『宇宙兄弟』小栗旬&岡田将生 単独インタビュー
「僕たちなりの兄弟を作っていこう」とした
取材・文:シネマトゥデイ編集部 写真:写真:吉岡希鼓斗
累計発行部数800万部を突破した小山宙哉の大ヒット同名漫画を、森義隆監督が実写化した映画『宇宙兄弟』。かつて捨てた宇宙飛行士の夢に挑戦する31歳の南波六太を演じるのは、映画『キツツキと雨』などさまざまな役柄に挑戦し続けている小栗旬。幼いころに兄と交わした約束通り、宇宙飛行士となった弟の南波日々人役に、映画『告白』『悪人』で実力派俳優としての頭角を現した岡田将生。テレビドラマ以来、約5年ぶりの共演を果たした小栗と岡田が、久しぶりの共演、そして「兄弟のきずな」を語った。
「イケパラ」以来、約5年ぶりの共演!
Q:お二人は、ドラマ「花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス」から約5年ぶりの共演ですが、兄弟役ということを聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
小栗:岡田くんに最初に会ったころは、まだ彼は10代でした。でもその後、いろんな作品に出て活躍している姿を見ていたので、5年の間にどう変わったのか楽しみでしたね。
岡田:うれしかったです。小栗くんは、演技に対してとてもストイックで、いろんなアプローチの仕方を持っている方。尊敬している方と久しぶりに共演できるということで、自分の成長を少しでも見せれたらなと。
Q:5年前、小栗さんは24歳で、岡田さんは17歳。当時の思い出はありますか?
小栗:当時は、僕がすごくピリついている時期だったから、本当に誰にでもかみついていたと思います。優しいまなざしで後輩を見るということがほとんどなかったから、将生も絶対良い印象は持っていなかったと思うよ?
岡田:確かにイライラしているイメージがありました。でも、その反面優しいところもたくさんあって、僕が20歳になってからは、飲みに誘ってくれるようなアニキ分だったり。だから、ただ怖いというイメージだけではないです。
小栗:同じ陸上部ってことで、結構絡むシーンが多かったからね。だからほかの人たちよりは、しゃべる機会が多かったはず。
岡田:はい。いまだに覚えているんですけど、「おまえは絶対にしゃべんないほうがいいぞ。かっこいいのに、もったいない」って言われたことがあったんです(笑)!
小栗:そんなこと言った!? うわ~、いやだねえ。あのころは、本当に自分が世界を動かしている、ってくらい思っていたからなあ……恥ずかしすぎる(笑)。
小栗&岡田版『宇宙兄弟』が完成
Q:原作を映像化するにあたって、特に意識したところはありましたか?
小栗:現場に入る前に、森監督から「原作が伝えたいことをきちんとベースにして、映画として自分たちなりのアプローチをしていこう」と、映像化への思いを聞きました。例えば、原作だとムッタの心の声が結構描かれているんですが、今回はそれをモノローグとして入れずに、俳優の表情から感じてほしいという監督の意図をくんで、演じていたんです。違う監督だったらそうはなっていなかったかもしれないし、僕としてはそれが、僕らが作った『宇宙兄弟』の面白さの一つになっていると思いますね。
岡田:そうですね。監督から、「僕たちなりの兄弟を作っていこう」と言われていたので、ヒビトの性格のベースだけを大切にしながら、自分なりのキャラクターを演じることができました。
小栗:岡田くんには男の兄弟がいないから、最初に「男兄弟とは」というディスカッションを、監督と3人でしたんだよね?
岡田:お兄ちゃんがいる小栗くんに、兄弟の関係をいろいろ教えてもらって、「男同士の兄弟って、常に戦っているんだなあ」って思いましたね。ライバル心があるのって、たぶん男同士だからこそですよね。姉と妹がいる僕には、経験したことがないことだったので、すごく新鮮でした。いろいろなタイプの男兄弟がいるとは思いますが、ムッちゃんとヒビトの関係ってすごくうらやましかったので、小栗くんとそういう兄弟関係を築いていくのは、とても楽しい時間でした。
映画で生まれた、小栗と岡田の兄弟愛!
Q:小栗さんよりも岡田さんは七つ年下で、本当の兄弟みたいですね?
小栗:この作品にかかわってから、すごく仲良くなることができましたね。でも最近将生が忙しそうで、本当に心配なんです。僕も20代前半は本当に忙しくて、例えば、こういう映画の取材一つとっても、撮影を振り返る余裕すらなかったくらいだったから……。同じような経験をしてきた分、今の彼の大変さがすごくよくわかるんですよね。
岡田:僕も、「イケメン♂パラダイス」のときの小栗くんの気持ちが、よくわかりますね。(突然、小栗が岡田の手にコップの水を垂らす)わぁああ! 何すんだよっ! オレ、今しゃべってんの!(一同爆笑)……もう小栗くん、いつもこんな感じなんですよ。せっかく良いこと言ってくれたと思うと、すぐこうやって僕をからかうんです! たまに会いたい、お兄ちゃんですね(笑)。冗談ですけど。
小栗:(笑)! これまでは、取材も一人で受けることがほとんどだったんですが、この作品では将生と一緒に取材を受けたり、テレビに出られるので、うれしいですね。僕が話しているときに、隣で「オレが言いたかったこと、全部言われた」みたいな顔をして僕を見ているのが、楽しくて仕方ないんですよ(笑)。自分の中では、「オレが映画のことをすべて言うから、あとは将生がオレのことを褒めるだけね!」っていうパスを送っているつもりなんですけどね。全然、褒めてくれないんですよ(笑)。
岡田:えっ! そうだったの!?
小栗:そうだよ! だってオレから、「将生、オレのことを褒めろよ」とは言えないでしょ? オレが映画のことを話して、将生がオレのことを褒めたら、「いやいや岡田くんも」って言えるわけだよ。でも、全然うまく回ってないので、この場を借りて伝えさせていただこうと……(笑)。
岡田:そっか……。いや間違ったこと言ったら、ぶん殴られちゃうと思って。だからすごく緊張しながら、話をしているんです。
小栗:オレ、ぶん殴ったりしないじゃん(笑)! むしろ、いつも将生にへこまされているよ。
Q:撮影を楽しまれたことが、お二人の様子から伝わってきますね。
岡田:男の役者さんとこうして二人でインタビュー受けたりするのが初めてなので、僕も楽しいんです! 現場でも、小栗くんからたくさん学ばせてもらいましたが、まだまだ映画『宇宙兄弟』のプロモーションは続くと思うので、盗めるところはどんどん盗んでいきたいですね。
小栗:この作品に関しては、こうして振り返っても「いい作品ができた」って胸を張って言えることがすごくうれしいんです。
岡田:本当にそうですね。出来上がった作品を観たとき、僕が撮影に参加していなかったシーンも、そのときに初めて観たんですが、すべてが本当に面白くて。自信を持って、いろんな人に「ぜひ観てください」って言える作品に仕上がったと思います。
インタビュー中、岡田にちょっかいを出す小栗と、それにいいリアクションで答える岡田の二人は、まるでやんちゃな兄弟のよう。普段の取材では、ストイックに役づくりを振り返ることが多い小栗が、岡田の前は子どものような笑顔を浮かべている姿がとても印象的だった。映画『宇宙兄弟』最大の武器は、日本の映画界の先頭を突っ走る二人の俳優の間に生まれた熱いきずなかもしれない。
(C) 2012「宇宙兄弟」製作委員会
映画『宇宙兄弟』は5月5日より全国公開