映画『食べて、祈って、恋をして』ジュリア・ロバーツ 単独インタビュー
わたしたち女性に、自分自身を見つめ直す時期は、人生で数回訪れる
取材・文:シネマトゥデイ
ダメな恋愛を繰り返し、一度も自分と向き合う時間を作れなかった35歳の女性ジャーナリストが、今までの人生をリセットするために自分探しの旅に出る……。作者が体験したあらゆることを赤裸々につづったユーモラスな内容で、世界中の女性たちから共感を集めたエリザベス・ギルバートのベストセラーを映画化した『食べて、祈って、恋をして』。イタリアのおいしいパスタに、輝くような笑顔を見せる主人公を演じるのは、ハリウッドのトップ女優、ジュリア・ロバーツ。女優として、母親として、妻として、輝き続ける彼女に話を聞いた。
挑戦する内容が、複雑であればあるほど、女優としてはやりがいがある
Q:ジュリアさんには本当にたくさんの出演依頼が来ると思いますが、今回の出演に関しては、即決だったんですか?
普通は、台本を読んで気に入ったらすぐに出演を決めちゃうのよ。でも、今回は違ったの。確かに台本を読んで、すごく好きになったんだけどね。時間もかなりかかる作品だし、ロケにも行かなきゃいけない。わたしは、女優でもあるけど、3人の子どもの母親でもあるから、本当に悩んだの。だから、時間をかけて、考え抜いて出演を決めたのよ。
Q:この映画の原作は、世界中の女性たちに共感されてベストセラーとなりました。原作を読んだときの感想を教えてください
この映画の出演が決まるより、ずっと前に原作は読んでいたの。だから、一人の読者として読んだのよ。そして、とってもすてきなストーリーで、ユーモアのセンスがすごく好きだなって思ったの。彼女が自分の体験談を自虐っぽく、面白おかしく語っているところや、すべてをさらけだしている勇気がすごく気に入ったの。
Q:脚本を読んだのは、その後だったんですか?
脚本が届いたときは、原作を読んでから1年後だったの。でも、脚本を読むときは、ただの読者とは違う、女優としての感性で読む必要があるのよ。彼女の体験を、きちんと理解していく必要があったから。でも、挑戦する内容が、複雑であればあるほど、女優としてはやりがいがある役だと思えるのよね。だから脚本を読んでいくうちに、撮影がどんどん楽しみになっていったわ。
撮影には、子どもたち全員連れて行って、ずっと一緒にいたわ!
Q:普通のハリウッド映画は、スタジオでの撮影がメインですが、この映画はロケーションがたくさんありましたね?
ええ、とってもエキサイティングだった! あなたが言うとおり、最近のハリウッド映画は、スタジオで撮影することが多いから(笑)。今回は、実際にいろいろなところにロケをしに行って、しかも大所帯の撮影チームで行ったから、スタッフ同士のきずなも深くなって、とにかく楽しかったのよ。
Q:ずっと一緒にいたら、仲良くなれそうですよね?
最近は、本当にロケに行っていないから、まずどこかに撮影に行くってだけでワクワクしちゃったの。しかもロケ地では、本当にずっと一緒でしょ? 映画の撮影って、撮影期間が終われば、人間関係も終わることが多いけど、今回は、一生続くような友情をはぐくむことができたと思うわ。
Q:先ほどおっしゃったとおり、ジュリアさんは小さなお子さん3人のママでもありますね。ナポリ、インド、バリの撮影のときは、お子さんたちはお留守番だったんですか?
撮影には、子どもたち全員連れて行って、ずっと一緒にいたわ! だからわたしたち家族全員にとって、最高の経験ができたと思う。わたしの女友達には、子どもたちを家に置いて仕事をしている人がたくさんいるし、それがどんなに大変で、寂しくて、心配なのか、とてもわかるから。わたしは、本当に恵まれているし、わたしたち家族をずっと一緒にいられるよう、協力してくれたスタッフたちに、すごく感謝しているの。
常に自分と向き合って、自分を成熟させていくことが大事
Q:女性って、主人公のリズのように、自分を見つめ直したいという時期が、誰にでも訪れると思います。ジュリアさんにとって、それはいつでしたか?
わたしたち女性に、自分自身を見つめ直す時期は、人生で数回訪れると思わない? 人は変わり続けていくし、成長していくしね。よくターニングポイントといえば、自分にとっての大事件が起きたときだとか、人生の危機だったりするように思われがちだけど、そうじゃなくて、常に自分と向き合って、自分を成熟させていくことが大事だと思うわ。
Q:この映画の中で、リズが「自分の人生をいつ受け入れたの?」と聞くシーンがありました。結果的に彼女がとった選択を、どう思いましたか?
人生って、毎日変わっていくもの。リズが、母親にあの質問をしたとき、彼女は人生に混乱していて、ものすごく暗いところにいたと思うの。だから、あのとき彼女が本当に聞きたかったことは、「わたしは、今の自分の人生を何もせず、ただ受け入れるべき? それとも今までの人生を捨てて、新しい生き方をすべきなの?」ってことだったんじゃないかしら。あの映画で彼女がとったのは、本当に大きな選択だったと思うわ。彼女って結構運命論者だと思うんだけど、実は、わたし自身はそうでもないのよね(笑)。たとえどん底にいたとしても、運命的な行動を取らなくても、人生は自然に進化していくんじゃないかって思うわ。
パートナーと親友同士のような関係でいることが、結婚生活で一番重要!
Q:『食べて、祈って、恋をして』というタイトルですが、日本では結婚をすると、相手へのロマンチックな気持ちを忘れがちなんです。だから、熟年離婚が話題になったりするんですが、お子様とすてきなだんなさまとラブラブな生活をしているジュリアさんから、パートナーへの恋心を保ち続ける秘けつを教えてください。
それ本当!? 信じられないわ! わたしは結婚した相手が良かったのかしら!(妊婦姿のスタッフに向かって)あなたにとってもこれから大切なアドバイスを言うから、ちゃんと聞いておいてね(笑)。子どもを持つと子育てに夢中になってロマンスを忘れてしまうっていうのは確かにあるかもしれない。でも、親として、やっぱり子どもの前で、お互いを思いやる関係性はとっても大切なことだと思うの。子どもだけに構うんじゃなくてね。いつまでも結婚式のときの花婿と花嫁の感覚じゃいられないかもしれないけど(笑)、パートナーと親友同士のような関係でいることが、結婚生活で一番重要なんだと思うわ。でも、子育てをしていると、意外に簡単に忘れちゃうのよね(笑)。時間に追われてしまうことはたくさんあると思うけれど、だんなさまとの時間を頑張って見つけてほしいわ!
Q:『プリティ・ウーマン』のころから、あなたはずっとラブストーリーの中で輝き続けていますね。どんな秘けつがあるのでしょう?
いいカメラマンを雇うに限るわ(笑)! 女優としてトップでいることっていうのは、わたしにとってちょっとしたボーナスでしかないの。大好きな女優業、クリエイティブなチャンスをこれだけ長い間もらえたってことが、本当にありがたいことだと思っているわ。これだけ長い間、女優という仕事を続けられていることに、感謝し続けているのよ。
トップ女優ジュリア・ロバーツは、圧倒されるほどバイタリティーにあふれていた。母として、妻として、そして女優として毎日を思いっきり楽しく生き、人生を謳歌(おうか)している彼女は、とてもハッピーに見える。「女優として活躍できていることに感謝している」と言い続けていた彼女の表情は、女優という仕事への愛にあふれていた。映画『プリティ・ウーマン』で、一気にスターダムにのし上がって以来、20年の月日がたった。当時22歳だったジュリアは、3人の子どもの母親となった。彼女が映画への情熱を持ち続ける限り、ジュリア・ロバーツはきっとこれからもスクリーンで輝き続けることだろう。
映画『食べて、祈って、恋をして』は9月17日よりTOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開