派手な爆発や撃ち合い、猟奇的な殺人など、いまやテレビドラマの犯罪捜査ものの主流である刺激的なイベントを極力排除した犯罪ドラマが日本に上陸した。タイトルも「ホワイトカラー “知的”犯罪ファイル」 。名探偵ポワロや刑事コロンボのように頭脳的に事件を解決していく犯罪捜査ドラマだ。ニューヨークを舞台にしているだけあって衣装や小物そしてなによりも街そのものが洗練されている。元犯罪者のニール・キャフリーとFBI捜査官のピーター・バーク捜査官のコントラストも絶妙で一度観たら絶対ハマる。シネマトゥデイでは、ニューヨークで主人公ニール・キャフリーはじめ本物の元FBI捜査官などにこのドラマの何がそんなに面白いのか? 何がほかのドラマと違ってユニークなのかを捜査してきた。
詐欺をテーマにした映画は『ユージュアル・サスペクツ』 や『スティング』など名作も数多い。そんな中で、このドラマと設定が似ているのは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』 。天才詐欺師フランク・W・アバグネイルと彼を追う捜査官との追跡劇をスティーヴン・スピルバーグ監督のもとレオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスという豪華キャストが演じ話題になった。天才詐欺師と捜査官がタッグを組んで捜査をするというシチュエーションは「ホワイトカラー “知的”犯罪ファイル」も同じだ。マット・ボマーは参考にした映画やキャラクターを以下のように供述した。
「クリエイターのジェフ・イ―スティンと始めのころに、情報源となる資料を読み、役柄の参考となるものについてはよく話し合いをしたんだよね。『泥棒成金』(1955年公開)のケイリー・グラントから、『スティング』(1974年公開)のポール・ニューマンから、それに、『フェリスはある朝突然に』(1987年公開)ですらね。彼は大きな子どもみたいなところがあって、完全には大人になりきっていないし、衝動的な行動をする。自分自身に正直であるところがあるからね。それから誰がいたかなあ。そうそう、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2003年公開)のフランク・W・アバグネイルとかね」
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「ホワイトカラー “知的”犯罪ファイル」ニール(左)とピーター(右)のコンビが知的犯罪にメスを入れる!
(C)2011 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(左)トム・ハンクス演じるカール・ハンラティ捜査官 レオナルド・ディカプリオ演じるフランク・W・アバグネイル
Kobal/DREAMWORKS/The Kobal Collection/WireImage.com
オシャレドラマの代表格「SEX AND THE CITY」の舞台がニューヨークであるように「ホワイトカラー “知的”犯罪ファイル」の舞台もニューヨーク。主人公ニールは捜査に協力することを条件に釈放されているため、足にGPSを装着し監視されており、ニューヨークから出ることができない。ニューヨークは言わずと知れた洗練された文化の中心。ニールのファッションや部屋のインテリアなどがさりげなくハイセンスだ。またニューヨークの行ってみたい場所、お店などサラリと登場するので見逃せない。そんな文化の最先端を取り入れながらも、マット・ボマーはニール・キャフリーのファッションを意外にもトラディショナルなアイコンを参考にしたらしい。以下がマット・ボマーの供述。
「ファッションは、ラット・パック(1950年代にハンフリー・ボガードを取り巻くフランク・シナトラ、サミー・デイヴィス・Jrなどの俳優仲間)をすごく意識したものであることだけは確かなんだ。彼が何者で、どんな人間を信じるのかとか、信条とか、人生観とかに大きく影響したからね。それで、彼はきっとそういういろいろなアイコニックな人々から、ニールのアイデンティティを創り上げたんだよね。フランク(・シナトラ)とか、ディーン(・マーティン)とかね。だから、彼の人間像は、そういう人々に大きく影響されていると思う。それから、テーパード・スーツとか、すごく身体にフィットしたスーツとかね。ポケット・チーフとか、アクセサリーとか。パーソナルなスタイルのセンスみたいなものもね」
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昨今知的犯罪というとインターネット犯罪がすぐ思い浮かぶが、「ホワイトカラー」で取り扱う犯罪は古美術品や証券偽造などアナログなものが多い。しかもその手口がとても巧妙で、経験の浅い脚本家には思いつきそうもないインテリジェンスに富んだものだ。実際、このドラマでは元FBIの知的犯罪捜査官をアドバイザーに迎えている。以下が元FBI捜査官の供述。
「FBI時代についての具体的な経験はここでは控えさせてもらうけど、でも、番組のエピソードの中で語らせてもらうと、ホワイトカラー犯罪の中で、証券取引ねつ造について扱ったエピソードがあるんだけど、それは僕が他の捜査官と一緒に実際に経験したものに非常に近いんだよね。自分が監修したものや、または実際のユニットとして捜査したものとね。そのエピソードの中での、犯罪者がどのようにそれを仕組んだのかと、それに対して捜査官がどう行動したのかが、自分の扱った事件と非常に似ていて、非常にリアルに描かれていたんだ」
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「ホワイトカラー “知的”犯罪ファイル」は物語が「ニューヨークが舞台」「知的犯罪」と、いかにもトンがった印象だが、意外にメインキャラクター間には家庭的な雰囲気がただよう。その一番大きな要素は、ピーター捜査官と妻のエリザベスの仲の良い夫婦の関係が周りを温かく包みこんでいくからだ。「ビバリーヒルズ青春白書」でバレリー役を務めたティファニー・ティーセンがピーターの妻エリザベスを務め、そのキャラクターはまるで太陽の陽ざしのようにまわりを包み込む。ときには信頼関係がゆらぐピーターとニールの関係もエリザベスが間にいるだけで、きずなが深まる。ティファニーは実生活でも母親であり妻であり、温かい家庭を築きながらも最近は監督業もはじめ、家庭と仕事の両立を見事にやってのけており、それが役柄にもにじみ出ている。以下ティファニーの供述。
「ピーターが仕事を持ち込めるのは、二人が信頼し合っているからこそで、二人ともが家に仕事を持ち込めて、お互いの仕事について話し合える関係性というのは、私はむしろ素晴らしいことだと思うの。それからピーターはエリザベスのアドバイスを本当に尊重しているし、彼も彼女の仕事に対して同じだと思うの。彼女は彼の仕事に対する、知性や視点、その他いろんなことに本当に尊敬しているし、彼自身も同じように感じているの。だから私は二人が仕事を家に持ち込んで、お互いの考えをやり取りできるというのは、素晴らしい結婚関係だと思うの」
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ニールとも仲良しなピーターの妻エリザベス(ティファニー・ティーセン)
「ホワイトカラー シーズン2」DVDコレクターズBOX 11月16日発売(予定)9枚組(本編8枚+特典1枚) 12,800円(税込13,440円) 11月2日レンタル開始
発売元:20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン
取材・文・構成:シネマトゥデイ 下村麻美
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