『X-MEN:ファイナル ディシジョン』ヒュー・ジャックマン単独インタビュー
僕なら愛のために究極の犠牲は払えないだろう
取材・文:渡邉ひかる 写真:亀岡周一
人気のアメコミを映画化した大ヒット・シリーズの第3作『X-MEN:ファイナル ディシジョン』がついに公開される。遺伝子の突然変異で超人的パワーを得たミュータントたちを主人公に、人類との共存の道を探る彼らの壮絶な戦いが描かれてきた本シリーズだが、シリーズの完結編ともいわれる今回は、ヒュー・ジャックマン演じる主人公ウルヴァリンにもシリーズ史上最大級の危機と葛藤(かっとう)が訪れる。劇場公開を前に、プロモーション来日を果たしたヒュー・ジャックマンに話を聞いた。
筋肉増量の秘けつ……
Q:今回は過去2作に比べて、ウルヴァリンの筋肉が増量気味だったような気がしたのですが?
そうだね。その意見は正しいと思うよ(笑)。こういったシリーズに3作も出演すると、撮影前のトレーニングで何をすればよいのかが自然と分かってくるからね。
Q:今も撮影時の筋肉はキープされていますか?
少しは減っちゃったかな。でも、まだ残っているよ。大丈夫(笑)。
Q:トレーニングは大変でしたか?
クランクインの4か月前から1日1時間半のメニューを組んで、トレーニングを始めたんだ。すごく驚いたんだけど、筋肉をつける場合に重要なのは、いかに多くの量を食べるかということ。筋肉を効率よくつけるには、30%はトレーニング、あとの70%は食べることなんだ。
愛妻家の素顔
Q:第3作でウルヴァリンは愛する者のために究極の選択を強いられますが、「自分だったらどうするだろう?」と考えましたか?
ああ、もちろんね。あのとき、ウルヴァリンはいろいろな選択の道を考えたと思う。結局、愛のために究極の犠牲を払ったわけだけど、たぶん僕だったら彼のしたことはできないんじゃないかな。あまり話すとネタばれになってしまうから、詳しくは言えないけれどね。
Q:『X-MEN』シリーズに登場する女性キャラクターの中で、ウルヴァリンではなくあなた自身の好みのタイプは?
僕のタイプ!? 映画には出ていないけれど、僕のタイプは妻だよ(笑)。でも、この映画には確かにたくさんの美女が出ているね。とはいえ、選ぶのはマズいな。トラブルの種になってしまうよ……。だから、「好みのタイプは妻」とだけ言っておくよ。
Q:ハル・ベリー(ストーム役)の好みの男性キャラクターはウルヴァリンだそうですよ。
ハルとは『X-MEN』シリーズ3本と『ソードフィッシュ』で共演しているんだ。この先また4本撮ってもいいくらい、僕もハルのことが好きだよ。
Q:あの……、キャラクターのことですよ?
オゥ! キャラクター……。うーん、フム(笑)。(レベッカ・ローミン=ステイモス演じる)ミスティークかな。ちょっと生意気で、しかもユーモアがある。彼女の突っ張っている感じが好きだね。
Q:そういった女性がお好きなんですね?
そう、その通り(笑)。正解だよ。
監督の交代、スピンオフ企画!
Q:今回は前2作のブライアン・シンガーに代わってブレット・ラトナーが監督していますが、2人とも相当なこだわりを持って作品に取り組む監督だと思います。どちらがよりクレイジーでしたか?
2人ともクレイジーだよ(笑)。でも、タイプが違うね。仕事に対してまじめなのは2人とも共通しているし、世の中で作られたすべての映画について知っているくらい映画おタクなところも一緒。けれど、ブレットは情熱家で、楽しみながらハートで映画を作っている感じ。一方、ブライアンは知的で、頭の深いところで仕事をするタイプだね。今回、ブレットがすばらしかったのは、自分の映画を作ろうとするエゴを持たず、自己を押し殺してまで3部作の完結編を作るのに徹したところ。利己的ではないのがブレッドのよさだね。
Q:『X-MEN』シリーズは今作で完結とのことですが、ウルヴァリンを主人公にしたスピンオフ企画は現在どの程度進んでいますか?
僕もプロデュースに関わっているけど、今はデヴィッド・ベニオフ(『トロイ』の脚本家)がすばらしい脚本を完成させたところ。これから監督を探して、その後にスケジュール組みだね。すごくワクワクしているよ!
好きな女性キャラクターについて聞いたのだが、好きな女性キャストを聞かれたと思い、慌てて妻への愛を示すほど愛妻家のヒュー・ジャックマン。そんな彼が愛のために究極の選択を強いられるウルヴァリンについて語る姿はどこまでもスウィート! 「シリーズ完結編ということは、もうヒューのウルヴァリンに会えないの?」と嘆くことなかれ。「ワクワクしているよ!」と彼自身も期待を隠せないスピンオフ企画を楽しみに待とう。
『X-MEN:ファイナル ディシジョン』は9月9日より日比谷スカラ座ほかにて公開。