『ワイルド・スピード MEGA MAX』武井咲 単独インタビュー
ニセモノじゃない本物の臨場感が好き!
取材・文:斉藤由紀子 写真:奥山智明
CGに頼らない超絶アクションで人気の映画『ワイルド・スピード』シリーズ第5弾、『ワイルド・スピード MEGA MAX』の日本語吹き替え版で、大ブレイク中の若手女優・武井咲が声優にチャレンジ! 武井が演じたのは、お尋ね者の主人公ドミニク(ヴィン・ディーゼル)にほのかな思いを寄せていくブラジルの新米女性警察官エレナ(エルサ・パタキ)。「新しいことに挑戦することがすごく楽しい」と瞳を輝かせる武井が、初めて挑んだハリウッド映画の吹き替えで苦労したことや、好みの男性についてなど、等身大の思いを明かした。
アフレコは気持ちの切り替えが大変!
Q:まずは、映画の吹き替えで初めて警察官役に挑んだお気持ちを聞かせてください。
エレナはまだ新米警察官だから、現場で「怖い!」と思ってしまったり、いろいろと迷ってしまうお芝居もあったので、すごく難しかったです。でも、彼女の責任感の強さや、自分を強く持とうする意志を表現するために、声の張り方などを工夫して頑張りました。わたしは声が高いほうなので、なるべくおなかの底から声を出すようにしていました。あと、「確保!」とか、「腹ばいになりなさい!」とか、警官らしいセリフが多かったので、アフレコの前に口の体操をしていたんです。まず、口の筋肉を上下左右に動かしてから、思いっきり舌を震わせるんです。「ダララララ……(実演)」って。そうやっておくと、セリフをかまないようになるんです。
Q:警察官としてのエレナと、ドミニクに惹(ひ)かれていく女性としてのエレナ、その両面を表現するのも難しかったのでは?
そうですね。警官としてのエレナはたくましくカッコよくするように心掛けて、怒っているくらいのトーンで話していたんですけど、主人公に気持ちを寄せていくところは、女の子らしい部分もほんのり入れて、恋心を少しだけ意識してお芝居をした感じでした。その部分のメリハリはしっかり付けたので、強くてチャーミングな女性のイメージに共感してもらえたらうれしいです。
Q:アフレコとお芝居は、まったく違うものだと思いましたか?
違いましたね。実際のお芝居だと、相手の役者さんの目を見て、何を考えているのか感じながら自分の役をつかんでいくんですけど、映画の中の相手はわたしを見ているわけではないから、感覚的につかむのが難しかったんです。声だけの演技だと、自分の素直な気持ちがそのまま出てしまうんですよね。アフレコのときは、ちょっとだけテストしてすぐに本番だったので、気持ちの切り替えが大変でした。オンとオフのスイッチをうまく使い分けないとアフレコはできないんだなって思いました。
ド迫力のカーアクションに思わず鳥肌!
Q:囚人護送車のクラッシュ、列車からの高級車強奪、パトカーとのチェイスなど、すさまじいカーアクションの連続ですが、特に目を奪われたシーンといえば?
選べないです(笑)。カーアクションは全部いいんですよね! アフレコ中に鳥肌が立ってしまうこともありました。とにかく迫力がありますから、映画館の大きなスクリーンと大音量で観たら、きっと気分が高揚して盛り上がると思います。どのシーンも目が離せません!
Q:女性陣も男顔負けのカーアクションに挑んでいますが、武井さんもアクションの演技には興味がありますか?
あります! 女性でアクションをされる方ってすごくカッコイイから、わたしもあこがれてしまいます。それに、体当たりのお芝居というのは、こういったお仕事をやっていないとできないことの一つでもあるので、すごくやりがいを感じられると思うんです。最近まで、「アスコーマーチ ~明日香工業高校物語~」というドラマをやっていたんですけど、撮影では転んだり走ったりするシーンが多かったんです。体力的にキツいこともありましたが、ニセモノじゃない本物の臨場感が好きなんですよね。これからも、違う形のアクションにどんどんチャレンジしていきたいです。
Q:本作のようなカーアクションも似合いそうですよね!
カーアクションもぜひやってみたいです。もともと車って好きなんですよ。家族でドライブに行くのも楽しみでしたし、車のショーにも行ったことがあるんです。車種まではよくわからないんですけど、映画のようなカッコイイ車を見るのも大好きです。
草食系男子よりワイルドな男性が好き!
Q:『ワイルド・スピード』シリーズといえば、セクシーな美女が多数登場しますが、あんなお色気キャラにも挑戦したいと思いませんか?
セクシーかぁ……あと5、6年待っていただいて、色気を付けてからじゃないと無理かもしれない(笑)。でも、事務所の先輩・米倉涼子さんのようなステキな大人の女性になれたらいいなと思っています。大人の色気が出せるときが来たら、セクシーな女性の役にもチャレンジするかもしれませんね。
Q:ちなみに、ドミニクのようなワイルドな男性は好みですか?
あんなふうに強くてたくましくて、守ってくれそうな男性はすごく好きです! 自分の意志をしっかり持っていて、やるべきことは「オレがやる!」って言い切れるところがすごくステキですよね。いわゆる草食系男子より好きです(笑)。草食系の人って、どこか女の子っぽい要素があるような気がするんですけど、わたしの場合は、一切そういった要素を男性に求めていないんです(笑)。男の人には、いつも男らしくいてほしい。「オレに付いてこい!」みたいな、ちょっと古くさくてもいいから、男気のある人がいいですね。
“百の顔を持つ女優”になりたい
Q:女優デビューからまだ数年なのに、ハイスピードで活動のフィールドを広げていますね。周囲も自分自身も急激に変化しているのではないですか?
それは感じています。今は、毎日のお仕事がすごく充実していて楽しいんです。今回もハリウッド映画の吹き替えは初めてだったのですが、こういった新しいことにチャレンジさせてもらうことがすごくうれしくて……。「忙しくて遊ぶヒマがないでしょ?」って言われることもありますけど、正直なところ、遊んでいるよりも仕事をしていたほうが楽しいんです。どんなお仕事でも、せっかくのチャンスなのだからしっかり自分のモノにしていきたいし、女優としての夢が少しずつかなっているように思うので、もっともっと頑張っていかなくちゃいけないなと感じています。
Q:どんな女優を目指しているのでしょうか?
シリアスなお芝居だけじゃなくて、コメディーなども幅広くできる女優になりたいです。例えば、裏表のある難しい役柄をやっていても、次は天真爛漫(らんまん)な明るい役にすぐ切り替えができるような、百の顔を持っているような女優を目指しています。
Q:では、いつの日かぜひ、セクシーな役にも挑戦してください!
そうですね(笑)。セクシーな悪女の役なども、まだ経験したことがないので、やってみたら面白いかなと思います。それから、いつかハリウッドでアクションがやれたらうれしいです!
シックな黒のドレス姿で取材現場に現れた武井は、とても17歳の現役高校生とは思えないほどのつややかな美しさ。見た目だけでなく、中身もしっかりとした自分の意見を持つ、とても聡明な女の子だ。本作で堂々たる声の演技を披露したかと思えば、2012年にはNHK大河ドラマ「平清盛」への出演や、映画『るろうに剣心』のヒロイン役も決定し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで走り続けている彼女。この勢いなら、いつか本当にハリウッド進出を果たしてしまうかも!? そんな期待を抱きつつ、これからも武井咲の活躍に注目していきたい。
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映画『ワイルド・スピード MEGA MAX』は10月1日より全国公開(9月23日から25日まで3日間限定で先行上映)