『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』ウエンツ瑛士 単独インタビュー
演じることは素の自分の成長につながっていると思う
取材・文:鴇田崇 写真:秋山泰彦
興収23億円の大ヒットを記録した『ゲゲゲの鬼太郎』の続編、『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』が公開となる。1,000年前に引き裂かれた妖怪と人間の悲恋を軸に語られる妖怪と人間の共存という深いテーマのほか、妖怪総大将ぬらりひょんを緒形拳、夜叉を韓国俳優、ソ・ジソブが演じるなど見どころ満載だ。主演はもちろんウエンツ瑛士。おなじみのメンバーとともに再び鬼太郎ワールドを繰り広げた彼に話を聞いた。
前作とは別物で、大人も楽しめる作品
Q:前作以来、1年ぶりに鬼太郎を演じていかがでしたか?
自分の中では意外と感覚が戻っていたと思いました。前作が公開された後には続編をやらせていただくという話をうかがっていたので、ゲタの練習、片目の練習を怠らないようにしていました(笑)。実際に演じてみて、前回よりもスムーズにいったと思います。片目しか見えていないので、感情の強弱を両目のときよりもはっきりさせないといけなかったんですが、慣れている分うまくいったと思います。
Q:完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
前作とは別物になったというのと、大人の方にも楽しんでいただける作品になっていると素直に思いました。それにCGもパワーアップしていましたので、たくさんのスタッフさんたちの努力や熱い感じがスクリーンに出ていると思いました。
Q:本作では人間と妖怪の共存という深いテーマも語られますが、いかがでしょうか?
鬼太郎はもともと人間と妖怪の架け橋になっていたけれど、今回は最も揺れ動くというか、いち妖怪に戻ったイメージがありますよね。人間と妖怪の真ん中の立ち位置にいるというよりは、妖怪たちみんなと一緒という感じでした。ちょっと子どもっぽい部分も出したりするんですけど、本質的には誰を守るのか、人間を守るにしても鬼太郎の中で何のために人間を守るのか? というテーマを持ちながら、解決に向かっていくラストに向けての流れがすごく見応えのあるものになっていると思います。
必見の妖怪たちが多数登場!
Q:緒形さん演じるぬらりひょんの存在感はすごかったですね。
そうですね。鬼太郎ファンの方々も、ぬらりひょんの登場を待ち望んでいたんじゃないかと思います。ぬらりひょんっていうと強いイメージはないんですけど、淡々と恐怖感をあおったり、いつの間にか大きく見えたりしましたよね。実際の緒形さんはおちゃめな部分もある方ですが(笑)、いったんぬらりひょんに入ると圧倒的なんですよ。だからこそ鬼太郎として、ぶつかっていけたんだと思います。
Q:ソ・ジソブさん演じる夜叉とのバトルはいかがでしたか?
夜叉は基本的にセリフがないんですけど、アクション・シーンなどを通じて、一番気持ちが伝わってきたというか、セリフがない分、心で向き合えたような感じがします。アクションをしていても、一太刀一太刀に思いを感じられたので、鬼太郎も一太刀受けるごとに自分が守るべきものを再認識したりして、気持ちのぶつかり合いがあったと思います。鬼太郎といえば、髪の毛針、リモコン下駄っていうのが作品の中でも大事なポイントですが、生身のぶつかり合いをソ・ジソブさんとやれたことが、この映画のキーポイントでもあります。鬼太郎自身の成長につながる戦いだったと思います。
Q:個人的に好きな妖怪は何ですか?
僕はぬりかべですね。今回の映画に限らず、鬼太郎が主役で最終的に悪いやつを倒す設定はありますけど、ぬりかべって大体いいところで登場するじゃないですか(笑)。戦っているときは登場しないのに、鬼太郎がヤバくなってくると“ぬりかべ~”って出てくる(笑)。あのカッコよさ。「実は来ていたよ、実はお前のこと密かに一番思っていたよ」みたいな(笑)。前に出てくるキャラクターではないですけど、仲間思いの気持ちが昔から好きでした。
鬼太郎に出会い、経験値が上がった
Q:ウエンツさんが考える主人公・鬼太郎の魅力とは何ですか?
年齢的には相当いっているんですけど(笑)、目玉おやじのそばにいて、鬼太郎ファミリーに支えられて、やっぱり子どもっぽい面ですかね(笑)。今回に関していえば、特になぜ人間を助けなければならないのか? という葛藤(かっとう)があって、命を賭けてまで守るべきものがそこにあるのかと思ってしまう弱さだったり、そこからまた立ち直る過程だったり、自分をしっかり持っている妖怪なんだと思い直しました。
Q:鬼太郎と性格的にリンクする部分はありますか?
基本的に面倒くさがりなところが似ているかもしれないですね(笑)。ただ、スイッチが入ったときの気持ちは違うぞっていう鬼太郎の気持ちもわかりますし、鬼太郎を演じていて自分も鬼太郎のようなスイッチの入れ方で、いろんな物ごとを進めていけたらいいと思います。
Q:このシリーズに出会って、ウエンツさんが変わったことや学んだことは何でしょうか?
僕にとっての鬼太郎役は、自分の中で未知の領域でした。もともと愛されていた作品だったので、果てしないプレッシャーもありましたが、そこにぶつかっていけたことで自信をもらえました。僕の22年間の人生でなかったことでしたので、計り知れない経験値をいただいたと思っています。
演じることで実感する自分自身
Q:ウエンツさんにとって、演じることとは何でしょうか?
抽象的な答えになりますが、ウエンツ瑛士本人の成長ですね。テレビに出ている僕じゃなくて、普段家にいるときの自分だったり、家族と接しているときの自分だったりの成長につながっている気がします。人との接し方が変わったねって言われることもあったので、自分が人生を重ねていく上での成長を感じました。今本当に要求されることをありがたく感じているので、期待に応えつつ、それをいい意味で裏切るようなこともしていきたいと思っています。
Q:最後にファンに向けてメッセージをお願いします!
『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』は、はっきり言って前作とはまったく別物の新しい映画です。それぐらいCGやアクションもパワーアップしていますし、何といっても映画の内容が大人の方でも最後はホロっとしてしまい、ラストまで見逃せない展開になっていると思います。ぜひ劇場でご覧いただきたいと思います!
「たくさんの方が観て楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ劇場に何度でも足を運んでいただきたいです」と語ったウエンツ。インタビュー中、言葉を選びながら質問に答えてくれた熱意に、こちらも心を動かされた。妖怪と人間の共存というテーマの中で葛藤(かっとう)し、前進していく鬼太郎と同じように、このシリーズとともに俳優として成長を遂げたウエンツの勇姿をぜひスクリーンで見届けてほしい。
衣装協力:TORNADO MART / スピックインターナショナル
スタイリスト:die-co★
ヘアメイク:岡田いずみ(KiKi)
『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』は7月12日より全国公開