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『20世紀少年』唐沢寿明 単独インタビュー

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『20世紀少年』唐沢寿明 単独インタビュー

原作のケンヂには似てないですが、

やっぱりケンヂだったと思ってくれたらうれしい

取材・文: 平野敦子 写真:秋山泰彦

浦沢直樹原作の大人気コミック「20世紀少年」が、シリーズ全3部作、製作費60億円、約300人の豪華キャスト共演という夢のようなスケールで実写映画化された。自身も連載当初から原作を読んでいたという唐沢寿明が、原作の映画化に対してのプレッシャー、主人公ケンヂを演じてみて思うところや、映画の魅力について熱く語ってくれた。

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映画化するということに驚いた

唐沢寿明

Q:邦画では珍しい3部作『20世紀少年』というビッグ・プロジェクトに参加された感想について聞かせてください。

ビッグ・プロジェクトというよりは、まずはこの作品をどうするのかという思いの方が強かったので、そちらの方がプレッシャーでしたね。原作は連載が始まった当初から読んでいたので、この作品を映画化するということ自体に驚きました。

Q:原作と映画は別ものだとは思いますが、ケンヂ役を演じるにあたって気を付けたことは何かありますか?

僕の役は顔が原作とは似ていないんですよ。似ていないことは重々承知で、キャスティングしてくださったので、何とかやろうと思って今に至っているわけです。原作が好きな方たちは「似てないよ!」って感じると思うんです。それはもう間違いなく10人いたら10人言うと思うんですよ。それで映画を観終わった後に、「最初に出て来たときには似てないと思ったけれど、最後まで観たらやっぱりケンヂだったなぁ……。これだったらまだ許せる範囲だな」って原作が好きな方々が思ってくれれば、自分の役割は果たせたと思います。そのために原作の空気感やケンヂっぽさみたいなものには気を付けました。それを最後までやり切ることで成立していくんじゃないかと思って演じました。

Q:コンビニで赤ん坊をおぶって働いている姿がとても優しそうでした。

以前コンビニでバイトをやっていたので、違和感はほとんどなかったですね。ただ子どもを背負うのはちょっと……(笑)。あの赤ちゃんの扱いがちょっと怖かったかな。よく泣くし、大人の言うことは聞かないので。

秘密基地で遊んだ子どものころの思い出

唐沢寿明

Q:ケンヂは子どものころに “よげんの書”を描いて遊んでいましたが、唐沢さんも彼のような遊びをされた経験はありますか?

ああいうことをした経験はないですね。ただ2000年には隕石(いんせき)が衝突して地球が滅亡するっていう本がはやっていたので、そういう本はよく読んでいました。基地も当然作っていました。そこに集まってただ本を読んでいるやつもいれば、普通に話をしているやつもいる。学校帰りにそこに集まって、別に何をするわけじゃないんだけれど、日が暮れるまでただそこにいました。きっと子どものころって大人たちに秘密を持っていたかったんでしょうね。

Q:ロッカーの夢破れたケンヂを演じていて、もどかしい部分はありませんでしたか?

挫折をしたことで日常に埋没して、コンビニで働いて「おれこんなんでいいのかな?」と思いながら普通に生きているという感覚は、普通によくわかるリアルな話じゃないですか。僕自身も俳優として芽が出るまで、オーディションに受かり続けていたわけじゃないし、辞めようかどうしようか考えたことだって山ほどありますからね。そういう意味では気持ちもよくわかるし、この作品にはいろいろなことを考えさせられましたね。

Q:超豪華キャストが勢ぞろいしていますが、皆さんと共演された感想について聞かせてください。

やっぱり普段できないような人たちと共演したことがとてもうれしかったです。これだけオールスターキャストを集めたことがすごいということではなくて、それぐらい多くのお客さんにこの映画を観てもらいたいということなんだと思います。

Q:フランスをはじめ海外での配給も決まっているそうですが。

もちろん海外のお客さんにもどんどん観ていただきたいと思います。国内だけの配給だけにこだわらずに、そういうことをどんどんやっていけばいいと思います。

実際にロボットが襲ってきたら……

唐沢寿明

Q:“血の大みそか”のシーンは壮絶でしたが、実際にあのシーンを演じられていかがでしたか?

実際にああいうことが起きたら当然大変なことになるでしょうね。ただ、映画の中のようにテレビで大勢の人が死んで大変だって言っているときに、家族でご飯を食べているとか、ああいう人ごとみたいなことってあるでしょう? あれは決して日本だけの話じゃないですよ。やっぱり近所までロボットが近づいて自分に災難が降りかかるまでは、みんなご飯食べていますよ、きっと。そういうところもいろいろと考えさせられるんですよね。最初に出て来たときは笑えるんですけど、2回目以降は笑えなくなってくるんです。

Q:ロボットが襲って来た場合、唐沢さんならどうされますか?

まず全力で逃げるでしょうね、そりゃあ。多分踏みつぶされると思いますけどね、間違いなく(笑)。

Q:最後にこの映画を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

『20世紀少年』やっと完成致しました。お待たせ致しました。本当に原作が大好きな人も、まだ原作に触れていない人も、両方楽しめる作品に本当になっています。2時間20分ですが、あっという間です。ぜひ劇場の大きなスクリーンで観てください。2章が本当に観たくなります!


『20世紀少年』の完成披露イベントも終え、唐沢からはかなり気合いを入れて本作に取り組んでいる熱意が感じられた。だがその気さくな人柄は健在で、写真撮影中に「笑顔をお願いします」と言われると実にさわやかなほほ笑みを見せてくれたのが印象に残る。彼が熱演する主人公のケンヂと同じような、ごく普通の人々の感覚をはるかに超えたスペクタクルの序章の証人となるべく、劇場へと足を運んでもらいたい。

『20世紀少年』は8月30日より全国公開

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