~第9回 2009年7月~
INTERVIEW@big apple
今月は、映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』のニア・ヴァルダロスの新作映画『マイ・ライフ・イン・ルインズ』(原題)、ジェシカ・ビール、コリン・ファースら大スターが結集した映画『イージー・ヴァーチュー』(原題)、おバカ映画でおなじみのウェイアンズ兄弟による映画『ダンス・フリック』(原題)を紹介!
『マイ・ライフ・イン・ルインズ』(原題)
旅行会社でガイドをするジョージア(ニア・ヴァルダロス)が、ツアー客を連れてギリシャを旅行中に、ドライバー(アレクシス・ゲオルゴーリス)と恋に落ちるドタバタ・コメディー。
ニア・ヴァルダロス、レイチェル・ドラッチ、ドナルド・ペトリ、アレクシス・ゲオルゴーリス
取材会場には、白いテーブルクロスが敷かれた12人が座れる大きなテーブルがあり、それが3部屋分も用意されていた。さらに、振る舞われた食事のディッシュがなくなればすぐに追加されるなど、対応はとても丁寧。こういった扱いは、大ヒットした『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』並みの興行成績を配給会社が本作でも期待している証拠であろう。2か月前に取材した、映画『ミス・マーチ』(原題)の際にはコーヒーも出ず、記者たちがキレていたのだが……。同じ配給会社とは思えない対応にビックリ!
いよいよインタビューとなったとき、僕の隣に座ったのは大学在学中のインターン女性記者。「これが初めての取材なの……。吐いちゃったらごめんなさいね!」とかなり緊張気味で、インタビュー中は何度も口もとに手を当てる始末。そのインターン記者は吐くことなく無事に取材を終えたのだが、宣言された僕の方としては、彼女が吐く素振りを見せるたびにビクビクしていた。次に取材したニア・ヴァルダロスには、美の秘けつに関する質問が殺到。それは、約7年前に出演した『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』と何ら変わらないスタイルを保っているため。ちなみにニアは「(食べ物の)チーズと別れたのが正解ね!」と笑いながら答えていた。
映画『イージー・ヴァーチュー』(原題)
スキャンダラスな過去をひた隠しにしていた女性ラリータ(ジェシカ・ビール)が、イギリスの上流階級の男性ジョン(ベン・バーンズ)と結婚したことによって巻き起こる騒動を描くコメディー。
ジェシカ・ビール、ベン・バーンズ、コリン・ファース、ステファン・エリオット監督、シェリダン・ジョビンズ、マリウス・デ・ヴリーズ
取材現場には開始20分前に到着したものの、スターが集結した取材だったため、かなり後ろの席に座るはめに……。ジェシカ・ビールが部屋に入ってくるなり身を乗り出して質問を始める男性記者たち。しかも映画のことを聞きつつも、さりげなく恋人のジャスティン・ティンバーレイクとの関係を尋ねていた。ちなみに交際は順調とのことで、ニューヨークに来たのもジャスティンがテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演するからとのこと。またジェシカは、ストリッパーを熱演した前作の映画『パウダー・ブルー』(原題)が劇場公開されず、DVDのみになってしまったのが本当に悔しいと漏らしていた。
次に登場したのはベン・バーンズ。ジェシカとは打って変って、今度は女性記者が身を乗り出して質問攻め。ミュージック・シアターを6年間務めていたベンは、昔はポップスバンドを組んでいたそうだ。だが、その過去はあまり知られたくないようで、当時の映像がYouTubeにアップされていることを極端に恥ずかしがっていた。一方、映画『プリシラ』で有名になったステファン・エリオット監督は、スキーの事故で重傷を負ったためにしばらくの間、映画制作ができなかったそうだが、今では、「セットの木陰で撮影していたパパラッチに小便をひっかけて追い回すくらいまで元気を取り戻した」と語ってくれた。
黒人ストリートダンサーのトーマス(デイモン・ウェイアンズ・Jr)が、白人バレリーナのメーガン(ショシャナ・ブッシュ)と出会ったことから、奇想天外な人生を送っていく爆笑コメディー。
マーロン・ウェイアンズ、ショーン・ウェイアンズ、デイモン・ウェイアンズ・Jr、ダミアン・ウェイアンズ、グレイグ・ウェイアンズ、エイフィオン・クロケット
今回は合同インタビューではなく、記者会見のみ。これだけの大人数を一人一人インタビューするのは大変だと思っていたので、とても楽な取材になるかと思いきや……全員が遅刻。彼らの辞書に遅刻という言葉はないらしく、開始30分後に登場し、悪びれることなく目に入った記者に対してキツいジョークをお見舞いし始めた。髪の毛を紫に染めた女性記者に対しては、雄たけびを上げ、女性記者の名前を連呼。しゃれた靴を履いた男性記者に対してマーロン・ウェイアンズは「へぇ! 君はとても素晴らしい靴を履いているじゃないか! まるでポン引きが履いている靴みたいだな」とかますと、ショーン・ウェイアンズは黒人女性記者に向かって「あれ? 君はポルノ映画に出演していたよね? そのケツに見覚えがあるぜ!」とセクハラ・ギャグをかます。
そして僕の番になると、誰かが「Me So Horny!(ビンビンだぜ!)」(映画『フルメタル・ジャケット』の名セリフ)と発言。アメリカ人はアジア系を見ると、あのセリフが思い浮かぶらしく、かなり笑えた。そんなこんなで会見は無秩序状態になり、質疑応答中も誰かが横やりを入れるなど、返答はグダグダに。僕はこんな無茶苦茶な会見を記事にしなければならないのかと気が重くなってしまった。また、兄のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズとともに制作した伝説のコメディー番組「イン・リビング・カラー」のような番組を今後作ることはないのか? との問いに「作る気はない!」とキッパり言われたこともショックだった。あの番組からジム・キャリー、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ロペスらそうそうたるメンバーが輩出されただけに、彼らのコメントは残念の一言だ。