~第5回 2009年3月~
INTERVIEW@big apple
全米興行収入ナンバーワンになったおバカ映画と、ボリウッドの大スター出演の作品。そして『ピンクパンサー2』を紹介します!
映画『ポール・ブラート:モール・コップ』(原題)
ニュージャージー州のショッピング・センターの警備員ポール(ケヴィン・ジェームズ)は、警察官になることを夢見ているのだが、太っているため健康診断で失敗し続ける。そんなある日、ショッピング・センターに、組織化されたギャングが人質を取って立てこもる事件が発生! 正義感あふれるポールはたった一人で立ち向かうのだが……。
ケヴィン・ジェームズ
日本の知名度は高くないケヴィン・ジェームズ。しかしアメリカで大人気のテレビ番組「ザ・キング・オブ・クイーンズ」で評価され、映画『最後の恋のはじめ方』『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』などに出演している人気コメディアンだ。毎回、親しみやすいキャラクターを演じるケヴィンは、自分の腹の肉をつまみながら「この腹を見ると誰もが親しみを感じるだろ? 誰もがウィル・スミスみたいなわけじゃないからね!」と自虐的に語ってくれた。
そんなケヴィンが目指しているのは、映画『ダイ・ハード』のような体を激しく動かすアクション。今回は『ダイ・ハード』の主役を務めたブルース・ウィリスを目指したようだが、うまくいかなかったそうだ。しかしケヴィンを勇気付けたことが一つだけあったらしい。それはケヴィンのスタントマン。なんでも体つきが一緒だったらしく、「おれもまだまだいけるな」と思ったらしい。だが、それは衣装に詰め物をして太らせていただけで、それを知ったケヴィンはとても落ち込んでいた。
脚本だけでなく、プロデュースも手掛けた本作。予算が少なく、厳しいスケジュールでの撮影だったらしい。ケヴィン自身のショッピング・センターでの思い出について尋ねると、「ほとんどショッピング・センターにいたよ。あの場所は、子どもにとってのナイト・クラブみたいなもんだ。KISSのバンドTシャツを着て、女の子たちをながめていたよ!」と話してくれた。
映画『チャンドニ・チョーク・トゥ・チャイナ』(原題)
インドのデリーでコックをしている純真な男が、中国から来た二人組の男に、古代農民戦士のヒーローの生まれ変わりと勘違いされ、悪徳な密輸業者が牛耳る中国の村に連れて行かれ、業者の撲滅を頼まれるという痛快アクション・コメディー。
アクシャイ・クマール、ディーピカ・パドゥコーネ、ニキル・アドバーニー監督
取材会場に行ってみると、主演のアクシャイ・クマールのハリウッドデビュー作ということで、インドからやって来た取材班だけの記者会見が特別に行われていた。さらに、記者用に振舞われたインド料理は、なぜかインドの記者たちがすべて食べてしまい、僕は空腹を抱えながらインタビュールームへと急いだ。そのとき、国内と国際取材班が同じ日に行われることが急きょ決まったようで、最悪なことに取材部屋には20人近くの記者がいた!
当初予定していたラウンドテーブル・インタビュー(記者数名のインタビュー形式)ならば、多くの質問ができるが、今回は2つの質問くらいしかできないのではないかと思った矢先、さらに状況は悪化! 何と3人のタレントが同時にインタビューするという話になってしまったのだ! 結局インタビューは単なる記者会見状態に……。それから1時間後に取材は始まったのだが、アクシャイの携帯が鳴り、10分間も電話する始末。腹を空かせた記者たちは度重なるトラブルもあって、キレ気味に対応していた。
撮影期間中アクシャイが利用していた運転手はかなりの方向音痴だったらしく、早めに出発しても必ず現場には遅刻していたようだ。「かなりイライラした」とアクシャイは語っていた。すべての特殊効果をインドでまかなったというニキル監督。海外の人たちにもインド映画の技術を知ってもらいたいと切実に語ってくれた。
世界的美術品ばかりを狙う窃盗犯を捕まえるため、あの男が帰ってきた! クルーゾー警部(スティーヴ・マーティン)が、国際的な探偵チームと力を合わせ捜査を繰り広げるも、行く先々でドジを踏むという、ギャグ満載の痛快コメディー。
スティーヴ・マーティン、ジャン・レノ、ハラルド・ズワルト監督
インタビュー会場のテーブルに置いてあったCD。本作のサントラかと思い、手にとってみたら、何とそれはスティーヴ・マーティンがバンジョーを弾いている曲が集められたアルバムだった。スティーヴはバンジョー奏者で有名なトニー・トリシュカと親しく、かなり前からニューヨークのクラブで、トニーとともに演奏をしているほどの腕前。そのスタイルは、カントリー・ウエスタン風らしい。
会見が始まり、クルーゾー警部が世界中で愛される理由を話すスティーヴ。「わたしが演じているからだ」とジョークを織り交ぜながらの返答に会場は明るい雰囲気に包まれた。前作に続き脚本も執筆したスティーヴは、制作会社に「これまで出演した映画で、最後のシーンが結婚式か、わたしが子どもを抱いているシーンかで終わる映画は必ずヒットしている!」と力説し、ラストを付け足したそうだ。
やはり記者の質問がスティーヴに集中し、その横でジッと押し黙っていたジャン・レノ。意外に知られていないことだが、彼はフランコ政権から逃げた両親のもと、モロッコで生まれている。そんなジャンはカサブランカとフランス、そして、ハリウッド進出に至るまでの経緯をそれぞれの文化を交えながら本にするという構想を練っている最中だそうだ。