第30回 アメリカンコミック・ヒーローお勉強会!
LA発! ハリウッド・コンフィデンシャル
LA発!ハリウッドコンフィデンシャル
アメリカンコミック・ヒーローお勉強会!
いよいよ6月に入って夏も間近! ……と思いきや、今年は季節外れに涼しいロサンゼルスです。それでもボックスオフィスはすっかり夏モード! 日本でも公開間近のアメコミ・ヒーロー映画『マイティ・ソー』が全米映画ランキングで2週連続1位を獲得し、話題になりました。
アメリカでは同じくアメコミ・ヒーローを実写化した映画『グリーン・ランタン』が6月17日に公開。そして来年は超大作映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』も公開が予定されており、今から話題沸騰中です。とはいうものの日本ではまだまだ知名度の低いアメコミ・ヒーローたち。スーパーマンやスパイダーマンは知っていても、その他のアメコミ・ヒーローは……という映画ファンの方も多いと思います。
そこで、今回のハリコンは作品をメイッパイ楽しむために、アメコミ・ヒーローのお勉強会をお届けします! 最近は全米ボックスオフィスの稼ぎ頭と言っても過言ではないアメコミ・ヒーローたち。この勉強会では、スーパーマンやスパイダーマンなどのよく知られているヒーローたちではなく、最近のハリウッド映画で台頭してきているヒーローたちに的を絞って学習していきたいと思います。
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ハリウッドの映画業界を牛耳るアメコミ会社には、DCコミックとマーベル・コミックの2社があります。DCコミックは世界的に有名な英雄、スーパーマンやバットマン、そしてアメリカで公開されたばかりのグリーン・ランタンなどを生み出しました。しかし、スーパーマンやバットマンが誕生してヒットした1930年代~1950年代が「黄金時代」といわれており、映画界では1980年代のスーパーマン・シリーズ、そして記憶に新しいところでは映画『ダークナイト』でおなじみのバットマン・シリーズが大ヒットしているものの、スーパーマン・シリーズの復活は残念な結果に終わり、バットマン・シリーズ以外はイマひとつ元気がない、ライバル会社のマーベル・コミックに押され気味といった状況です。
一方、スパイダーマン、アイアンマン、X-MEN、ハルク、そして間もなく日本でも公開のマイティ・ソーを世に出したマーベルは、業界内では映画スタジオ扱いされており、まさに現在、乗りに乗っているアメコミ会社となっています。
2009年、ディズニーがマーベル・エンターテインメント(マーベル・コミックの親会社)を40億ドル(約3,200億円=1ドル80円換算)という巨額で買収したというニュースは業界内で大きな話題となりました。映画『スパイダーマン』シリーズ、映画『X-MEN』シリーズ、映画『アイアンマン』シリーズ、そして最新映画『マイティ・ソー』の大ヒットで興収ランキング上位の常連となっているマーベルは、政略結婚をしてディズニー家にこし入れしたといったところ。ブランド名のパワーアップを図り、映画業界において、ますます強力な位置を占めることになったわけです。
さて、皆さんはアイアンマンやマイティ・ソー、ハルク、そしてアメリカで7月に公開予定の『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』の共通点をご存じでしょうか?
このマーベル出身のキャラクターたちは、ザ・アベンジャーズというスーパー・ヒーロー・チームに属しており、これまでに公開された映画『アイアンマン』、『インクレディブル・ハルク』、日本公開目前の映画『マイティ・ソー』、そしてアメリカで近日公開予定の映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』は、来年度公開されるスーパー・ヒーロー超大作映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』へとつながっていく……という共通点で結ばれているのです。
マーベルの映画でエンドロールが終わったころに、サプライズで顔を出す、ニック・フューリーという謎のキャラクターをご存じでしょうか。サミュエル・L・ジャクソンふんするこの人物は、世界を悪から守るための組織S.H.I.E.L.D.の長官で、アイアンマンやハルクといったヒーローたちからなる英雄チーム、ザ・アベンジャーズの発起人でもあります。すなわちS.H.I.E.L.D.は、スーパー・ヒーローたちを総括し、悪に立ち向かう組織なのです。
S.H.I.E.L.D.という組織の全ぼうはこれから公開されるマーベル・ヒーロー映画の中で徐々に明らかにされていくはずですが、現時点では続々と登場するスーパー・ヒーローたちの行動を追い、彼らをチームとしてまとめにかかっているという段階のようです。
映画『マイティ・ソー』が大ヒットし、マーベル・ヒーローの新作画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』が待ち望まれているアメリカでは、公開後、来年の期待作『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』に向けての大キャンペーンが一気に始まるといわれています。
映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』は、アメコミ映画に興味のない方でも思わず観たくなってしまうような豪華キャストが集結! まずは映画『アイアンマン』で大復活したロバート・ダウニー・Jrがトニー・スターク/アイアンマンとして、そして映画『アイアンマン2』で初お目見えしたカッコいい女スパイのナターシャ・ロマノフを演じたスカーレット・ヨハンソンもそろって出演決定。映画『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワース、キャプテン・アメリカを演じるクリス・エヴァンスはもちろんのこと、映画『ハート・ロッカー』でアカデミー賞候補にもなったジェレミー・レナーもホークアイという弓を巧みに操り敵を倒すスーパー・ヒーロー役で出演します。また、アカデミー賞作品賞候補にもなった映画『キッズ・オールライト』に出演以来、ホットな注目を集めているマーク・ラファロが、エドワード・ノートンに代わってブルース・バナーことハルクを演じることが決まっています(ハルクの声は元祖ハルクのルー・フェリグノが担当予定!)。
ちなみにクリス・エヴァンスはアメコミ映画『ファンタスティック・フォー』シリーズでストームを演じていますが、キャプテン・アメリカとは全く別キャラなのでご注意を。とにもかくにも超豪華大作になること間違いなしの『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』、来年の公開が今から待ち望まれます。
映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』にむけての計画はクロスオーバー作戦と称され、なんと2005年から企画が始められていたといいます。マーベルがまずは映画製作資金面での後ろ盾となるウォール街のアナリストを集めてプレゼンを行い、映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』でヒーローたちを合流させる前に個々のキャラクターに慣れ親しんでもらうため、それぞれのキャラクターが単独で主人公となる映画を徐々に観てもらうという計画を立てたそうです。実際に、この前代未聞のプランは狙い通りの大成功を収めており、映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』は2012年の公開へ向けて地固めが着々と進みつつあります。この製作のスケールは、さすがアメリカ映画ならでは!という感じですね。
とにかく奥の深いアメコミ・ヒーローたち、氷山の一角をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? そうそう、これから映画『マイティ・ソー』を観に行くという方々に一言。最後のクレジットが流れ終わるまで席を立たないように! サプライズが待っていますよ~! それではまた次回にお会いしましょうね。
(取材・文 神津明美 / Addie・Akemi・Tosto)
高校留学以来ロサンゼルスに在住し、CMやハリウッド映画の製作助手を経て現在に至る。アカデミー賞のレポートや全米ボックスオフィス考など、Yahoo! Japan、シネマトゥデイなどの媒体で執筆中。全米映画協会(MPAA)公認のフォト・ジャーナリスト。
日本語ツイッター始めました!→@akemi_k_tosto
先日の交通事故で左肩の腱(けん)が切れているのがMRIで確認され超ビビってます。手術の可能性アリ……ガ~ン。