『ドロップ』成宮寛貴、水嶋ヒロ、品川ヒロシ監督 単独インタビュー
これまでの不良映画とは違う、
老若男女が楽しめて、スカッとできる作品だと思う
取材・文:内田涼 写真:高野広美
人気お笑いコンビ「品川庄司」の品川ヒロシが、自らメガホンを取り自伝的小説「ドロップ」を映画化。脚本も手掛けて、長編監督デビューを果たした。不良にあこがれ公立中学に転校するという品川の分身ヒロシ役には、映画、テレビドラマ、舞台と大活躍の若手実力派、成宮寛貴。ヒロシがリスペクトするカリスマ不良・達也をテレビドラマ「花ざかりの君たちへ イケメンパラダイス 」で大ブレークした水嶋ヒロが熱演している。そんな3人が一堂に会し、破天荒な青春映画『ドロップ』の魅力を語ってくれた。
初の監督作品もプレッシャーはなし
Q:自伝的小説を自ら映画化して初の長編監督デビューとなりましたが、不安やプレッシャーはありませんでしたか?
品川:プレッシャーはなかったですね。何ですかねー、自分が監督として現場に入るのが当たり前のような感覚で。もちろん、たまに「これだけの人とお金が動いてるんだ」って思うことはありましたけど。もともと、いずれは映画を撮りたいと思っていたし、それを実現させるのに、自分が書いた「ドロップ」の映画化以上のチャンスはないと。
Q:成宮さんと水嶋さんにとって品川監督はどんな存在でしたか?
成宮:おれが26年間生きてきた中で、今一番かっこいいと思っている人ですね。監督としてはもちろん、人間として。普段は笑顔でおちゃらけているんですが、瞳の奥に何かすごく熱いものを持っているんですよ。コミュニケーション能力も高いし……とにかく完ぺきな人ですね。
水嶋:天才です!
品川:恥ずかしいな……。
水嶋:とにかく頭が良くって、いろんな計算をしながら演出をしてくださいました。何を撮りたいのか、僕ら演者がどこに向かったらいいのかをとてもわかりやすく伝えてくれましたし。ご本人も役者の顔を持っているので、僕らの気持ちをすごく理解してくれる、距離感の近い監督さんでした。
常にお手本と一緒だった撮影現場
Q:成宮さんは今回、品川監督の分身であるヒロシを演じました。
成宮:演じるのは楽勝でした(笑)! 現場には常にお手本となる品川さんがそばにいてくれたんで。もちろん事前に品川さんのコントDVDを何度か観て研究したんですが、やっぱり現場での品川さんの表情や行動、それと考え方に触れたことが大きかったです。正直、不良を演じるのは得意じゃないんですよ。そんな自分がヒロシを演じられたのは、彼が一生懸命に背伸びして、不良に対してツッコミを入れていくドラマだから。品川さんには、僕のいろんな部分を引き出してもらいました。
Q:品川監督から見た、役者・成宮の魅力とは?
品川:喜怒哀楽がせりふじゃなくて表情で完ぺきに表現できちゃうんですよ。言葉はおまけでしかない。僕を演じてくれた、というよりは見事に主人公ヒロシに成り切ってくれたなと。
Q:そのヒロシがあこがれるカリスマ・達也を演じた水嶋さん。役作りはどのように?
水嶋:まずは髪型ですね。今までとは違う雰囲気を出したかったし、肌も黒くしました。やっぱり威圧感が大切だと思って。とにかく「自分は最強だ」と思い込むことを心がけました。
成宮:本当、確かに最強だった!
Q:品川監督からはどんな指示が?
水嶋:監督からは「やり過ぎない、リアルな不良を演じてほしい」という指示をいただいていました。だから余計なものをそぎ落として、後は監督にすべてを委ねましたね。
水嶋の天然ぶりに一同びっくり!?
Q:アクション満載のこの作品。冒頭、初対面のヒロシと達也がいきなりの乱闘を繰り広げるシーンが強烈でした!
成宮:あのシーンは台本にすると2ページくらいなんですけど、実際の撮影は2ページどころの分量じゃなくて。
水嶋:一日中撮影していましたからね。いつまで続くんだって……(笑)。
Q:観ているこちらが心配になりました。
成宮:不良同士のケンカなんで、どんどんエスカレートしていくんですよ。やっているうちに自然とおれらも強くなっていくし。顔だって、これ以上ないってほど血だらけでした。
水嶋:最初は(成宮さんに対して)遠慮もあったんですけど、途中から「遠慮しちゃいけない」って気付いて、もうボコボコに(笑)。達也は遠慮を知らないキャラクターですからね。真夏の撮影で、真冬の衣装っていうのもきつかったです。
Q:お二人は初共演ですが、ずばりお互いの印象は?
成宮:最初会ったときは「何だこのイケメンは!」って思いましたね。すごく礼儀正しく、言いたいことをはっきり言う。頭も良くて、スポーツ万能で、英語もしゃべれて、完ぺきなわけですよ。どっかアラを探してやろうと必死になって見つけたのが、天然であるということ。
Q:そうなんですか!?
成宮:撮影中に、品川さんたちと鍋食いに行ったんですよ。そしたらヒロ、ケータイいじりながら、もの思いにふけっていたわけですよ。で、何を思ったのか、そのケータイで鍋の中の肉をすくおうとしたことがあって(爆笑)。
水嶋:そうですね。あのときは何を思っていたのか……確かに肉を挟もうとしていましたね。
成宮:いや、ありえないでしょ(笑)。
水嶋:僕にとって、成宮さんはむちゃくちゃ、いいお兄ちゃんでした。だから変に緊張せず撮影に入れたし、みんなで一つのものを作り上げようという雰囲気を作ってくれました。
品川監督の次回作に、早くも出演を売り込み!?
Q:改めて、初監督作品を振り返っていかがですか?
品川:ただの不良映画ではなく、観ていて楽しくなる青春映画に仕上げたかった。それは達成できたと思いますね。撮影中も楽しくて、「楽しい、楽しい」ってずっと口にしていましたし、口に出すと現場のみんなにも伝わりますからね。
Q:こうなると、品川監督としての次回作が気になります。
品川:チャンスがあれば何でもやりたいですね。ホラーとか、時代劇でもいいし。自分でも小説を書いているので、それの映画化にも挑戦したいと思います。
成宮:一緒にメシ食べているときにも、結構いろいろ情報を仕入れています。今、品川さんがどんな小説を書いているのかとか。今から自分を売り込んで、次の監督作にも絶対出演したいんで!
水嶋:僕もぜひもう一度、品川監督の作品に出演したいですね。
Q:最後に映画の公開を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
成宮:これまでの不良映画とは、まったく違う感覚で観ることができる青春ドラマです。不良が苦手な人でも絶対に楽しんでいただけると思います。
水嶋:とにかくアクションがすごいんで、迫力満点です。見どころもたくさんあります!
品川:笑いあり、涙あり、アクションありの青春映画だと思って観てもらえるといいかな。老若男女楽しめて、最後にはスカッとできる映画に仕上がったと思うんで。
劇中そのままに、固い友情で結ばれ、息の合ったやり取りを見せてくれた成宮と水嶋。そしてそんな二人を良き兄貴として、温かく見守る品川。そんな彼らが生み出す、見事なコラボレーションが『ドロップ』の大きな見どころだ。不良映画という枠組みを超えて、エンターテインメント色豊かな青春映画に仕上がった本作で、品川、成宮、水嶋がこれまでにない魅力を発揮している。ナメてかかると、やけどしそうな激アツムービー『ドロップ』がこの春、映画界に旋風を巻き起こしてくれそうだ。
『ドロップ』は3月20日より角川シネマ新宿ほかにて全国公開