「FRINGE/フリンジ」通ライターの証言入手! ハマるツボ調査結果大発表
J・J・エイブラムスが「LOST」に続いて製作総指揮を務め、パイロット版の製作費10億円という破格のスケールで話題を集めた本格派サスペンス・ドラマ「FRINGE/フリンジ」待望のサード・シーズンのブルーレイ&DVDが発売開始! 主人公は、変わり者の博士ウォルター(ジョン・ノーブル)と、IQ190の頭脳を持つ息子ピーター(ジョシュア・ジャクソン)、そして美しく勇敢なFBI捜査官オリビア(アナ・トーヴ)ら超常現象専門の捜査チーム。彼らが現実世界とパラレルワールドの間を行き来しながら難事件を解決していくさまを、二転三転する巧みなストーリーテリングと驚愕(きょうがく)のビジュアルで描き、世界中でセンセーションを巻き起こしている本シリーズの魅力を、ツウなベテランライター陣が証言します!
「フリンジ」とは、テレポーテーション、サイコキネシスなど科学で解明できない不可解な現象のこと。テレビドラマ「LOST」や映画『SUPER8/スーパーエイト』でもおなじみのエイブラムスの十八番であるSF的要素をふんだんに盛り込んだエピソードや、ド肝を抜くトリックに病み付きになること必至。
- セカンド・シーズンでパラレルワールドの存在が明らかになり、サード・シーズンでいよいよ本作の世界観が確立といった感じ。その展開の速さは「エイリアス」並みで、「X-ファイル」的なオカルト要素満載の事件に「LOST」的なタイムラインの複雑な概念、そこにJ・J・エイブラムスらしいギミックの数々が加わり、唯一無二の奇妙で刺激的な世界観に!
- 非主流科学がネタだったはずが、「えっ、パラレルワールドの話なの!?」。J・Jってば、「LOST」と同じく、風呂敷広げまくり。でも、父と子、男女のきずなのドラマが「向こう側」と「こちら側」の世界が入り乱れてカオスと化すあたりは、人間ドラマとしての見応えガッツリです。
- ワタシのお気に入りはウォルター博士とオリビアだけど、とにかく個々のキャラが個性的で生き生きしている。しかも物語の設定がすごすぎ。パラレルワールドを出すとなんでもありの世界観になっちゃうけど、これは違う。現実の世界と「向こう側」の世界が接触し、感情を揺さぶるような「瞬間のドラマ」が次々と生まれる。さらにSF要素を存分に盛り込みながら知的好奇心をくすぐりつつ、ワクワクさせてくれるような壮大なスケール感を持った世界観に圧倒される。
聡明でタフなFBI捜査官オリビア、チームの顧問として父ウォルターを支えるIQ190の秀才ピーターらエリートが集うフリンジ・チームだが、実はみな複雑な事情を抱えて悩み、傷つく姿が等身大の共感を誘う。一番人気は、天才的な頭脳を持ちながら常に奇異な行動で周囲を翻弄(ほんろう)する人騒がせな問題児、ウォルター博士!
- ネジが一本外れた典型的なマッドサイエンティスト風のウォルターは、物語の要でありシリーズの大切なコメディー・リリーフ。彼がいなければ風変わりなフリンジ・ワールドは完成しないのだ。特にサード・シーズンではジョン・ノーブルの巧みな役づくりが素晴らしく、目の表情など細部の演じ分けにも注目を!
- 筋金入りのマッドサイエンティストと思いきや、スイーツ好きで、ラボで牛を飼うという困りもん。そんなところが人間らしくもあり、息子ピーターとオリビアの関係にやきもきして、いいオヤジぶりも見せる。そんな愛すべきクセモノキャラが、全体のドラマを濃ゆーくしてくれてます。
- シリーズの顔は彼だし、独特の空気感は彼が作っていると言ってもいい。「変人と天才は紙一重」を地でゆくような超天才である一方、脳を活性化させるために甘い物に目がないなんて、とってもユニーク。驚異的な思考回路を持つ一方で、子どものようなワガママぶりを見せたり、バツが悪そうな困った表情がこれまたかわいい。オリビアや助手のアストリッドらとの絶妙な掛け合いは、まさに化学反応のように予想できない面白さがある。演じるノーブルの繊細な演技に加え、菅生隆之氏の神懸かり的吹き替えも拍手喝采(かっさい)もの!
映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』でYouTubeに架空のニュース映像を投稿するなど、巧みな宣伝戦略で知られるエイブラムス。本作でも、劇中に登場する大企業マッシブ・ダイナミック社のサイトを立ち上げたりと、こだわりの「仕掛け」が満載。全編にちりばめられた、知る人ぞ知る小ネタを探求すれば、よりディープにハマれるハズ!
- 重要な事件現場に居合わせる、ソフト帽にスーツ姿の謎の男“監視人”。彼らは、ファースト・シーズンでウォルター博士が会ったセプテンバーのほか、ジュライ、オーガスト、ディセンバーなど複数存在し、サード・シーズンで「こちら側」の世界での重大任務が明らかに。また、サード・シーズンではオープニングのタイトルバックが、「こちら側」の回は青、「あちら側」の回は赤、交錯する時は両方となっている。果たして、シーズンフィナーレは何色に……?
- 番組中、CM前にスポット的に入る不思議なシンボルに興味津々。何てことない普通の手と思って見たら指が6本あったり、二つに割れたリンゴの種が人間の胎児だったり。さりげなーく意味深なシンボルが深読みを誘う。そんな遊び心がたまらないんですけど。
- オリビアのめいエラにお話をせがまれたウォルター博士が語ったのが、このエピソード。私立探偵のオリビアやピアノ弾きのブロイルズらが歌い踊るハードボイルド調のレトロフューチャー的なミュージカル。人工心臓やサイボーグなどが登場する破天荒なお話だけど、シリーズにおける人物を象徴的な役柄に置き換えてみたり、相関関係を暗にほのめかしたりして興味深いんだな、これが。
本シリーズの肝は、この世と似て非なるもう一つの世界「向こう側」。セカンド・シーズンでピーターのアイデンティティーを揺るがす衝撃的な事実が明らかになり、サード・シーズンでは「向こう側」と「こちら側」のオリビアが入れ替わり、フリンジ・チームはいまだかつてない試練に見舞われることに! 残るのは、「向こう側」か「こちら側」か? 二転三転する事態に心拍数が急上昇!
- 「こちら側」と「あちら側」の世界を対比させることによって物語の方向性が明確となる第1話から、誰もが予想を裏切られる第22話のクリフハンガー(絶体絶命のシーンで物語を中断させる作劇手法のこと)まで、無駄なエピソードは1話もないほど密な展開にびっくり! 二人のウォルター、二人のオリビアのほか、似て非なる二つの世界の対比がポイント。
- 「向こう側」と「こちら側」のオリビアが入れ替わり、そのせいで後にピーターとの関係がゴタゴタ。ウォルターも二つの世界ではまったく個性も違い、ほかのキャラも一味違う役どころで登場して話が膨らむ。オリビアの上司で不気味キャラのブロイルズがラリった(!?)顔を見せるエピソードもお楽しみにー。
- サード・シーズンでは予測できない展開が目まぐるしく起きて、クギ付けに! 今までは、「向こう側」の世界の人物がどちらかといえば悪者という印象だったけど、このシーズンを観るとその印象が覆されるハズ。「向こう側」のチャーリーやブロイルズはとってもすてきだし、そのほかの人物も印象深い。中でも、現実世界にやって来てピーターに接触する「向こう側」のオリビアは、まるでファム・ファタール(悪女)の雰囲気が見え隠れして強烈。「フリンジ」の本領が発揮されるのは、このシーズンからかもしれない。
映画と海外ドラマを専門とするライター。ミュージカル愛好家。「FRINGE」はセカンド・シーズンで脱落しかけたが、サード・シーズンはハイレベルな出来で大満足。「エイリアス」の極秘作戦支部「SD-6」的な「あちら側」のフリンジ本部メンバーでスピンオフ希望(笑)。
映画ライター。オヤジ俳優偏愛で海外ドラマも「Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―」、「CSI」「クリミナル・マインド」シリーズなどオヤジ度の高い作品に熱中。スーツ好きでもあるので「ホワイトカラー」絶賛、押しまくり。
映画文筆家。映画関連の主な著書に「ホラーの逆襲 ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち」「デストピア聖典 SF&ホラー映画の黙示録」「恐怖の映画術 ホラーはこうして創られる」などがある。10月の新刊「映画秘宝ディレクターズファイル/ジョン・カーペンター」(洋泉社刊)の監修・主筆を務めた。