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こはたあつこのアカデミー賞レポート~第78回アカデミー賞ノミネーション会場の裏側~

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~第78回アカデミー賞ノミネーション会場の裏側~こはたあつこのアカデミー賞レポート
取材・文・写真 こはたあつこ
ロス時間、1月31日の早朝
 
 
アメリカ映画界、最高の式典、アカデミー賞。その賞レースの火蓋が切って落とされる「ノミネート発表」の瞬間。こりゃあ、見逃すわけにはいきません!夜明けの1時半だっちゅうに、目覚ましで自分をたたき起こす私。
 
 
 
うーん、眠い、寒い、暗いよー。
 
 
 
 
人っ子一人いない真夜中のロスの街を一人で運転しながら、記者って孤独な仕事だなあ・・・、と思わずつぶやいていたのでした。
 
 
 
 
会場はロサンゼルスのアカデミー事務局の2階にある、サミュエル・ゴールドウィン・シアター。中に入ると、世界中から集まってきた約430の記者団たちのために朝食ビュッフェが用意されている。う「わー、うれしい!」と、他の記者と混じりながら、卵やベーコンをほおばる。体力勝負だから、ちゃんと食べておこう。
 
 
 
 
 
そして、いよいよ劇場のほうへ移動。いるいる。カメラクルー、レポーター、記者。皆、それぞれ、機材やマイクの前で準備をしている。あのマイクの前でしゃべっている男性。彼は、ラジオの生放送をやっているのね。そして、カメラの前で練習している栗色の髪のレポーター。彼女、たしか、アメリカの情報番組に出ている人じゃなかったっけ?
朝食ビュッフェです。結構豪華です。
こはたです。世界のプレスにまざって、お食事です
プレスパスです
パンの山、山、山!
あっという間の発表!
 
 
会場のど真ん中には、機材の山。大きな文字のデジタル時計も用意され、5時半きっかりの発表を見逃さんと、皆スタンバっています。
 
 
 
 
 
そして、いよいよ発表開始!
 
 
 
 
 
オスカー像が両脇に立つ壇上にロマンスグレイのアカデミーの会長が登場し、今年の司会者、アカデミー賞女優のミラ・ソルビーノを紹介します。すると、妊娠中のミラのが登場。そして、「懐かしいなあ、最近彼女、どうしているのかなあ」、なんて思っていたのもつかのま。いきなり主要10部門のノミネーションリストの発表開始! 次々とスクリーンのノミネート作品や、人物が変わり、あれよ、あれよという間に、なんと、終わってしまったのでした!(本当は全部で24部門あったのですが、あとの部門は資料でもらった)。
 
 
 
 
 
いや、「さらっと終わる」とは聞いていたけど、ほんと、シンプル。途中、多少の歓声は上がったものの、アカデミー賞の授賞式自体と比べて、かなりあっさりしたものでした。
でも、会場は、発表後からが本番。一斉にレポーターやコメンテイターたちがカメラやマイクの前でしゃべり始めたからです。皆、自分たちの番組にその結果を報告しているのでしょう。また、会長や、ミラにインタビューをしようとする取材陣でごった返しています。
 
 
 
 
 
 
ちなみに、その日のテレビ、ラジオ、ほとんどの番組でノミネーションの結果を扱っていました。トークショーなどでは「どの映画が取ると思う?」と、普通に出演者たちが会話してる。それだけ、アメリカ人にとっては映画の式典アカデミー賞が生活の一部になっているんだなあと、改めて、痛感しました。
特大のオスカー像です。カメラマンさんが立っています。
この人はアカデミー協会会長。
こはたです、ノミネート会場に集まった世界各国のマスコミの人たちです。
いわゆるカンペです。
アカデミーの会長とアカデミー賞女優のミラ・ソルビーノが進行役。
『ハウルの城』と『SAYURI』がノミネート!
 
 
注目すべきは、長編アニメーション部門で、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』がノミネートされたこと!
アメリカでは、宮崎駿はアニメ界の「黒澤明」と見られているようで、評価がいつも高い。私も宮崎アニメの大ファンなので、うれしい。でも今年は残念ながら、同時にノミネートされた『ウォレスとグルミット』に行くだろうなあ。だって、あのクレイアニメ、良すぎるんだもん……
あ、宮崎さん、ごめんなさい。
 
 
また、芸者をテーマにして、渡辺謙さんなどが出演している『SAYURI』は、撮影、衣装デザイン、美術、音響、作曲、音響編集、の6部門でノミネート。アメリカでは作品の信憑性や深みに対しては色々な批評があったけれど、私としては、ビジュアルと音楽で評価されてほしいと思っていたので、予想通りの結果となりました。
 
 
 
また、同性愛者のカウボーイ二人の悲恋を描いた『ブロークバック・マウンテン』が、作品賞、監督賞など今年最多の8部門でノミネート。インディペンデント系の小品であるこの映画。アン・リー監督も「ここまで注目されるとは意外だった」と言っていました。
 
 
香港から来た記者と。彼女にもインタビューされたので、中国の新聞に記事がのるそう。
アメリカでの評価は『千と千尋~』ほどではないかも。
(C)2004 二馬力・TGNDDDT
今年はインディペント系の映画と政治色の強い作品が優勢
 
 
 
そう、今年は、作品賞にひとつも『キング・コング』のような大作が入っていなかったのが特徴。あれだけさわがれた『スターウォーズ エピソード3』でさえ、メイク部門だけのノミネート。『キング・コング』も技術系の部門だけのノミネートでした。

 
 
 
 
また、「作品賞」にノミネートされた5作品のうち、3作品が、政治色や社会的メッセージの強い作品だったことも、今年の大きな特徴。ロスの街の人種差別を描いた『クラッシュ』。赤狩り時代の報道の言論の自由を描いた『グッドナイト&グッドラック』。そして、1972年のミュンヘンオリンピックでのテロリスト事件を扱った「ミュンヘン」。社会派作品が並びます。
 
 
 
アメリカがイラクと抗争を続けているなか、「つくりごと」よりも、「現実の社会」のほうにどうしても関心がむいてしまうのでしょう。
 
 
 
 
 
今までパーティーやスキャンダルで注目されていたセレブたちにもそういった傾向が。アンジェリーナ・ジョリーだって、国連の親善大使として、世界を駆けめぐっているし。今ではブラピもそれに加わったしね。また、ニューオーリーンズの津波の救援活動で活躍するセレブも多かったし。

 
 
 
 
だいたい、『E.T.』や『宇宙戦争』を作ったスピルバーグがテロリストを扱った『ミュンヘン』を撮ったわけですからね。今年はやっぱりアメリカ全体が「社会派」している。
今年のアカデミー賞のポスターです。
妊娠中のミラ
各国のマスコミです。
レポーターが結果を伝えます。
歴史を塗り替えたジョージ・クルーニー
 
 
インタビューすると、いつもジョーク万歳のジョージ・クルーニー。
 
今年はそんな彼の当たり年です!もともと役者なのに、監督した作品『グッドナイト&グッドラック』は、作品賞、監督賞などのノミネートを受けてしまった。と同時に、『シリアナ』という作品では助演男優賞にもノミネート!彼のように、2つの別個の作品で、監督と役者の部門ダブルでノミネートされたのは、アカデミー賞史上はじめてなんですって。
 
 
 
そんな、ジョージ・クルーニー。先日ゴシップ誌でルーシー・リューと噂になっていたけど、「ほんとかいな?!」……って、そんなことはどうでもいいか。

 
ノリにノッているジョージです。
(C)A.M.P.A.S.
賞を狙いたければ、ゲイか実在の人物になれ!
 
 
そう、役者の部門でノミネートされたければ、これほんと。
 
過去にアカデミー賞を受賞した人たちを見ても、ヒラリー・スワンクの『ボーイズ・ドント・クライ』、シャーリーズ・セロンの「モンスター」両方ともレズビアンの役。また、トム・ハンクスの『フィラデルフィア』はゲイでエイズの役。また、昨年の『Ray/レイ』でレイ・チャールズを演じたジェイミー・フォックスは実在した人物、レイ・チャールズの役を演じて受賞しました。で、今年もその流れは健在。
 
 
 
 
主演男優賞候補で有力視されている『カポーティ』のフィリップ・シーモア・ホフマンは、『ティファニーで朝食を』などで知られる実在した作家、トルーマン・カポーティの役。カポーティは実は同性愛者でもあったのです。そんな作家を演じたホフマンの信じられないほどの変身ぶりは大好評。今年は彼で決まり、という声が高いんです。
 
 
また、主演女優賞にノミネートされたリース・ウィザースプーンも実在したカントリー歌手の役。また、他にも主演女優賞にノミネートされたフェリシティー・ハフマンは、女性の性転換手術をする前の男性の役を演じて、注目を浴びています。

 
『ブロークバック・マウンテン』の2人。ヒースはあまり賞に興味がなさそう。
(C)A.M.P.A.S.
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のリース・ウィザースプーン
(C)2005 TWENTIETH CENTURY FOX
(C)A.M.P.A.S.
ノミネートされると儲かる!
 
 
今まで売れていなかった役者がアカデミー賞にノミネートされると、いきなり注目され、収入アップ!これ、当然です。でも、今年、一番嬉しいのは、インディーズ系の作品のプロデューサーでしょう。
 
 
 
ある専門家によると、そういった作品がノミネートされると、注目されたことにより興行収入が増え、1月31日のノミネート発表日から、3月5日の受賞式までの間に100万ドルの興行収入アップが見込まれるそうです。
 
これが大作だと、もともと多くの人がすでに見ている可能性があり、それほどの違いは無いそうな。今年はインディペンデント系の作品が多いため、喜んでいるプロデューサーがさぞかし多いことでしょう!
 
 
 
 
 
 
余談ですが、会場で写真を撮り巻くっていた私自身が逆取材されるはめに。AP通信の「ASAP」という若者向けのサイトだそうな。会場に来ている人たちのファッションチェックをしているとのこと。朝、目が覚めるようにと、真っ赤なセーターを着てきた私に声がかかったのでした。
 
 
さっそくサイトに写真が載ったはいいけど、ちょっと記者のお兄さん。もっとちゃんとした写真撮ってくれっちゅうの。これじゃ、まるでレモンかじったような顔じゃん。おーいい、撮り直してくれーい!
 
 
 
ここのサイトです→(http://asap.ap.org/stories/332812.s ) 
……と、そんなこんなの早朝取材。会場の外に出たころには、朝日がまぶしく、一日がすでに始まっていたのでした。
 
 
 
第78回アカデミー受賞式はロス時間、3月5日、日曜日(日本時間3月6日、月曜日)に開催されます。さあ、どの作品が、どの俳優女優が受賞するのか、そして、スターはどんなファッションでレッドカーペットの上を歩くのか。今から楽しみ!
 
 
 
オスカー像の写真:jemal countess/ WireImage.com / MediaVast Japan
各テレビ局のモニターです。左の時計は時間。朝の5時58分ですね。
取材されるミラ
その場でレポートしています。
こはたが取材されたAP通信の記者です。
会場を出たところで、朝日とこんにちは。早朝です。
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