米フォーブス誌が発表する「ハリウッドでギャラをもらい過ぎている俳優」ラインキングや、「最も稼いだ俳優ランキング」などには目もくれず(?)地道に働き続けるインディーズ系俳優たち。さえない役や、コメディアン的な芸を見せる脇役だった彼らが徐々にメジャー系作品の主役となっている。
ダブルインディーズ系俳優共演、『50/50 フィフティ・フィフティ』 (12月1日公開)の主演はジョセフ・ゴードン=レヴィット 、脇を固めるのもインディーズ系セス・ローゲン 。セスは、『グリーン・ホーネット』 で、まさかの主役を張った俳優だ。
昨年『インセプション』 でレオナルド・ディカプリオ の相棒役(オールバックのあの人!)で一躍知名度が上がったジョセフ。実はこの役、もともとはジェームズ・フランコ に打診されていた。確かにこの二人は、色気とセクシーなまなざしが似ている。
若いころからテレビドラマで活躍したジョセフは、演技力の高さも評判だった。なのに、話題作・超大作への出演が多くない理由は、「いい台本がなければ出ない」というスタンスだからだそうだ。ジョセフ的信念はほかにもあって「権力やお金、成功は重要じゃない」と言う。たとえ小さな作品だろうと、映画ファンが満足できる作品を作る、それがジョセフの映画道なのだ。今、一番待ち遠しい作品は、クリスチャン・ベイル 演じるバットマンの味方側の警官役で出演する『ダークナイト ライジング』 (2012年夏公開)。脇役とはいえ、キラリと光るものを見せてくれそうだ。
『ダークナイト ライジング』撮影中
Bobby Bank / WireImage / Getty Images
名前を聞いてもピンと来ない人は多数いるであろう、ジョナ・ヒル 。日本では、彼の出演作はビデオスルーになることが多く、なかなかお目にかかれないのだが、ついに来ましたメジャー作品! 絶賛公開中のブラッド・ピット 主演『マネーボール』 。ブラピ演じるビリー・ビーンの右腕としてマネーボール理論を展開する重要な役どころ。今回シリアスな作品で存在感と演技力を遺憾なく発揮。演技の幅の広さを見せつけ、アカデミー賞助演男優賞候補とウワサされるほどだ。
ぽっちゃり体形からか(?)、コメディー作品への出演が多いが、「イケメンよりフツー(の外見)の人の方が面白おかしく演じるのは簡単だよ。もがき苦しむ人を見るのがおかしいのであって、ブラピがもがき苦しんでも何だか真実味がないだろ?」な~んて、強がりとも思える発言も。
しかし、彼は昔からめちゃくちゃ体形を気にしているのだ! そして、最近のジョナは、何と激やせ中! 3年間付き合った彼女と別れたせいか、はたまたダイエットの成果かはわからないが、太り過ぎは体に悪く、命にかかわるからダイエットをしたというのがもっぱらのウワサ。ただ、まだ中途半端な体形なので、仕事のオファーに影響がなければいいのだが……。
来年には、『ジ・アポカリプス(原題) / The Apocalypse』というインディーズ系俳優大集合のアクション・コメディーが控えている。監督はセス・ローゲン 、出演はセス、ジョナ、ジェイ・バルシェル という今をトキメク(!?)3大インディーズ系俳優が共演。ジェームズ・フランコ も出演。ニュースでは、ダニエル・ラドクリフ が主演すると報じられたが、どうやら違うようだ。ただ、死体役として有名人を多数カメオ出演させたいと語っていたセス。果たしてその中にダニエルくんがいるのかも?
『マネーボール』より
おお! やせましたね! のジョナ
Gustavo Caballero/Getty Images
10歳からキャリアを積み、昨年『ソーシャル・ネットワーク』 で一躍時の人となったジェシー・アイゼンバーグ 。さえない男といわれながらも、長年付き合うぽっちゃり体形の彼女・アンナともラブラブで、公私共に順風満帆そう。
『ソーシャル・ネットワーク』 では、ジェシーと似た、シリアスさの中にユーモアを持ち合わせる芸風(?)のシャイア・ラブーフ がオファーされていたが、シャイアは断っていた。またシャイアは、ジェームズ・フランコ が主演した『127時間』 のオファーも断り、来年公開予定のマット・デイモン 主演で大ヒットしたボーンシリーズ『ザ・ボーン・レガシー(原題) / The Bourne Legacy』のジェイソン・ボーン役を断っている。そのため、この作品ではジェイソン・ボーンは出てこず、新しいキャラクターが主役となる。
結局のところ、ハリウッド製作サイドではシャイアが大人気なのだが、その後釜とはいえ、インディーズ系俳優がキャスティングされているということは、シャイアもウカウカしていられまい。
さて、ジェシーの作品選びはというと「重要なのはコンセプトよりキャラクター」と語る。キャラクターの視点を通して物語が展開することで、俳優としてやれることが多いと考えているそう。そのジェシーの新作は『ピザボーイ 史上最凶のご注文』 (12月3日公開)。笑えてしまうほどピザ屋の配達人の格好がしっくりくるジェシーが、ワナにはめられ銀行強盗をするというコメディー映画。設定の面白さはあくまでボーナスみたいなもので、重要なのはキャラクターだと語るほど、キャラクターの感情を大切にするジェシーの演技は、緻(ち)密。その役者魂を買ったのはウディ・アレン 監督! 待機作『ザ・バップ・デカメロン(英題) / The Bop Decameron』には、エレン・ペイジ 、ペネロペ・クルス らと共演する。
ジョセフやジェシーをはじめ、脇役を多く演じてきた彼らが主役を張る時代。トム・クルーズ 、ジョニデ、ブラピ、キアヌらの下の世代の層があまり厚くないハリウッドでは今、インディーズ系俳優のモテ期が到来しているようだ。
主役は右端のジェシーですが……
Jemal Countess/FilmMagic
『ピザボーイ 史上最凶のご注文』
文・構成:シネマトゥデイ 片岸朝香
ADVERTISEMENT
関連記事
関連作品を配信サイトで視聴
※VODサービスへのリンクにはアフィリエイトタグが含まれており、リンク先での会員登録や購入などでの収益化を行う場合があります。