~第1回 2008年11月~
INTERVIEW@big apple
これまでシネマトゥデイにて、毎月コラムを書かせていただいている細木信宏と申します。これからは僕がニューヨークで取材したスターたちの面白エピソードや、ハプニングなどなど、取材した記者でしかわからない彼らの素顔をお届けしたいと思います! それではINTERVIEW@big appleの始まりです!
映画『ザ・ウーマン』(原題)
往年の名監督ジョージ・キューカーによる、映画『ザ・ウーマン』(原題)の現代版リメイク。下記キャストのほか、アネット・ベニング、デブラ・メッシング、ベット・ミドラー、キャンディス・バーゲン、キャリー・フィッシャーらそうそうたるメンバーが出演する。
メグ・ライアン、エヴァ・メンデス、ジェイダ・ピンケット=スミス、デビ・メイザー、ダイアン・イングリッシュ監督とプロデューサーのヴィクトリア・ピアマン
10年間、ジュリア・ロバーツとともにこの企画を練ってきたメグ。しかし製作に入った途端にジュリアの妊娠が発覚! その結果、メグが主役になったとのこと。1990年代は超売れっ子で、日本のCMでもおなじみのメグだったが、最近はすっかり影を潜めていた。その理由は2006年に中国人の養子を招いたこと。メグは現在、子育てに集中しており、相当気に入らない企画でなければ参加しないというスタンスをとっているのだ。
ジェイダは、人気俳優ウィル・スミスの妻であり、ミュージック・ビデオなども手掛ける多彩な女性。またポジティブなエネルギーを振りまく魅力たっぷりな女性でもある。ウィルがゾッコンになるのも納得の美女だ。
エヴァは、雑誌の表紙を飾るほどグラマラスな女性で、インタビューに着てきたドレスは、まるで映画祭やプレミアで着るようなゴージャスなもの。一方、ネイルサロンで働く女性という設定のデビは女優になる前に、実際にマドンナのメークを担当していたという驚くべき経歴の持ち主だ。
映画『ミラクル・アット・セント・アンナ』(原題)
第2次世界大戦中を舞台に、イタリアのトスカーナ地方で戦ったバッファロー・ソルジャー(黒人だけで構成した軍隊)に焦点を当て、その中で活躍する4人のアメリカ黒人兵とイタリア人少年との交流を描いた作品。
予定時間より40分も遅刻して取材現場に現れたリー監督。しかしインタビュー内容はとても濃く、興味深い話が聞けた。ハリウッドにしては低予算の部類に入る戦争映画だが、彼の監督デビュー映画『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』は、さらに低予算の1,700万円で撮影。撮影中にスタッフやキャストたちが飲んだソーダの缶やペットボトルをリサイクルでお金に換え、フィルム代にしたこともあったそうだ。
本作で黒人兵士と交流を深めるイタリア人少年は、フローレンス地方で5千人規模のオーディションの中から選ばれたマテオ君だ。今回の取材で一番印象深かったのは、バッファロー・ソルジャーたちのように、日系アメリカ人が同じイタリアでドイツを相手に激しい戦闘を繰り広げていたということを、唯一の日本人記者である僕にリー監督が熱心に語りかけてくれたことだ。
次回作はカメラ30台を駆使して、NBA選手であるコービー・ブライアントの1日を追いかけたドキュメンタリーとなるようで、企画していたジェームズ・ブラウンの伝記映画と、ロサンザルス暴動をテーマにした映画は、予算上難しくなったらしい。
映画『バトル・イン・シアトル』(原題)
1999年にシアトルで起きた世界貿易機関(WTO)に対して抗議闘争をした人々(環境活動家、弁護士、医師)を力強く描いた作品で、スチュアート監督念願の企画。
シャーリーズ・セロン、レイ・リオッタ、ミシェル・ロドリゲス、マーティン・ヘンダーソン、スチュアート・タウンゼント監督
本作は俳優スチュアート念願の初監督作品で、私生活でもパートナーであるシャーリーズは、彼とフィージー島に旅行に行ったときでさえも、スチュアートが映画に必要な書物を持ち込むありさまで、ロマンチックな気分どころではなかったとボヤいていた。シャーリーズ自身の撮影シーンはわずか3日間なのだが、それについてマーティンは「その短い期間でさえも、スチュアートはシャーリーズを我慢することができないのさ!」とジョークで説明してくれた。
そのスチュアートは、とある女優が撮影開始時期に間に合わず、撮影延期になりそうだったところをウディ・ハレルソンが出演を決定し、ほかの俳優を本作に引き込んでくれて助かったと語った。一方、私生活で問題ばっかりのミシェル・ロドリゲスは、この映画を通して個々の責任感を痛感したらしい。今では地球に優しいエコ活動もしているとのことだ。顔に傷あとのようなものがあり、それが出世作映画『グッドフェローズ』を思い起こさせるレイはインタビューの間、演技論についてかなり熱く語ってくれた。