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『宇宙戦争』スティーヴン・スピルバーグ独占インタビュー

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『宇宙戦争』スティーヴン・スピルバーグ独占インタビュー

取材・文:鴇田崇

6月29日に全世界同時公開が決定したスティーヴン・スピルバーグ監督最新作『宇宙戦争』。有名なH・G・ウェルズの原作をモチーフに、まったく新しいSFスペクタクル映画にモデル・チェンジしたことでも話題だ。今回映画が完成するまで内容を明かさないことで知られるスピルバーグ監督が、日本のマスコミ陣にだけ独占取材を許可! 主演のトム・クルーズや天才子役のダコタ・ファニングが白熱の演技を繰り広げているクランク・アップ直前のロサンゼルスの撮影現場で、夏映画の大本命とも目される『宇宙戦争』の最新情報を聞いた。

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■撮影現場を初公開

Q:今まで撮影現場を公開したことがなかったのに、今回なぜ見せようと思ったのですか?

僕が監督しているところや、みんなが演技しているところを見られる方が、あなたたちにとってもっとエキサイティングだと思ったからだよ。どれだけ仕事が大変で、それぞれのショットがいかに複雑で、こういった映画にはどれだけのものが投入されているかということを実際に見てもらえるわけだからね。

Q:H・G・ウェルズの原作とはかなり違うものになっているとのことですが、原作者に対するオマージュなどありますか?

この映画は2005年が舞台で、H・G・ウェルズのストーリーは1898年が舞台だ。H・G・ウェルズのストーリーは、一人の視点から描かれている。一人の男と彼の弟がね。この映画は、全世界が体験していることを父親と二人の子供たちの目を通して描くという似た視点で描くことによって、H・G・ウェルズにオマージュを捧げている。他のオマージュは、原作にあるようにエイリアンが勝利を収めた後、彼らが侵略した地域で自分たちの種を地面にまき、レッド・ウィード(赤い雑草)を育てるんだ。とても危険なレッド・ウィードをね。それをこの映画でもやるんだよ。

■日本では最初に大阪が攻撃される

Q:今まで一番大変だったシーンや思い出深いシーンがあったら教えてください。

楽なシーンというのは全くなかった。とにかく軍隊がほとんどのシーンに出ているし、何千人もの群衆シーンも多いしね。基本的には東海岸から西にみんな逃げるんだ。なぜなら、攻撃が東海岸で始まるからなんだ。アメリカだけでなく世界16か国で同時に攻撃が始まるんだよ。そこは映画の中でドラマとしては見せないけど、観客は世界中が同時に攻撃されていることがわかるんだ。

Q:すると、日本も攻撃される?

うん。日本も攻撃されるよ。映画には登場しないけど、観客がそのことを耳にする。大阪が攻撃されるっていうことを聞かされるんだ。

Q:それはユニバーサル・スタジオ・ジャパン!?

そうだよ。ユニバーサル大阪はなくなっちゃうんだ。一番最初にアタックされるんだ(笑)。

■凶悪なエイリアン

Q:そもそも今回はなぜそんな凶悪なエイリアンにしたのですか?

なぜなら、僕は過去2つの作品でフレンドリーなエイリアンをすでに描いたからね。『未知との遭遇』と『E.T.』でね。この2作品では、彼らはいい心を持っていた。エイリアンが敵であるという映画はこれまで作ったことが一度もなかったし、僕はエイリアンが敵であるという本物のSF映画を作る時がやってきたように思ったんだ。

Q:空と地下の両方からエイリアンが襲ってくるということですが、なぜ2つに分けたんですか?

その方がすごく知的だからだよ。原始的な生命体よりも、とてつもなく知能の高い生命体に攻撃される方がずっと恐ろしいからね。それと同時に彼らの攻撃というのはすごくコーディネートされているんだ。僕にとって最も大変だったのは、こういうことが実際に起きているように見せることだった。

■逃げ回るトム・クルーズ

Q:トム・クルーズにとっては逃げ回る役というのは、新しい挑戦になると思うのですが。

そうだね。トムは逃げて隠れるけど、それはすべて家族を守るためなんだ。質問のとおり、これは彼にとっては今までとは全く違う役どころだよ。彼はこれまでスーパー・ヒーローを演じてきたけれども、今回はスーパー・ファーザーなんだ。

■ジョージ・ルーカスにエール

Q:やはり、9.11やイラク戦争がこの映画を作ることの背景にあるのでしょうか?

SF映画というのは、しばしばコンテンポラリーな問題に対するメタファーなんだ。1950年代のSF映画というのは原子爆弾に対して、そしてソビエトの核による大量虐殺の脅威に対して反応したものだった。そして、今9.11の後、『宇宙戦争』のような映画は、僕たち自身がテロリストたちに攻撃されるかもしれないことをどれだけ恐れているかを反映している。この映画は、アメリカ人の家族を難民にしてしまうんだ。それは、アメリカがこれまで一度も経験したことがないことだよ。

Q:ちなみにこの映画の公開とほとんど同じ時期に『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』が公開されますが、それについてはどう思いますか?

そうだね。ジョージ・ルーカスと僕は30年以上にわたってフレンドリーなライバルなんだ。30年以上ずっと親友だよ。ジョージが『宇宙戦争』が大成功するようにと思ってくれているように、『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』も大成功してくれるようにと願っているよ。日本の皆さんが、僕たちの両方の作品を何度も何度も観てくれるといいなと思っているよ(笑)。


深夜のロケ現場にもかかわらず、忙しい撮影の合間を3度も抜け出し取材陣の質問に丁寧に答えてくれたスピルバーグ監督。日本のファンに何かメッセージをと尋ねると「この映画で日本の皆さんが恐がってしまっても、僕のことを好きでいて下さいね(笑)」と映画に登場するエイリアンの凶暴さをジョークでアピール。気になるエイリアンのビジュアルについては「映画を見てのお楽しみ」とのこと。来る6月にはスピルバーグ監督、トム・クルーズらが来日予定。スピルバーグ作品初となる日本でのワールドプレミアの実現にも大いに期待したい。

『宇宙戦争』は6月29日(水)より日比谷スカラ座ほか全国で公開。

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