『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス インタビュー
海賊の世界は、本当に魅力的で面白い
文・構成: シネマトゥデイ編集部
大人気シリーズ4年ぶりの新作にしての初の3D作品となる映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』。永遠の命をもたらす伝説の泉をめぐって海賊たちが繰り広げる冒険絵巻に世界中が注目している中で、キャプテン・ジャック・スパロウを演じたジョニー・デップと、ジャックの元恋人でありシリーズ初の女海賊でもあるアンジェリカを演じたペネロペ・クルスが、10年ぶりの共演の感想やシリーズに懸ける思いを語った。
役づくりのコツは反抗的に演じること!
Q:ジョニーさんはシリーズ4度目の出演となりますね。
ジョニー・デップ(以下、ジョニー):そうだね。やっていてとても楽しいよ。ジャック・スパロウを演じるときは、いつも何か探求するものがあるんだ。自分のやるべきことはわかっているけど、やることが山ほどあるし、決して飽きはしないよ。
Q:とても興味深い役柄ですよね。
ジョニー:演じている方も、好きなように反抗的に演じることができるからね(笑)。
Q:撮影中に、ジョニーさんがファンレターをきっかけに学校訪問をするという、心温まるニュースがありましたね。
ジョニー:とても変な気持ちだよ。何でもないことなのにね。ある手紙が僕のところに届いて、読んでみると本当に愛らしい内容だった。その子の学校がスタジオからすぐのところだったから、それじゃちょっとビックリさせてみようか、と内緒でその子が通っている学校を訪問したんだ。
Q:本作はシリーズ初の3D映画ですが、何か違いはありましたか?
ジョニー:やはり撮り方が違うね。撮影の過程が興味深いよ。この25年間はフィルムを入れ替えるという作業だったのに、今はコンピューターのチップを入れ替える、というふうに変わっている。とても面白いね。カメラのレンズに対する意識というのがすっかり変わったよ。
Q:スクリーン上での自分自身も違って見えますか。
ジョニー:自分の映画は絶対観ないよ。仕事をするためには観てはいけないんだ(笑)。
ジョニー「僕を忘れないでいてくれてありがとう(笑)」
Q:本作に関して、何か大きなサプライズはありますか?
ジョニー:キース・リチャーズも参加しているんだよ。
Q:撮影では実際に彼に会ったのですか?
ジョニー:いいや。出版した自叙伝の関係でいろいろと忙しかったみたいでね。でも僕はその本を読む機会があってね。とても気に入ったよ。
Q:新しい発見はありましたか?
ジョニー:もちろん(笑)。1ページごとにね。これまでの彼自身をそのまま伝えている。
Q:キース・リチャーズのドキュメンタリーを撮ったのですよね?
ジョニー:今でもまだ撮影は続けているんだよ。いくつかエピソードはすでに撮影したし、山ほど編集をやらなければならない。おそらくもう少し撮影を続けると思う。
Q:劇場公開をするのですか?
ジョニー:そうだね。僕は、将来的には映画館で上映されるべきだと思う。キースの存在はまさにそれに値すると思うよ。
Q:この作品はあなたの代表作でもあります。多くのファンがこの映画でまたあなたを見ることができるのを楽しみにしています。日本のファンにメッセージはありますか?
ジョニー:僕を忘れないでいてくれてありがとう(笑)。君たちのおかげで仕事をもらえるんだ。ありがとう(笑)。
Q:この映画の中ではあなた演じるジャック・スパロウはまだ生きているのですよね。
ジョニー:うん。そうだと思うけどね(笑)。
ペネロペはジャック・スパロウの大ファン!
Q:ペネロペさんは今回がシリーズ初出演となりますが、オファーを受けたときの感想から聞かせてください。
ペネロペ・クルス(以下、ペネロペ):オファーを受けたのは『NINE』の撮影終盤だったけれど、ロブ(・マーシャル監督)に「一緒に『パイレーツ・オブ・カリビアン4』をやってみないか?」と聞かれたの。わたしは「もちろん」と答えたわ。こういうタイプの映画には出たことがなかったし、ジョニーやロブともう一度仕事ができるのもうれしかったわ。ジョニーとはもう10年も一緒に仕事をしていなかったのよ。
Q:前3作はご覧になっていたのですか?
ペネロペ:ええ、あの3作は大好きだったわ。声を出して笑いながら観たほどよ。とりわけ、ジョニーが作り出したあのキャラクターには驚嘆したわね。1作目を観たときには、「なんて勇気ある役づくりなの、しかも素晴らしい」と思ったもの。だから今回、この作品に参加できるかもしれないとロブから聞かされたときは、とてもうれしかったの。
Q:ジョニーさんとは今回が10年ぶりの共演となりましたね。
ペネロペ:映画『ブロウ』で一緒だったとき、わたしたちは本当に仲良くなれたわ。その後ずっと会う機会がなかったけれど、長い空白の年月を経て、今回こうして一緒に長い時間を過ごしていると、日に日に良い感じになっていくのが手に取るようにわかるの。
Q:ペネロペさんから見て、ジョニーさんはどんな人物ですか?
ペネロペ:初めて会ったときにわたしが一番驚いたのは、彼がとてもつつましやかだったこと。誰に対してもとても親切で優しく、素晴らしい頭脳の持ち主なの。明晰(めいせき)で、ものすごく賢くて、機転が利いて、しかも面白い。わたしが知る中で最も面白い人物の一人だし、おおらかな心の持ち主でもあるの。彼のような人と一緒に仕事をできるというのは特別なことだわ。彼は本当に独創的な人物なのよ。
シリーズ初の女海賊は矛盾だらけの役柄
Q:演じるアンジェリカは、シリーズ初の女海賊ですね。役づくりには苦労されましたか?
ペネロペ:アンジェリカは海賊として海賊の頭を持っているわ。狡猾(こうかつ)で、必要とあれば危険な存在にもなる。彼女は駆け引きが大好きだけれど、その心は善良で、どんな行動もその動機は善良なものなの。だけど宗教的な過去や、強い価値観にもとらわれている。つまり彼女が矛盾だらけだという事実が、このキャラクターを興味深いものにしているのね。
Q:ジャックとアンジェリカは元恋人という関係ですよね。
ペネロペ:2人共「生命の泉」を見つけ出そうとしてるけれど、アンジェリカはジャックが必要とする情報を、そしてジャックはアンジェリカが必要とする情報をそれぞれ持っているのよ。それ以外にもいろいろな理由で、2人はお互いを必要としている。だから、船上で駆け引きを繰り広げるというわけ。そういう関係を作り上げていく作業はとても楽しかったわ。
Q:ペネロペさんは、本シリーズに参加してみて、いかがでしたか?
ペネロペ:わたしはヨーロッパ映画で演じることが大好きだし、アメリカの映画に出演するときも、アクションの少ない小品を選ぶ傾向があったわ。それは、そういう映画のキャラクターに大きな興味を感じるからなの。でも今回の作品はその両方を備えていたの。キャラクターにはとても興味深いものを感じることができたし、この手の大作映画がどうやって作られるかを体験できる機会も得られた。海賊の世界は本当に魅力的でとても面白いから大好きよ。この映画が最高だった理由にはそういうたくさんの要素があるの。この映画に参加できたことは本当に幸運だったわ。
久々のジャック・スパロウ役を存分に楽しんだ様子のジョニーとは対照的に、シリーズ初出演となるペネロペは、本作のために殺陣のトレーニングもこなすなど肉体的にハードな撮影だった。それでも「ハワイで見たあらゆる場所が本当に美しかったわ」と撮影を振り返り、ジョニーをはじめとして、黒ひげ役のイアン・マクシェーン、バルボッサ役のジェフリー・ラッシュらとの共演も楽しんだようだ。シリーズ待望の最新作となる本作は、この2人が織り成す恋愛模様も大きな見どころとなっている。
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映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』は5月20日より世界同時公開