映画『マイティ・ソー』浅野忠信 単独インタビュー
ずっとあきらめずに、夢にしがみついてきた
取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 写真:尾藤能暢
アメリカで最も人気のあるコミックヒーロー、ソーの活躍を3Dで描く映画『マイティ・ソー』が、ケネス・ブラナー監督によって製作された。映画『スター・トレック』のクリス・ヘムズワースが主演する本作に、日本を代表する俳優の浅野忠信が抜てきされ、ハリウッド映画デビュー。最近では映画『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』が公開されるなど、日本でも活躍を続ける浅野が、「何もかも、スケールがすごい!」と衝撃を受けたというハリウッドの撮影現場を語る。
オーディションでつかんだ、ホーガン役!
Q:本作への出演はオーディションによって決まったとのことですが、日本にはあまりないシステムですよね?
そうなんですよ。実は、これまでもオーディションの機会はあったんですが、受けようという気にはなれなかったんですよ。でもその後、いろいろ自分で反省するところもあったので、今回はオーディションを受けてみました。だから、役を頂けたときは、自分の実力を認めてもらえた気がして、素直にうれしかったですね。
Q:ハリウッドでは、どんな大物スターでもオーディションを受けると聞きます。オーディションというシステムは、俳優にどんな影響を与えると思いますか?
やっぱり、自分の演技が認められて、自分の演じたい役柄をつかめるってものすごいモチベーションになると思うんですよね。この「マイティ・ソー」っていうコミックは、アメリカでも特に人気のあるものらしくて、キャストのみんなから、本当に出たくて仕方なかったって聞いたんです。だから、現場でもみんなすごくうれしそうなんですよね。オーディションを受けてつかんだ念願の役だからこそ、みんな気合がハンパじゃなかったです。
初めてのハリウッド大作で、大暴れ!
Q:浅野さんが演じられた役柄について教えてください
神の世界から地球に追放された主人公、ソーを連れ戻しにくる三銃士の一人で、ホーガンという名前の男です。寡黙な戦士で、常に戦うことばかりを考えている。自分で言うのも何なんですけど、かなりかっこいいやつだと思います。
Q:ハリウッドのエンターテインメント作品で、今回の浅野さんほど派手に戦った日本人俳優はいないですよね!
確かにそうですよね! 今まで、全然気付かなかったけど、あそこまで派手に戦った役者はいないかも……。なんか、そう考えると、またすごくうれしいですね。たぶん明日には、「ハリウッドの大作で、めちゃくちゃ戦ったんだ!」って自慢していると思います(笑)。
ナタリー・ポートマンら、豪華共演者に大興奮!
Q:ナタリー・ポートマン、そしてアンソニー・ホプキンスなど、豪華キャストとの共演でしたが、お二人にお会いしていかがでしたか?
いや~、正直言ってアンソニー・ホプキンスもナタリー・ポートマンも、すっごい有名なハリウッドスターじゃないですか。そんな有名人と会う機会なんてなかったし、僕、実はかなりミーハーな人間なので、目の前に二人が現れたときは、「うぉー! すげえ!」ってかなり興奮しちゃいましたね(笑)。
Q:実際に現場でお話することはあったんですか?
ありました。ナタリーは、日本語の勉強をしたことがあったそうで、一生懸命日本語で話し掛けてくれました。頭の回転がすごく速い人だなって印象を受けましたね。アンソニーは、初めてお会いしたときに向こうから「君が日本からきた俳優さんか!」って声をかけていただいたのが、すごくうれしかったですね。
Q:三銃士を演じた3人とは、現場でもとても仲が良かったと伺いました
そうなんです。特にヴォルスタッグ役のレイ・スティーヴンソン、それからファンドラル役のジョシュア・ダラスとはいつも一緒にいましたね。2人ともすごく気さくな人たちで、見た目もキャラクターにぴったり。性格もすごく似ているんですよ(笑)。3人で、よろいを着て現代の街を歩く撮影をしているときは、けっこう恥ずかしくて、みんな笑いながら外を歩いていたのを覚えていますね。
夢追い人・浅野は、新しいことに挑戦し続ける!
Q:今回演じたホーガンは、これまでの浅野さんのイメージを思いきり覆しそうですね
実は、こういうヒーローものだとか、アクションものって大好きなんですよね。これまで自分が出演してきた作品や役柄とは違うので、きっと僕を見てきてくれた方は驚くと思います。でも、最近の僕は、新しいことにチャレンジすることが楽しくてしょうがないんです。これからもどんどんいろんな役柄、それから作品に挑戦していきたいって思います。
Q:まさにここにきて大きな夢を一つかなえた浅野さんですが、夢を追うすべての人たちに向けてメッセージをお願いします
僕は日本の映画界でもなかなか芽が出なくて、大きな役をいただくまでにすごく時間がかかりました。ただ、あきらめなかったんですよね。ずっとあきらめずに、夢にしがみついてきたので、皆さんも、夢があるのなら、絶対にあきらめないでほしいです。僕も、まだまだあきらめないで、頑張ります!
本作の後は、ピーター・バーグ監督のSFアクション超大作『バトルシップ(原題) / Battleship』そして、キアヌ・リーヴスが主演する、忠臣蔵のハリウッド版『47 RONIN』にも出演するなど、世界を舞台にした快進撃が止まらない浅野忠信。国内でも、映画『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』や故・赤塚不二夫を演じた『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』など、さまざまな役柄に挑戦している浅野は、とにかく映画の現場が楽しくて仕方がないようだ。うれしそうに撮影の様子を語る彼は、まさに「現場の人」といった様子。これからも、世界を相手にした浅野の活躍から目が離せない。
スタイリスト:北村道子 ヘアメイク:大野拓広(eight peace)
映画『マイティ・ソー』は7月2日より全国公開