『群青 愛が沈んだ海の色』特集第2弾 ~癒しの楽園! “群青ワールド”のいろは!~
癒しの楽園! “群青ワールド”のいろは!
愛する人を失った絶望からの再生を、癒しの楽園・沖縄を舞台に描いた映画『群青 愛が沈んだ海の色』。第2弾では、本作の魅力である独自の世界観を「群青ワールドのいろは」と題して、3つのポイントから迫ります!
い:意外な、あのアジア映画との共通点!?
本作でメガホンを取った中川監督は、監督・脚本デビューの映画『青い魚』で少女のはかない恋を詩的に描き、いきなりベルリン国際映画祭に正式招待されるなどの輝かしい経歴の持ち主。ヨーロッパを中心に高い評価を得ている優秀な監督がアジアにはたくさんいますが、映画『青いパパイヤの香り』のトラン・アン・ユン監督、映画『長江哀歌(エレジー)』のジャ・ジャンクー監督、そして映画『恋する惑星』のウォン・カーウァイ監督らの世界と本作の間には、意外(?)な共通点があるのです! まずは何といっても映像美!! さまざまな苦悩を抱える登場人物たちの日常と、街のネオンや大自然などの映像的な美しさが、見事にクロスオーバーされていくという点です。加えて、ゆったりと流れる時間。この時間の使い方があるからこそ、映像の美しさと人々の心情の変化が相まって、心に訴えかけてくるものがあるのかもしれません。台湾のスター、ワン・リーホン主演の映画『真昼ノ星空』でも、登場人物たちの揺れ動く感情を透明感あふれる映像で美しく描いた中川監督。本作でも日本での公開に先駆け、6月13日より中国で開催されている第12回上海国際映画祭のパノラマ部門への出品が決定しており、まさしく世界に認められたアジア映画の旗手として、本領を発揮しています!
ろ:ロハス度満点! 癒しの渡名喜島を大フィーチャー!!
本作の舞台となったのは、沖縄県の離島、渡名喜島(となきじま)。まだ観光地化されていないこの地で初めての映画撮影が始まると、島自体がほぼ貸し切りの合宿状態となり、スタッフは日々、さまざまな形でシマンチュ(島人)との交流を楽しんだのだとか。また、キャスト勢も本物のウミンチュと一緒に漁に出たり、釣りに行ったりと、まさしく癒しの島でのロハス生活さながらの撮影となりました。そんなのんびりとしたシマンチュたちの生活も本編で垣間見られますが、やはり最大の魅力は、沖縄を撮り続けている中川監督ならではの手腕で展開される大自然の数々。南国らしい美しい海に、白砂の小道や迫力ある崖など、渡名喜島の素晴らしさを存分に味わうことができます! 中でも、佐々木蔵之介や良知真次、福士誠治らの努力のかいもあり、それぞれがスタントなしで15メートル以上も潜って撮影したという海の中シーンは、幻想的な美しさを放っています。
は:果てしない悲しみと絶望の闇から、生きる美しさを描く!
長澤演じる凉子が深い悲しみから立ち直る再生の過程でわき起こる感動は、まさしく本作最大の見せ場!! 思い出の世界で立ち止まってしまった少女が、苦しみや悲しみに向き合い、解放され、再生していく過程は、ゆっくりとした歩みではありますが、わたしたちの心に静かな感動を与えてくれます! また、最愛の妻が残してくれた忘れ形見である娘の存在で悲しみの底からはい上がった龍二(佐々木蔵之介)、失恋という痛手を心に負いつつも、最愛の人の心を救い出すことに希望を見いだし動き出す大介(福士誠治)、そして各々の苦しみを共有し、時に優しく、時に厳しく見守る島の仲間たちの包み込むような愛と、形は違えど愛の痛みに立ち向かうさまざまな人々が登場し、彼らの再生の姿にも魅了されます。