『重力ピエロ』加瀬亮&岡田将生 単独インタビュー
加瀬さんみたいな役者になりたい! もう、加瀬さんになろう!!
文・構成:シネマトゥデイ
人気作家・伊坂幸太郎による同名の傑作ミステリー小説を映画化した『重力ピエロ』は、仙台を舞台に、複雑に絡み合った謎を解いていくうちに、一つの真実にたどり着く物語だ。謎の連続放火事件解明に乗り出した兄と弟が家族のきずなを再認識していく本作で兄弟にふんした加瀬亮と岡田将生は、初顔合わせながら、撮影を通してかなり打ち解けた様子で息もぴったり。そんな二人に、お互いに感心するところや作品に込められたメッセージについて話を聞いた。
兄弟漫才? お互いを褒め合いノリノリトーク!
Q: 観客として作品をご覧になったときの感想を教えてください。
加瀬:あっという間に終わる面白い映画だと思いました。後は森(淳一)監督のエンターテイメントと、いわゆる作家性のバランスがとても面白いと思いました。
岡田:僕も本当に同じで、観終わった後は本当に、本当にいい映画だと思って、この作品に参加することができて良かったと思いました。
Q:今回お二人は初共演ですが、役柄ではなく役者としてのお互いの印象はいかがでしたか?
加瀬:最初に本読みをしたんですけれど、そのときからすでに岡田くんの中に春のイメージがしっかりありました。実際に映画を観ても、春っていう人物がものすごく魅力的に出来上がっていたので、それは単純にうれしいことでしたし、とてもいいと思いました。演じている最中はただ楽しんでやっていたので、役者としては岡田くんがどうだとか、そういうことはあんまり考えていなかったですけれど……最終的に結果を見て素晴らしかったと思います。
岡田:加瀬さんのお芝居を間近で見させてもらって、やっぱりすごいと思いました。僕もこういう俳優さんになろうと……。
加瀬:また思ってもないことを!(笑)
岡田:いや、もう加瀬さんになろうと! 僕は(笑)。
加瀬:取材なんでね!
岡田:はい……。はいじゃない! 違いますよ!! でも本当に加瀬さんはとてもお芝居が自然なんです。僕もなるべく自然にお芝居をしたいと思っているので、いつか加瀬さんに認められるよう、頑張りたいと思います。
加瀬:いや 認めているよ! 素晴らしかったって言っているのに!
岡田:ウソかもしれないじゃないですか(笑)。
加瀬:えー!
作品に込められた家族のきずなや愛について
Q:今回お二人は兄弟という役を演じています。お互いどのような存在だと感じて演じられたんですか?
加瀬:そうですね、泉水にとってというか、最初にすごく意識したことは、映画にとって春っていうのが一番大事だと思って、春の物語だと受け止めていたので、僕は基本的に岡田くん演じる春と小日向(文世)さん演じる父親をずっと見て動いていました。まぁ……春のことはどこか、言葉は悪いかもしれませんけれど、最初は「しょうがねぇな」っていうところから始まったと思うんです。それが何か抱えている思いを知るにつれて、どんどん巻き込まれていくというか自分の問題と重なってくるというか……。単純に言うと、春とお父さんをずっと見ていただけというか、見ていたら大丈夫だと思ってやりました。
岡田:セリフでも「兄貴がいないと何もできない」みたいなことを言っていたと思うんですけれど、僕は本当にその通りだったと思います。
Q:今回、兄弟愛とか家族のきずなが映画の中で深いテーマとなっていますが、この作品を通して家族とのきずなや愛について、何か考えが変わったこととかはありますか?
加瀬:そうですね……変わったことはないかもしれませんね。
岡田:僕はまだ実家なので、親に対して感謝の気持ちを伝えようとか、そういう気持ちになりました。普通に「ありがとう」っていう言葉だけでもいいし、大切にしたいと思いました。
作品を彩る美女二人との交流は?
Q:今回、吉高(由里子)さんや鈴木京香さんなどすてきな女性陣がいらっしゃいましたが、お二人が演じた女性像を見てどう思われましたか?
加瀬:そうですね。すごくつらくも見えるし、強くも見えるし。一言ではうまく言い表せないですね
Q:岡田さんから見て鈴木さんはいかがでしたか?
岡田:僕はほとんど共演するシーンがなかったんですけれど、一言で言うと「強くてかっこいい」というイメージはありましたね。そういう女性もいるんだと映画を観て思いました。
Q:吉高さんとはいかがでしたか?
岡田:吉高さんは、変わっていると思いました。待ち時間とかにたまに一緒の場所にいるってことがあったんですけれど、発言がたまぁに僕には理解できないときがあって、何も言えなくて笑ってしまうことがありました。不思議過ぎて知りたくなる感じはありますね。僕はそこが魅力なんだと思っています。
加瀬:僕はどうしても吉高を見ると噴き出してしまうので……。
落ち込んだときの反応は? 兄弟そっくり!?
Q:森監督はこの作品を通して、人生楽しいこともあればつらいこともあるというメッセージを訴えています。お二人はつらいことがあったらどのように考えて、どのように行動されますか?
加瀬:僕はとことん落ち込むタイプですね。
岡田:僕も落ち込むタイプかも……暗くなるかもしれないですね。
加瀬:さらに人に当たったりしますからね。その人は傷ついて、おれは満足みたいな!
岡田:めっちゃひどい人じゃないですか!
加瀬:とにかく外にぶつけるかもしれない。映画から何も学んでないですね……(笑)。
Q:では最後に、映画を通してお二人が一番感じてほしいことは何ですか?
岡田:僕は役柄からしてみると、率直に遺伝か環境かを考えてほしいです。それを乗り越えられるかというのが僕のテーマだったので、そこをぜひ考えてもらいたいです。上から目線になってしまうんですけれど、時間があれば考えてほしいと思います。
加瀬:僕が台本を読んだときに興味を持ったのは、お父さんのいろんなものの受け止め方だったんです。小日向さんが演じられているお父さんは、その辺がかなり面白いと思うので、ぜひ観てもらいたいです。
劇中では性格の異なる兄弟を演じた二人だが、実際の二人は話すリズムや性格面で妙に似通った部分があるようだ。対人間としてだけでなく、役者としても「加瀬さんのような役者になりたい!」「岡田くんを認めています」とお互いをたたえ合い、仲良くトークを掛け合っていた。その姿は、まるで長年一緒に生活をしてきた本物の兄弟のようだった。そんな相性ぴったりの二人が演じる兄弟の物語をぜひ劇場で観て、家族のきずなや愛について今一度考えてみてほしい。
(C) 2009「重力ピエロ」製作委員会
『重力ピエロ』は4月25日より宮城先行公開中、5月23日より全国公開