『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』 DAIGO単独インタビュー
すべての経験が財産になっていると思います
取材・文:斉藤由紀子 写真:尾藤能暢
ロック・グループBREAKERZのボーカルをはじめ、バラエティーやドラマでマルチに活躍するDAIGOが、人気アニメ映画のシリーズ第13作『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』で声優にチャレンジした。役どころは、コナンが調査するミステリアスな連続殺人事件で、捜査線上に浮び上がる重要人物。シリーズ初のゲスト声優という大役にガチで挑んだDAIGOが、完成した作品やコナンとのコラボレートについて、熱く語ってくれた。
まさかの公開ダメ出しに撃沈!?
Q:ついにコナン・ファミリーの一員となった感想をお願いします。
まさかこういう形でファミリーになれるなんて思ってもいなかったので、とにかくうれしいです! 完成した作品も、一言で言っちゃうと「ハンパない!」って感じですね。とにかくスゴイ作品になりました!
Q:今回は公開アフレコもあったわけですが、正直、やりづらくはなかったですか?
本職がミュージシャンですから、ギャラリーがいた方が燃えるときってあるんですよね。ライブならではの緊張感を、いいパワーに変えられたような気がします。いろいろと大変だったんですけど、細かく指導してくださったので、まったく問題なかったです。
Q:どんなところにダメ出しをされましたか?
「もうちょっと星空を見ながら語りかけるように話して」とか、感覚的な部分のダメ出しだったんです。小学校のときにみんなの前で怒られる感じを思い出して、落ち込みそうになりましたけど、それは愛のムチととらえて、すぐにポジティブな方に発想転換させて頑張りました。アラサーでこんな経験するのも貴重だと思って(笑)。でも、結果的には、いいアドバイスをしていただいたと思っています。
Q:アニメの声優は今回が初ですが、特に気を遣ったポイントは?
自分が入ったことによって、アニメの世界観を壊してしまわないように気を付けました。アフレコが終わって、監督さんやスタッフさんたちに、OK! といってもらえた瞬間は、心底ホッとしました。
Q:映画を観る人にぜひチェックしてほしいセリフはありますか?
水谷っていう青年の役なんですけど、初めて登場したときに「ナナ」という恋人の名前をつぶやくんです。その最初の一言にすべてを懸けました。でも映画を観た人は、その声が僕なのかわからないかもしれませんね。
Q:確かに、最初はDAIGOさんの声だってわからなかったです。
もしかしたら、観終わって1時間くらい経ってから、やっと僕の声だったことに気付く人もいるんじゃないですかね(笑)。
いつもそばにいてくれたコナン
Q:『名探偵コナン』という作品には、どんなイメージを持っていますか?
ズバズバと謎を解決していく一話完結の物語で、常に新しい事件や推理を見せてくれる、素晴らしいエンターテインメントですよね。キャラクターもそれぞれ魅力的だし、子どもから大人まで楽しめる貴重な作品だと思います。
Q:原作は現在も「週刊少年サンデー」で連載中ですが、漫画も読んでいましたか?
僕はコナン世代だったので、特に意識しなくても常にそばにありましたね。「ノドが渇いたから水を飲むか」といったくらいの身近な感覚で、当たり前のように漫画も読んでいました。まるで、食事をしたり眠ったりたりするのと同じくらい自然に、いつもおれたちのそばにはコナンがいてくれたって感じです(笑)。だから、今回のコラボレートは本当に感激ですね。
Q:コナンは、子どもになってしまった高校生探偵ですが、もしもコナンのように子どもになれるとしたら、何をしてみたいですか?
習い事を中途半端にしてきちゃったので、もう一度バイオリンを習いたいです。5歳のころに習ってたんですけど、1か月くらいでやめちゃったんです。子どものころからやっていないと、指の関節が動かなくなってしまうらしいんですよね。
Q:今回、声を担当した水谷は、星を眺めるのが大好きな青年でした。DAIGOさんは何を眺めているときが一番和みますか?
おばあちゃんが飼っているワンちゃんを見ていると和みますね。リリーちゃんっていうんですけど、犬種はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル・6世です。あ、本当に6世かどうかはわかりません。何となく言っちゃっただけです(笑)。
Q:今回の事件の犯人は、絶対に許せない人間がいましたが、DAIGOさんが最近体験した、絶対に許せない! と思った出来事は?
許せないことですか……。ないっすねー(笑)。最近、何かに怒ったりすることがないんですよね、マジで。
今回演じたのは“ザ・いいヤツ”
Q:DAIGOさんが演じた水谷は、どんなキャラクターだと思います?
すごくさわやかで清潔感のある好青年ですね。一途でマジメ、すごくいいヤツです。一言で言うと、“ザ・いいヤツ”って感じですよね。いい人過ぎて、刺激がほしい女性にはモテないかもしれません(笑)。でも、彼がいないとストーリーが進まないくらい、すごく重要な役です!
Q:もしかしたら犯人かもしれないですしね(笑)。
犯人かどうかはここでは言えませんが、本当にいいヤツ、ザ・いいヤツなんで、水谷には幸せになってもらいたいです(笑)。
Q:そんな水谷と自分は似ているところがあると思いますか?
どうなんですかねぇ? 似ている部分もあるような気もするし……。確実に似ているのは髪形かな。特にえり足の長さはソックリですね(笑)。
Q:BREAKERZの新曲「Everlasting Luv」も、テレビアニメシリーズ「名探偵コナン」の主題歌になりましたが、コナンの世界をイメージして作ったんですか?
そうですね。そばにいるのに伝えられないもどかしさとか、ずっと思い続けているいちずな愛とか、コナンの蘭ちゃんへの思いを曲に込めました。BREAKERZとコナンとのコラボで、曲がグッと魅力的に輝く気がしますね。でも、コナン・ワールドにも通じるけど、普通のラブソングとしても共感してもらえるはずなので、いいバランスで描けたんじゃないかと思います。
Q:BREAKERZといえば、2008年におじい様(竹下登元首相)の故郷・島根でライブを行いましたね。いかがでしたか?
おじいちゃんに僕の歌を聴いてもらえなかったのが心残りでもあったので、島根でのライブは感慨深いものがありました。当日は、おばあちゃんとお母さんが、おじいちゃんの写真を持って会場に来てくれたんです。なんだか愛を感じましたね。「Everlasting Luv」にも通じるものがありますよね……って、強引に話を曲につなげちゃいましたけど(笑)。
DAIGO 31歳の抱負とは?
Q:声優以外でも、テレビドラマやバラエティーで大活躍中ですが、ご自分の中ではそれらをバンド活動にフィードバックしているのでしょうか?
ジャンルは違うんですけど、エンターテインメントという意味では共通していると思うので、クリエーティブな部分でもかなり刺激を受けています。お芝居をしたりバラエティーに出ることで曲ができることもありますし。すべての経験が財産になっていると思います。
Q:映画の完成披露試写会の翌日がお誕生日でしたが、31歳の抱負などありますか?
今回の声優のように、これからもいろんなことにチャレンジしてみたいですね。あと、今年は7月に日本武道館でライブをやるんです。日本武道館で歌うのは昔からの夢だったので、それに向けて頑張りたいと思っています!
Q:では、これから映画を観る方にメッセージをお願いします。
この作品は迫力があるし、ストーリーもまさかの連続でドキドキします! 本当に老若男女問わず楽しめる映画ですので、ぜひ劇場で観ていただきたいと思います!
映画の完成披露試写会で、舞台あいさつを終えた直後にインタビューに応じてくれたDAIGOだが、疲れなどみじんも見せずに、いつものDAIGO節を連発。何気ない一言がたまらなく面白いという、天性のエンターテイナーぶりを発揮してくれた。どんな質問にも真剣に答えてくれようとする誠実な姿勢は、ザ・いいヤツといっても過言ではない。常にポジティブでナチュラルなDAIGOが挑んだ『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』。本作で披露した渾身の声の演技は、観る者に新鮮な驚きを与えるだろう。
『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』は全国東宝系ほかにて全国公開中