『天国は待ってくれる』戸田恵梨香 単独インタビュー
幼なじみと今でも友だちですし、
男と女の友情は成立すると思います
取材・文:平野敦子 写真:亀岡周一
人気脚本家、岡田惠和の初の書き下ろし小説「天国は待ってくれる」が映画化された。幼なじみの男女3人の友情と愛を描いた本作で、彼らのマスコット的存在の可憐(かれん)な少女を演じるのは、これが映画出演3作目となる戸田恵梨香。大ヒットした『DEATH NOTE デスノート 前編』『DEATH NOTE デスノート the Last name』のクセのある役から一転。周りの人々の愛情を受けてすくすくと育った少女を伸びやかに演じた彼女に、撮影の思い出や男女の友情、家族への思いなどについて聞いた。
男女の友情は成立する
Q:将来、移転予定の築地市場での撮影はいかがでしたか?
本当ですか!? 知りませんでした。撮影ではとても懐かしい気分になりました。震災前、地元の神戸にあった市場の雰囲気を思い出しました。おばちゃんもおじちゃんもすごく威勢がよくて、気持ちが良かったですね。
Q:この物語では女1人と男2人の親友同士の恋愛も織り込まれていますが、自分がそのような立場になったらどうですか?
この3人は親友ですし、3人で「聖なる三角形」だと言っていたのに恋が芽生えて、とても複雑だと思いました。わたしなら親友とはずっと親友のままで、それまでの形が変わらないようにしたいというのが正直な気持ちですね。なんだかつらくなってしまいそうで……。今までの関係が変わるのが寂しくて、それがつらいと思いました。
Q:もし自分が岡本綾さん演じる薫の立場で、どちらかを選ばなければならないとしたらどうすると思いますか?
できれば2人とも選びたくないです……。というのが希望ですね(苦笑)。
Q:では、男女の友情というのは成立すると思われますか?
成立すると思います! わたしは幼なじみと今でも友だちですし、やはり男と女の友情は成立すると思います。
家族の愛情が心の支え
Q:とても心が温かくなる作品でしたが、最近そのような気持ちになったことはありますか?
お正月に実家に帰ったのですが、家族の愛情を感じて温かい気分になりました。
Q:家族はみなさん仲が良いのですか?
はい。こんなに仲が良いのは珍しいんじゃないかと思うぐらいとても仲が良くて、寝るときも一緒に寝ています。
Q:ご両親と一緒に寝ていらっしゃるんですか!?
久しぶりに実家に帰ったときには、一緒に寝ているんです。わたしには6歳上のお兄ちゃんと6歳下の妹がいるんですが、さすがにお兄ちゃんは一緒には寝ないです(笑)。お父さんがいて、妹がいて、わたしがいて、お母さんがいてという順番で同じ部屋で寝ています。
Q:今回、井ノ原快彦さん、岡本綾さん、清木場俊介さんと共演されて、現場の雰囲気はいかがでしたか?
アットホームな感じで、本当の家族や友だちのようでした。自分もその中に入ったときにすごく気持ちが良かったし、緊張せずにリラックスすることができました。そんな温かい雰囲気の現場でした。
どのような役でもこなせる女優が目標
Q:「普通の人」の役というのは実はとても難しいと思うのですが、今回普通の女子高生役を演じてみていかがでしたか?
よりリアルなものを求められました。心情的なものが難しかったです。自分の心の中で思っていることを表情だけで表現しなければならなかったりして「あぁ、やはりお芝居って難しいな」と改めて感じました。
Q:大竹しのぶさんのような女優さんになりたいということですが、ほかにあこがれの女優さんはいますか?
中谷美紀さんです。
Q:海外の俳優さんではどなたかいらっしゃいますか?
ジョニー・デップさん! わたしは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを観て彼のファンになったのですが、今まで彼の出ている作品を知らず知らずのうちに観ていたのにわたしの中ではジョニー・デップさんという人物が一致していなかったんですよ。それは彼が演じる役によって見た目も雰囲気もガラリと変えていろいろな役を演じているからなんですね。わたしが大竹しのぶさんと中谷美紀さんを目標にしているのもそこなんです! 何を演じても全然違う顔を見せるところにあこがれます。だからわたしも将来はどんな役でも演じられるような女優さんになりたいと思っています。
Q:ところで、映画の中で登場するオムライスがとてもおいしそうだったのですが、ご自分で料理はなさるのでしょうか?
はい。時間があるときは料理をします。昔からオムライスが好きだったので、作ることも食べることも好きです。あと煮物やだし巻き卵も得意です!
Q:それはすごい! だし巻き卵って巻くのが結構難しいですよね。
それが意外とできちゃうんです。だから最近は得意料理にしています。
愛情が感じられる作品
Q:大先輩の俳優さんたちと共演して、緊張しませんでしたか?
蟹江(敬三)さんや、いしだ(あゆみ)さんは本当のお父さんやお母さんのように温かい方たちでよく話しかけてくださいましたし、いつも笑顔を絶やさない方々に囲まれて落ち着いて演技をすることができました。
Q:ここを観てもらいたいというお気に入りのシーンはありますか?
3人がバラバラになり始めているときに、わたしが演じた美奈子という女の子が薫姉ちゃんの背中をそっと押すようなシーンがあるのですが、そこをぜひ観ていただきたいです。そこが一番難しくて、一番苦戦したシーンだったので。あとお兄ちゃん(清木場さん演じる武志)の寿命を父親から聞くシーンがあるのですが、そこもみんなの気持ちが一つになっているシーンなので、ぜひ観てもらいたいです。
Q:最後にこの映画をご覧になる方々にメッセージをお願いします。
自分にとって身近な人がどれだけ大切なのかということを改めて実感できる作品です。人間の愛情というものを少しでも感じ取ってもらえればいいと思います。家族や友だちと一緒に観に来ていただければうれしいです!
一見大人しそうなイメージの戸田恵梨香だが、一生懸命言葉を選びながら壮大な将来のビジョンを語るあたりはやはりただ者ではない。今は遠く離れた家族の愛を感じながら一人で頑張っている彼女の姿は、人情味あふれるこの物語の登場人物たちと重なる。今回女子校生を演じた彼女はまだ18歳。10年、20年後に彼女がどのような女優になっているのか楽しみだ。
『天国は待ってくれる』は2月10日より全国にて公開。