コンペ22作品をいち早くチェック!
第61回カンヌ国際映画祭
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全世界が注目する『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』も初お披露目となる第61回カンヌ国際映画祭が5月14日から開幕。 パルム・ドールを競うコンペ部門には22作品が選出。注目はオープニングを飾る、ジュリアン・ムーア、伊勢谷友介、木村佳乃らが共演する『ブラインドネス』。日本映画の出品作はないが、クリント・イーストウッド、スティーヴン・ソダーバーグら、日本でもおなじみの監督たちの作品がパルム・ドールを狙います!
『ブラインドネス』(C) 2008 Rhombus Media / O2 Filmes / Bee Vine Pictures. |
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広告界出身で権威ある賞を多数受賞したメイレレス監督にとって、カンヌは国際広告祭などでなじみの地。原作はジョゼ・サラマーゴの「白の闇」。世界で50以上もの賞を受賞した『シティ・オブ・ゴッド』『ナイロビの蜂』の名匠が描くメタファーとは? 日本人のかかわる作品がオープニングに選ばれたのは、1990年の黒澤明監督の『夢』以来18年ぶり。日本公開は2008年11月。 |
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61回特別賞/クリント・イーストウッド
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イーストウッド×アンジーという名実共に注目を浴びる組み合わせ。1920年代を舞台に映画化した本作では『ミスティック・リバー』同様に誘拐という重いテーマでパルム・ドールに挑む。5度目の正直となるか。『ミスティック・リバー』でアカデミー賞主演男優賞に輝いたショーン・ペンが今年の審査員長だけに、恩返し的な結果も!? |
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最優秀男優賞/ベニチオ・デル・トロ
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キューバの革命家、ゲバラの伝記映画が始動して数年。監督の交代やらで、いつ完成するのかと心待ちにされていた『チェ』(原題)。ついにこの2部作の大巨編が、カンヌでベールを脱ぐ! チェ・ゲバラに『トラフィック』のベニチオ・デル・トロ、盟友カストロに『ウェルカム! ヘヴン』のデミアン・ビチルを起用。『セックスと嘘とビデオテープ』で史上最年少のパルム・ドールに輝いたソダーバーグ監督。実に約20年振りとなる栄冠へ期待が高まる。 |
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『シネクドキ、 ニューヨーク』(原題) |
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シネクドキとは比喩法の一つである提喩(ていゆ)のこと。『マルコヴィッチの穴』『エターナル・サンシャイン』の脚本家が待望の監督デビューを果たした。主演は『カポーティ』で強烈な存在感を示しアカデミ賞主演男優賞に輝いたフィリップ・シーモア・ホフマン。共演者もアカデミー賞の常連ぞろいで、ノミネート合計は延べ16回の超豪華キャスト。 |
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『ラ・フロンティエール・デ・ローブ』(原題) |
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60歳を迎えたフィリップ・ガレル監督が前作の『恋人たちの失われた革命』に続き、息子のルイ・ガレルを主演に起用。ヒロインのローラ・スメットも二世俳優で、フランス若手俳優の有望株だ。フランス人監督でフランス語使用の純正映画がしばらくパルム・ドールを受賞していないだけに、そろそろ巻き返しをと期待も大きい。 |
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『トゥー・ラバーズ』(原題) |
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これまでの長編映画4作品すべての評価が高く、将来を嘱望されているジェームズ・グレイ監督。『裏切り者』『ウィー・オウン・ザ・ナイト』と、ここ3作連続でホアキン・フェニックスを起用し、カンヌ映画祭コンペ部門に参加。しかし、いまだ受賞はないので、今回は3度目の正直といきたいところ。ヒロインにグウィネス・パルトローを迎え、保守的な青年との壮絶な愛を描く。 |
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最優秀監督賞/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
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カメラマン出身のジェイラン監督にとって、1995年のカンヌ映画祭で短編作品『コザ』(原題)が初上映されて以来、2003年には『冬の街』、『ウザク』(原題)が審査員特別賞(グランプリ)に、『クライメット』は国際批評家連盟賞に輝くなど同映画祭の常連。また、トルコ映画史上における同映画祭への出品歴を更新し本国でも話題になっている。登場人物に対して観客が感情移入するのを拒むことで、逆に効果をあげるなど独自の手法が魅力。 |
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『24 シティー』(英題) |
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本作を含め同監督の映画で5作品ヒロインを演じてきたチャオ・タオ。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『長江 哀歌』の演技は観るものの心をとらえた。だが上海語が話せないことで本出演が危ぶまれたが、主演クラスで出演することに。ちなみに、本作には北野武監督所属のオフィス北野が出資している。 |
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『アドレイション』(原題) |
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エゴヤン監督は本作でガラリと作風を変えたとうわさされている。1987年のモントリオール映画祭では最優秀作品に選ばれた『ベルリン・天使の詩』のヴィム・ヴェンダースが「アトム・エゴヤンの『ファミリー・ビューイング』に与えられるべき」と賞を辞退した逸話もある。今年のコンペ部門では両監督の作品が選ばれている。今回はどちらに軍配があがるか? |
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『レオネラ』(原題) |
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トラペロ監督はヴェネチア国際映画祭で初監督作『クレーン・ワールド』(英題)で受賞、『ローリング・ファミリー』(英題)でヴェネチアとトロント国際映画祭に公式参加している。『ボーン・アンド・ブレッド』(英題)でも主演を務めたアルゼンチンの女優マルティナ・グスマンがヒロインのジュリアを演じる。実母のソフィアと先輩ママのマータがジュリアの精神面などを支え、刑務所内での育児の困難さ、母性に目覚めるさまを描くヒューマンドラマ。 |
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『パレルモ・シューテング』(原題) |
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写真家のフィンを演じるのはドイツのロックバンド「Die Toten Hosen(ディ・トーテン・ホーゼン)」のカンピーノ。そしてミラ・ジョヴォヴィッチ、パティ・スミス、ルー・リードが自身の役で出演するようだ。ヴェンダース監督が新たな製作会社を設立し、久しぶりに故国ドイツの地でも撮影。これまで15作品がカンヌ映画祭で上映され、『パリ、テキサス』でのパルム・ドール受賞を含め5つの受賞歴があるヴェンダース監督が中年期の人生をいかに写していくか、待望の作品だ。 |
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『サービス』(原題) |
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テレビCM製作を糧に、映画に魂をささげるフィリピンの監督。45歳のときに長編映画デビューを果たした遅咲きだが受賞は多数。本作では道徳の二面性(絶対と相対)を描いたもので、フィリピン映画として24年ぶりにカンヌ映画祭コンペ部門に出品された。ちなみに、メンドーザ監督の最新作『スリングショット』(英題)が4月のシンガポール国際映画祭で監督賞を受賞したばかり。 |
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最優秀女優賞/サンドラ・コルベロニ
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サレス監督といえば、2004年にカンヌ映画祭コンペ部門出品作『モーターサイクル・ダイアリーズ』が有名だが、オムニバス映画『パリ、ジュテーム』でのカタリーナ・サンディノ・モレノ主演「16区から遠く離れて」で共同監督したダニエラ・トマスとの黄金コンビでカンヌ映画祭に挑む。ラテン系イケメンの発掘に期待も!? |
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パルム・ドール
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原作者のフランソワ・ベガドーが自身の教職経験を生かし執筆した半自伝的同名ノベルを映画用に共同脚色し、主演も果たしている。カンテ監督はフランス国立高等映画学院を卒業し、テレビ番組のドキュメンタリー制作に携わった後に『ヒューマンリソース』でセザール賞新人監督賞を受賞した俊英。素人出演者を起用した演出に定評がある。 |
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『ワルツ・ウィズ・バシル』(原題) |
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イスラエル人のアリー・フォルマン監督の実体験を基にしたドキュメンタリー・アニメ。1982年、西ベイルートのパレスチナ難民キャンプで起きた大量殺りくを描く。監督はこれまでも、ガザの占領地区へ踏み込みテレビドキュメンタリーを多数製作。本作は政治的な題材をアニメーションで描く点で、昨年のコンペ部門で脚光を浴びた『ペルセポリス』を思わせるところもある。 |
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『ラ・ムヘル・シン・カベッサ』(原題) |
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2004年の『ラ・ニーナ・サンタ』(原題)以来、4年振りにカンヌ映画祭コンペ部門に出品したアルゼンチン女性監督のルクレシア・マルテル監督。2001年の長編デビュー作『沼地という名の町』は、ベルリン国際映画祭でアルフレッドバウアー賞を受賞。数年来、盛り上がりを見せるアルゼンチン・ヌーベルバーグの中心人物として、カンヌでも熱い視線を浴びるはず。 |
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審査員賞
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戦後以来イタリア政界で幅を利かせ、『ゴッドファーザーPART III』の登場人物、黒幕の政治家ドン・ルケージのモデルとなった現存の政治家ジュリオ・アンドレオッティの半生を映画化。2006年のカンヌ映画祭では『L'amico di famiglia』(原題)がコンペ部門に選ばれ、“ミケランジェロ・アントニオーニ監督の再来”と絶賛されたイタリア映画界期待のホープ、パオロ・ソレティーノがメガホンを取る。 |
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グランプリ
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世界的なベストセラー、ロベルト・サヴィアーノ著のノンフィクション小説「死都ゴモラ」を映画化。先ごろ報道されたナポリのゴミ回収問題とも関係の深い、新興マフィア・カモーラの暗躍を映し出す。監督は映画批評家の父を持ち、2002年に『剥製師』でカンヌ映画祭初コンペを果たしたイタリアの新鋭・マッテオ・ガローネ。主演はもう一つのイタリア作品『イル・ディーヴォ』(原題)と同じくトニー・セルヴィッロ。 |
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『デルタ』(原題) |
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ムンドルッツォ監督は2002年の長編デビュー作『プレザント・デイズ』(英題)でロカルノ映画祭銀豹賞を受賞、2005年のカンヌ映画祭・ある視点部門に出品した『Johannna』(原題)で注目を浴びたハンガリー期待の逸材。本作はシェークスピアの「ハムレット」とエウリピデスの「エレクトラ」から構想を得たという。主演のライコー・フェーリクスはヴァイオリンの鬼才として知られる音楽家。この作品の音楽も手掛けているというから楽しみだ。 |
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『マイ・マジック』(原題) |
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カンヌ映画祭の公式部門への参加は『12 Storeys』(原題)以来11年振り、コンペ部門初出品となるシンガポールを代表するクー監督。日本でも2005年東京国際映画祭「アジアの風」部門で、『一緒にいて』がスペシャル・メンションを受賞。実在の火喰い男の話を本人主演で映画化し、監督が初めてタミル語で撮ったシンガポール色の強い本作。フィリピン映画『サービス』(原題)とともに、東南アジア映画が世界的に飛躍するチャンスだ。 |
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61回特別賞/カトリーヌ・ドヌーヴ
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フランス映画界を代表する俳優陣競演に期待が高まる本作が、地元カンヌで熱狂をもって迎えられるのは必至。監督はこの作品が長編6作目となる、『キングス&クイーン』のアルノー・デプレシャン。大家族のほろ苦い葛藤(かっとう)という地味目の作品だからこそ、成熟した演出と円熟味のある演技を見せてくれそうだ。俳優たちの賞の行方にも注目。 |
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最優秀脚本賞/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
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パルム・ドールを2回と主演男優賞を1回、3度の出品作すべてで賞を獲得し、カンヌ映画祭とは相性のいいダルデンヌ兄弟。各国の映画祭で話題になったアルバニア映画『マジック・アイ』(原題)に出演のコソボ人女優、アルタ・ドブロッシをヒロインに抜てき。パルム・ドールを受賞した前作『ある子供』で憎たらしいほどにリアルな演技を見せたジェレミー・レニエが共演。 |
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