『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』エミリー・ブラウニング&リアム・エイケン独占インタビュー
取材・文:渡邉ひかる 写真:FLiXムービーサイト
世界中で3,000万部を売り上げる大ベストセラーを映画化したダーク・ファンタジー『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』。火事で両親を亡くした三姉弟妹に次々と不幸が襲いかかる本作で、主人公のボードレール三姉弟妹の長女ヴァイオレットを演じたエミリー・ブラウニングと弟クラウスを演じたリアム・エイケンが来日。彼らを不幸のどん底に陥れる強欲な男、オラフ伯爵に扮したジム・キャリーとの共演秘話などを聞いた。
■具合が悪かった
Q:すごく仲が良さそうですが、初めて会った時のお互いの印象を覚えていますか?
エミリー・ブラウニング(以下E):だいぶ前のことね……(笑)。実はリアムに初めて会った時、彼は少し具合が悪かったの。だから、物静かな子なのかなって心配しちゃった。でも、次に会った時は元気いっぱいだったから安心したわ。それからはお喋りもたくさんしたしね。
リアム・エイケン(以下L):僕は自分の具合が悪かったことしか思い出せないよ(笑)。熱でボーッとしていたしね。
Q:映画の中では姉弟を演じていますね。
E:撮影中は本物の姉弟みたいにケンカもしたのよ。
L:撮影に入る前に1ヶ月ほどリハーサール期間があったんだ。その間に仲良くなったし、演じやすい状態にもっていけたね。
Q:どんなことでケンカになったんですか?
E:くだらないことよ(笑)。私が「これは赤だ」って言ったら、リアムが「青だ」って言い返してケンカになるとかね。姉弟のケンカみたいでしょ?
■撮影中に12.7センチも背が伸びた
Q:撮影中にリアムがエミリーの背を追い越してしまったそうですね。
E:というより、クランクイン直後は同じくらいの背だったのに、リアムがどんどん大きくなっちゃったの。
L:5インチ(12.7センチ)も伸びちゃったんだ。衣装のパンツの裾を伸ばしてもらうのが大変だったよ。
■それぞれのキャラクター
Q:それぞれのキャラクターには近づきやすかったですか?
E:私は原作のある作品に出演するのが初めてだったの。しかも、この原作には大勢のファンがいる。それが多少プレッシャーになったけれど、キャラクターを理解するのは難しくなかったわ。
L:僕もそんなに難しくはなかったよ。監督のブラッド(・シルバーリング)はものすごく具体的に役柄を説明してくれるんだ。
Q:リアムから見たヴァイオレットとエミリーの違い、エミリーから見たクラウスとリアムの違いは?
L:ヴァイオレットはものすごくお母さんぽいんだ。エミリーはそこまでお母さんぽくはないかな(笑)。
E:クラウスは読書家なんだけど、実際はリアムよりも私の方が本の虫なの。逆に、ヴァイオレットは天才発明家だけれど、実際に機械に強いのは私よりもリアム。私のプレイヤーが壊れた時もリアムが直してくれたのよ。
■実際に父親を亡くし、火事にも遭った
Q:ボードレール三姉弟妹に負けないぐらいひどい目に遭ったことは?
E:彼らほど大変な目に遭ったことはないわ。彼らの境遇は酷すぎるもの(笑)。
L:実は、僕は彼らの気持ちがよくわかるんだ。というのは、僕も幼い頃に父を亡くしているし、火事に遭ったこともある。ただ、それらが同時に起こったわけではないから、彼らには負けるけれどね。
Q:火事に遭ったんですか?
L:うん、撮影終了後にね。撮影前だったら、実際の経験を役に生かしたのにね。
■ジム・キャリーが笑わせる
Q:撮影中に大変だったことは?
E:衣装がすっごく重かったの! 可愛い衣装だから気に入っているけれど、あの重さにはまいったわ。それに、赤ちゃんのサニー(三姉弟妹の末っ子)を常に抱っこしている役目だったから、それも大変だった。あとは、オーストラリアの自宅から離れた場所での撮影だったことかな。ホームシックになることはなかったけれど、撮影を終えて家に帰った時は「もう家から出たくない!」って思っちゃった。
L:一番大変だったのはジム(・キャリー)との共演だよ。彼はとにかく僕らを笑わせようとするんだ。シーンの途中で笑わないようにするのが大変だったね。
Q:ジム・キャリーからは撮影中にいろいろといたずらをされたそうですね。仕返しはしました?
L:そんなことしたら倍返しされるよ。
E:いたずらして、撮影に影響が出たら大変だもの。そう考えてしまうくらい厳しい撮影スケジュールだったの。それに、そんなことしたら、リアムも言ったようにもっと恐ろしい仕返しをされるに違いないわ(笑)。
L:彼のいたずらは楽しいものばかりだから、実は嫌じゃないんだけどね。
■メリル・ストリープは威張らない
Q:ジム・キャリーをはじめ、名優たちが大勢出演していますが、誰との共演が印象深いですか?
E:だんぜん、メリル(・ストリープ)よ! 彼女は本当に尊敬すべきプロフェッショナルなの。彼女がいるとセット全体が引き締まるし、なぜか撮影が早く進むのよね。あれだけ尊敬されている名女優なのに、彼女は絶対に威張ったりしない。学ぶことが多かったわ。
L:僕もやっぱりメリルなんだ。彼女は大変なことも楽しくやってのける。とにかくすごいよ。
Q:そんな映画界で(笑)、今後どのように活躍していきたいですか?
E:今は大学に進むための勉強に忙しくて、本格的な女優業は少しお休みしているの。小さなプロジェクトには参加しているけれどね。あと4、5年は勉強が優先になるかな。でも、共演したい俳優や尊敬している俳優はたくさんいる。ショーン・ペン、ケビン・スペイシー……、それにメリルは4、5年後に私が女優業を本格的に再開した時も変わらず活躍していると思う。あとは私と同じオーストラリア出身のケイト・ブランシェットね!
L:俳優は続けたいけれど、一生かどうかはわからない。監督業にも興味があるんだ。僕はすごく恵まれていて、今までも素敵な俳優たちと共演してきた。今後もそうなるといいね。
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』は5月3日より丸の内ルーブルほかで公開。