『キラー・ヴァージンロード』上野樹里&木村佳乃 単独インタビュー
二人で話していると違和感がなくて楽なんです
取材・文:小島隆史 写真:秋山泰彦
映画のみならず、ドラマ、演劇と幅広い活躍でいまや日本を代表する演技派俳優の岸谷五朗が、満を持して映画初監督に挑戦した映画『キラー・ヴァージンロード』。主演を務めるのは人気実力ともに若手女優ナンバーワンの上野樹里と、日本映画のみならず海外の作品でもその演技に高い評価を受けてきた木村佳乃。主演を務めた二人が、映画の魅力や撮影中のエピソードなど、さまざまな話をしてくれた。
お互いの印象とキャラクターについて
Q:共演されたお互いの印象はいかがですか?
木村:樹里ちゃんは役に入り込むタイプで、今までに演じたキャラクターに関してもそうですが、どの役も実際の樹里ちゃんとは似ていないですね。今回も、完全にひろ子に成り切っていましたし。
上野:木村さんが演じた小林じゃなかったら、この作品の、例えば家族で観られる様なハートフルな部分が出せなかったんじゃないかなと思います。
Q:お二人とも、とても個性的な役柄でしたね。
上野:ひろ子はすごく天然で、その天然のパワーが超越しているから強いんです。あと、ひろ子らしさを出すために激しいアクションがあったとしても、活発な子に見えないで、それを淡々と普通にこなす女の子であることに気を付けました。逆に小林は、どんなときでも堂々としていましたよね?
木村:でも、言っていることはかなり矛盾しているんですよね。例えばひろ子に「あんたがわたしを殺せば、あなたが不幸になるからわたしは幸せになれる」っていうセリフもそうですし。
上野:そう! ずっとズルズルと「幸せになれるわよ」「なれないじゃん」ということを言っていて、そういう面白い部分をいかに信じ込んだ演技で言うか、みたいなところが大変だったと思います。
木村:小林は強烈なキャラクターなので、どんなときでも振り切ることを必要としていました。
撮影現場も映画同様に予測不可能!?
Q:予測不可能な展開が連続する映画ですが、撮影中に予測不可能の事態は起こりましたか?
上野:ゴリラを背負ってバタフライをするというシーンがあるんですけど、川の水がすごく冷たかったんです。撮影中は横にスタッフさんがバスタブを用意してくださって、そこに、消防用のホースで温泉水をひっぱってきてお湯をためて、カットでオッケーが出たらすぐに浸かれる様にしてくれたんです。もう服のままバッてお湯に浸かっていました。
木村:あれはすごかった!
上野:あのシーンは本当に素のリアクションなんで、本当に必死だったんです。
木村:わたしは、予測不能な樹里ちゃんにビックリしていました(笑)。新鮮で、見ていると本当に面白いんですよね。ずっと見ていたい感じでした。次に何をやるかまったくわからないですから(笑)。
Q:とても息が合っていて、姉妹の様にも見えたお二人ですが、撮影中は、どんな風にコミュニケーションを取っていたんですか?
木村:わたしと樹里ちゃんの会話は、はたから聞いていると、一緒に話していながら、お互いがお互いの話を聞いてないらしくって、一緒にバッと話して、急に話が変わって、何かまた別のことを話す感じのようなんです。だから、周りはついてこられないらしいです。でもわたしたちは楽なんですけどね(笑)。
上野:全然、違和感がないですね。
木村:わたしもそうなんですけど、樹里ちゃんもスパッと話を変えるからね。
上野:すぐ別の話題にいっているのに、それについていけるのって、何かキャッチボールができているからかもしれないですね。それができていない人だと本当に大変だと思います。でもほかの人から見たら予測不可能なんでしょうね。話がよく飛ぶのかもしれない……。
Q:完成した映画を観た感想は、どうでしたか?
木村:わたしは演じていたときの気持ちを考えてしまって、なかなか客観的に観られないんです。でも、これまでに観たことのない映画である事は間違いなかったので、すごくうれしかったです。素晴らしい、すてきな映画になったと思います。
上野:スタッフさんが作品をチェックするために観る試写のときにみんなで笑って観ることができたので、公開されたら劇場でも多くのファンが笑える映画になるんじゃないかと思います。お客さんの反応を観に自分が映画館巡りをしたくなる作品ですね。
主演女優二人から見た岸谷五朗監督って?
Q:ほかにも個性的な役を演じる方が多数出演されていましたね。
木村:北村さんがシャイなキャラクターを演じていらっしゃるのがとても意外でした。樹里ちゃんに抱きつかれたときに「いけない」っていうセリフが面白かったですね。
上野:「いけない」っていうときの言葉遣い、本当に面白かったです(笑)。あと(田中)圭君とか。
木村:圭君いつも寝ていたよね。
上野:うん、成長期なので(笑)。
Q:岸谷五朗さんの初監督作品でしたが、監督をされている岸谷さんはいかがでしたか?
上野:五朗さんは、撮りたいってものが決まっていて、みんながわかりやすく観られる様なお芝居を意識していて、口頭で説明するよりも体現してくれたので、そういうところがほかの方とは違っていました。あと、とても楽しそうにお仕事されている姿が印象的でした。
木村:優しい方です。出演者だけでなく、スタッフに対しても、とっても優しいです。五朗さん自身、役者でもありますし、舞台の演出もしていらっしゃるので、いろいろな立場から物事を見ることができる方だと思います。なおかつ一生懸命にやっている人に対しては本当に優しいし、手を差し伸べてくださる監督です。
Q:最後に公開を楽しみにしている人たちへ一言ずつお願いします。
木村:とにかく遊園地みたいな映画なんです。楽しい気持ちや、怖い気持ち、ドキドキがあって、すごく心を揺さぶられる映画だと思うので、ぜひ大画面で観ていただきたいです。
上野:いろんな要素が入っているので、観た人が楽しめる作品になっていると思うし、五朗さんのいろんなアイデアがあってワンシーンワンシーン隙がなく工夫されているので、観ていて面白いです。ぜひ観ていただきたいです!
お互いに気が合って演技がしやすかったという上野と木村。そんな二人の息のあった演技、そして初の映画監督を務める岸谷五朗の演出によるエッジの効いた斬新な映像に、ハイセンスな音楽がプラスされ、まさにジェットコースターのようにハイテンションで予測不可能な笑いと感動を生み出している。アドレナリン全開のフルスロットル・ムービーをぜひ劇場で体感してほしい!
(C) 2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会
『キラー・ヴァージンロード』は9月12日より全国公開