋愛をしなくなった男女のリアルを壮大なスケールで描き出す。監督を、米津玄師の「Lemon」、宇多田ヒカルの「Gold ~また逢う日まで~」など多くのミュージックビデオを手掛け、本作が長編映画デビュー作となる山田智和が務めた。

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 映画の企画自体は、2016年に小説が発刊された際、川村に佐藤健から感想のメッセージが届いたことから始まった。佐藤はこれまでも『世界から猫が消えたなら』『億男』など川村の小説を映画化した作品で主演を務め、川村の理解者とも言うべき存在。その川村たっての希望で本作のメガホンをとった山田監督は、佐藤とほぼ同世代。佐藤は出演発表時に山田監督を「役者と共に悩みながらも芝居について真摯に追求してくださる方」と評していたが、山田監督は佐藤との初仕事をこう振り返る。

 「佐藤さんは原作の大ファンで、原作のスペシャリストと言えるような人。脚本段階から関わり、会議にも何度も顔を出して意見をくれたりしていたので、クランクインのころにはすでに僕と目線が合っていた印象です。僕と佐藤さんの間に作品をどうより良くしていくかという空気があって、信頼して飛び込んできてくれた。加えて、佐藤さんはプロデューサー気質でもあるので、“ここで主人公の感情が立たないと物語が弱くなるよね”といった大きなところでも話しますし、ディテールも同様です」と言い、佐藤の意向を取り入れたとあるシーンを挙げる。

 「劇中、藤代が泣くシーンが何回かあるんですけど、初め脚本に“洗面台の前で泣く藤代”と書かれていたのを、佐藤さんが撮影現場で“彼女との思い出のモノを見てお芝居がしたい”という提案をくれて。じゃあワイングラスの前にしようと、部屋でうずくまって泣くというシーンになったんですけど、そういう細かいところのアイデアもくれて常にディスカッションしていた感じです」

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 本作で佐藤は10代後半から30代までを演じ分けているが、演技面についてはほぼ一任していたという。

 「信じていたのでお任せしていました。大学時代の藤代は、目の奥に光る輝きがちゃんと10代になっていて、すごいなと。かたや精神科医になった現在はいろんな人たちを見てきて物事を一歩引いて見ている感じが出ている。そんな繊細なお芝居をモニター越しに見ていて、何も心配いらないなと感じたのを覚えています」

 山田監督が特に心を動かされたのが、春と破局した藤代が泣き崩れるシーン。 「エスカレーターで泣く芝居は、前半の肝というか。当日に急遽、撮影場所が決まったシーンで、しかも1テイク目です。それまで森さんと時間を積んでくれたことを思うと、感動しました」

10代後半の藤代(佐藤健)と春(森七菜)

 大学時代に写真部に所属していた藤代と春がカメラを手に街を散策するシーンなど、藤代と春のシーンはアドリブが多かったというが、これは「初恋なのでデートも探り探りだったのではないか」という山田監督の考えに基づくもの。

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 「自分たちもまだその感情の正体がよくわかっていないというか、探り探りな2人というのをイメージしていました。秋葉原に向かったはいいけど、先々の予定は決まっていないみたいな。雨が降って雨宿りしているときの初期衝動。そういう感情を撮りたい時に、芝居を決め込むのもどうなんだろうと。佐藤さんと森さんの芝居は本当に意気投合していて、僕らが想定していたものを軽々超えていました。でも 実は藤代と弥生のシーンでも結構同じようなことをしていて、当日に台本を渡してドキュメンタリー的にやらせてもらったところが多いです。付き合い始めた日に記念写真を撮っているところ、一緒にご飯を食べているところ、橋で座っちゃうところとか。脚本には点描として一行で書いてあるんですけど、長くカメラを回させてもらったりもしました」

30代の藤代と弥生(長澤まさみ)

 仕事をするまでは佐藤に「クールな人」という印象を抱いていたという山田監督だが、本作を経て「実はものすごく熱い人」と新たな気付きがあったそう。

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 「もうやっていることがアツいです。脚本の段階からこの作品を気にして、時間を作って意見をくれているわけですよね。映画ではまだ新人の僕を信じ、支えてくれた。あとは、こんなこともありました。撮影も中盤に差し掛かり皆疲れてきたころ、僕が円陣を組もうと呼び掛けたんです。するとスタッフはクールな反応だったのですが、佐藤さんだけが“俺、そういうところ好きだけどな”と。もう心の中で“たける~!”と快哉を叫びました(笑)。だけどそういう優しさをあまり表に出さないところがまたかっこよくて、それがクールにつながっているのかなと思いました。優しい方です」としみじみ振り返っていた。(取材・文:編集部 石井百合子)

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