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『ニュー・オリンズ・トライアル』ダスティン・ホフマン独占インタビュー

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文・取材:前田かおり

 

ベストセラー作家ジョン・グリシャムの『陪審評決』をもとにした法廷サスペンス『ニューオリンズ・トライアル』。アメリカの銃規制と陪審員制度の実態を描いたストーリーで、原告側の正義感あふれる弁護士を演じたダスティン・ホフマン。『クレイマー、クレイマー』、『レインマン』で2度のオスカーを手にした彼は、ハリウッドきっての演技派俳優だ。そんな彼をロスで直撃インタビュー。本作での役づくりをはじめ、凄腕の陪審コンサルタントに扮したジーン・ハックマンとの対決シーンの撮影秘話や、長年の親友という二人の親密ぶりなどを語ってもらった。

■原作では、たばこ訴訟の話だったけれど、監督に「銃規制の話にして欲しい」と頼んだんだ

Q 今回は正義の弁護士の役を演じていますが、どのように役づくりをされたのですか? 

ジョン・グリシャムの原作では、たばこ訴訟の話だったんだけれど、監督に「出来れば、銃規制の話にして欲しい」と頼んだんだよ。アメリカではNRA(全米ライフル協会)が大きなロビー活動をしていて、多くの国会議員が賛同している。で、僕はこの映画の役づくりためにNRAの反勢力団体のプレディーセンターに関わる人物から、銃規制についてのことをいろいろとレクチャーしてもらったよ。

たとえば、アメリカでは毎日銃によって80人の人間が殺されて、そのうちの10人が子どもたちなんだ。その数はイラクで殺されたアメリカ兵と比べてみても多い。そして、毎年3万人が銃によって殺されている。こんなに銃による事件が起きているのはアメリカだけだ。

そして、ある調査ではアメリカ人の80%の人間は銃を規制すべきだと答えているのに、規制に至らない。それはNRAという団体のせいんなだ。まあ、今回のことでずいぶんと銃規制の問題について学んだよ。ただ、映画では政治的になってはまずいので、それほどまでは盛り込まれてはいないけれどね。

■日本の裁判制度はどうなんだい? 正しい判決が下されている?

Q 日本には陪審員制度はないのですが、あなた自身やご家族が陪審員を務めたことはあるのですか?

いや残念ながら、僕も僕の家族にも陪審員の経験はない。ただ、今回の映画では観客に重要な情報を教えていると思うね。そもそも陪審員制度がアメリカで制定されたときは、誰もが現在のように技術が進み、個人のプライバシーが徹底的に暴かれることが可能になるとは思わなかった。

ところが、今はさまざまなハイテク機器を使ってしまえば、誰もが他人の情報を得ることができる。だから、陪審員を選ぶときに候補者たちのプライバシーを調べて決めれば、自分たちの都合のいい評決を引き出すことができてしまう。

アメリカでは、陪審員が決まった段階ですでに判決も決まった同然だと言われるんだけど、恐ろしいことだ。ところで、日本の裁判はどうなんだい? 正しい判決が下されているのかな?


Q 本作で初共演したジーン・ハックマンとは長年の親友と聞いているのですが、本当ですか?

そうだよ。僕たちが初めて会ったのは1956年。彼は僕より年上で、お互いに俳優を目指して、パサディナ・プレイハウスで学んでいたとき、同じクラスだった。でも、彼は3か月で追い出されてしまったんだ。才能がないって言われてね。幸いにも僕は卒業できたけど、その後ニューヨークに移った時に、しばらくジーンのところに居候してた。当時、彼は新婚だったんだ。なのに僕をキッチンに寝かせてくれてた。こんなにいい奴はいないだろう(笑)。

■ジーン・ハックマンは最高の俳優だ

Q ジーン・ハックマンとの共演は今回が初めてだとか。2人が裁判所のトイレで対決するシーンは息詰まるような緊張感を感じますが……

本当に、彼とは今まで一度も共演したことがなかったんだ。実はね、僕は撮影前日、全く眠れなかった。何と言っても、8ページにもわたるセリフがあるシーンだったので、自分が失敗するんじゃないかと思ってね。ところが、最初のテイクを撮ったときに、ジーンも緊張して眠れなかったということを知って、ちょっとホッとした。

それからは楽しく撮影できたんだ。撮影には12時間かかったけれど、彼はとてもワンダフルな人だから一緒にいたくて、撮影最後の日には一緒に酒を飲んだよ、それも日本酒を(笑)。撮影場所がニューオリンズだったので、バスケットボールの試合を見に行き、普通なら写真やサインは苦手な僕らがあの日だけはすごく飲んでいたせいもあって、その試合場にいた観客全員にサインをしたんじゃないかと思うほどどんどんやっていたよ。本当に、彼との共演は最高に素晴らしい経験だったよ。


Q  苦労時代を知る親友との共演で、いろいろなことを思い出したんじゃないんですか?

そうだね。僕たちは本当に本当に売れなくて、お互いいろいろなバイトをやってた。たとえば、僕はレストランのウェイターをやって、「お客さま、ワインは何になさいますか?」(身振り手振りをしながら) こんな風にね、毎日働いていたんだ。その頃、二人でどこかのパーティーに出かけてって、「僕らは最高の俳優なんだ。だから誰か仕事をくれ」と言ったところで、誰も相手にしてくれなかった。そんな2人がまさか、今のようになるとは誰も思っちゃいなかったろうね。ま、僕たちもそうだけど。

Q では、今の成功をどのように思っているのですか?

僕は自分が成功したなんて思ったことは一度としてないよ。何しろ、売れなかったとき、「芝居ができるなら、どんなに田舎の舞台にだって行く」と思っていた。俳優なんて、今日仕事があったから、明日も必ず仕事にありつけるとは限らない。演じられるだけでも、幸せだって思ってたんだ。

■最近、近視矯正の手術を受けたんだ

Q  『卒業』をはじめとして、『真夜中のカウボーイ』、『トッツィー』での女装した男や『レインマン』の自閉症の男など、幅広い役を演じてこられていますが、どんな風に作品を選んできたのですか?

出演して、何か学べることが作品選びの基準だった。でも、ここ2,3年で変わったんだ。もう大体、やることはやってしまったような印象があるからかな。今はとにかく演じることが楽しい。自分が心から楽しめればいいんだよ。

Q ところで、現在66歳と聞いているのですが、いつまでも若々しく保つ秘訣は何ですか?

若々しく見える……んー、それはどうも有難う(笑)。僕には36歳をかしらに4人の娘と2人の息子がいるんだ。その子どもたちが小さい頃はどうか、彼らが大人になるまで成長をずっと見守らせていてくれと祈ったよ。で、彼らが大人になったら、子どもたちと話が合わないような老人にはなりたいくないからね。常にいろんなことに興味を持つようにしている。

実は最近、近視矯正の手術を受けたんだ。家の中にいても、メガネをどこにやってしまったか忘れてしまってね、家族によく怒られてたんだ(笑)。思い切って手術したら、よく見えるようになったよ。そうそう、その手術を終えて、初めての外出がちょうど『ニューオリンズ・トライアル』のプレミアの日だったんだ。


 キレイにまとめてくれたダスティン。スクリーンから受ける印象そのまま……いや、それ以上にざっくばらんで、いい人オーラが見える彼。おまけに、取材後には手を高く掲げて、ノリノリになってハイタッチまでしてくれた。なんて、気のいいオヤジぶり。そんな彼の魅力を今後もぜひスクリーンで楽しみたい。

(ニュー・オリンズ・トライアルは1月31日日比谷映画 他東宝系にて公開)

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