『今日、恋をはじめます』武井咲&松坂桃李 単独インタビュー
恋愛は二人だけの秘密が増えていくのがいい!
取材・文:南 樹里 撮影:氏家岳寛
絶大な支持を集める水波風南の超ベストセラーコミックから誕生した『今日、恋をはじめます』は、映画『アナザー Another』の古澤健監督が満を持して臨んだ純愛ラブストーリー。美少女だが古風なヒロイン、日比野つばきを演じた武井咲は、まるで少女漫画から飛び出したようなシンデレラを好演。その武井を受け止める松坂桃李も、全女性にとって理想の王子様というべき椿京汰を体現してみせた。武井&松坂、旬の二人が自身の恋愛観を交えて本作の胸キュンの魅力を語った。
恋愛と音楽の記憶はリンクする!
Q:究極のトキメキ映画をありがとうございます。少女漫画の世界をできるだけリアルに実写化する秘訣(ひけつ)は何でしょう?
松坂桃李(以下、松坂):やっぱり生身の人間がやるからこその空気感というものがありますし、そこは漫画では伝わらないものだと思っていたので、撮影中はコミュニケーションを取ることを大事にしました。
武井咲(以下、武井):女の子だったら「こういう恋っていいな」と憧れると思いますし、わたしも共感しながら撮影していたので、お芝居というよりも擬似恋愛しているかのように撮影を楽しんだことが良かったのだと思います。
松坂:あれが理想の恋なんだ(笑)。
武井:わたしの理想とは少し違う部分もあるけれど、女の子がキュンキュンするシチュエーションがいっぱいあるから、この物語はすごく人気があるんだと思います。
Q:劇中はもちろんのこと、お二人の現場でのイチャイチャぶりに古澤監督が嫉妬したとか。それほど相性が良かったということですよね。
松坂:そうですね。武井はどう思った?
武井:役柄の距離感が、実際の現場でのわたしたちの距離感と似ていたんです。わたしは松坂さんを信頼していたので余計な心配をすることなく、お芝居に専念できて良かったと思っています。
松坂:監督から「待ち時間もできるだけ二人一緒にいるように」と言われましたし、現場では彼女のことしか考えていませんでした。それに気が付くと常に彼女の姿を目で追っているんですよね。今回で3度目の共演となる武井が相手役だったことで、どのシーンもやりやすかったです。
Q:12曲ものテーマ曲がある本作に絡めて、お二人には思い出の恋愛ソングはありますか?
松坂:確かに恋愛と音楽の記憶ってリンクしますよね。僕は高校時代によく聴いていたMONGOL800かな。
武井:わたしは好きな人がよく聴いている曲ですね。急にそれまでとまったく違ったタイプの曲を聴き始めたら、恋をしている証しです(笑)。
咲と桃李が妄想するクリスマスデート
Q:古澤監督は、ご自身が男子校出身だからこそ本作で(恋の)妄想を爆発させたと公言していますが、現場ではどのようなご様子でしたか?
武井:(思い出し笑いをしながら)クリスマスシーンの「かわいい!」の一声が印象的でした。
松坂:そうそう。つばきと京汰が付き合って、初めてクリスマスプレゼントを渡すモンタージュのシーンを撮影しているときに、古澤監督が「カット!」と声を掛ける代わりに、(口調をまねて)「はい、かわいい!」とおっしゃったんです。
武井:「かわいい!」っておっしゃる監督がかわいいですよね(笑)。
Q:クリスマスの話が出たところで、理想のクリスマスデートを妄想してください。
松坂:僕は特に二人きりということにはこだわらないので、みんなでワイワイとするホームパーティーがいいです。プレゼント交換なんかも楽しそうですね。
武井:わたしはほんの少しの特別感があればいいので、お家で彼と二人きりで過ごすデートがしたいです。彼のリクエストを聞いて、わたしの手料理でおもてなししたいな。当日は二人で買い出しをして、最後に一緒にケーキを選ぶんです。
松坂:あまいっ! クリスマス当日にケーキを買うのは無理でしょう。売り切れちゃうよ。
武井:じゃあ、わたしが事前に予約しておく。
松坂:何ケーキ?
武井:……チョコレートケーキかな。
Q:二人でお料理を一緒に作るとか?
武井:それもいいですね~。でも、わたしの場合は、恋人に食べたいものをリクエストしてもらって、お料理は任せてほしいです。
松坂:「手伝って」と言われれば一緒に作ります。一応、キャベツの千切りとかはできるので。でも、あまり手出しはしたくないかな。
武井:もしも松坂さんが彼女より上手だったら気まずいでしょう? それで、松坂さんは何をリクエストするの? (顔をのぞきこんで)オムライス?
松坂:ま、そうかな(笑)。それもクリスマス用のアレンジで!
5回のキスシーンで最も印象深いのは?
Q:個人的には、京汰がつばきちゃんに触れるときのフワッとした手つきがツボにはまったのですが、そこは監督の演出でしょうか。
松坂:「フワッ」ですか(笑)。
武井:わたし、それわかります! つばきちゃんを思う京汰の優しさが、デートでの手の差し出し方や頭をポンポンするしぐさに感じられますよね。あれは演出ではなくて、松坂さんの素の優しさだと思います。
松坂:(照れ笑い)。僕も今回初めて、武井のクセに気が付いたよ。椅子に座るとき、ピョンって勢いよく座るよね?
武井:(照れ笑い)
Q:それにしてもキスシーンが5回あるって、すごいです!
松坂:そんなにあったんだ!
武井:この映画のテーマが「キスからはじまる恋」ですから、それが自然かも。
松坂:最初に撮影したのが、冒頭の教室でのファーストキスでしたね。よくキスシーンの撮影秘話について聞かれるんですけど、少人数のスタッフで撮影したとか、本当にないんですよ。ご期待に添えず、スミマセン(笑)。
Q:では、最も印象深いキスシーンは?
武井:わたしは京汰の誕生日のキスかな。
松坂:僕は図書館のキス! 本棚の間でこっそりっていうあの感じが、付き合っていると二人だけの秘密が増えていくという過程をよく表していると思うから。
武井:あのシーンをスチール写真で見直して、松坂さんの言っている意味がわかった。あそこにいたんだなと思ったら、また戻りたいと思いました。
松坂:そうですか、こちらは戻ってきていただければいつでも(笑)。
真冬に撮影した夏の海辺のシーンに鳥肌
Q:1月から3月という冬の寒い時期に四季を撮影するのは大変でしたね。
松坂:特に海辺のシーンは本当に寒くて、武井は鳥肌が立つほどなのに頑張っていました。いろいろ撮りましたけど、監督が青空にこだわったので、最終的に本編ではカットされている部分が多いんです。
武井:それから現場では、古澤監督がトイカメラでコマ撮りしてパラパラ写真を撮影されていました。その四季折々の風景がエンドクレジットで映るので楽しみにしていてください。
Q:最後に、改めて本作の楽しみ方を教えてください。
武井:恋愛ファンタジーのデフォルメした映像は、例えばシロクマに乗って揺られるシーンはグリーンバックでしたし、現場では絵コンテを見せてもらっただけだったので、出来上がった本編を観たときの喜びはひとしおでした。キラキラした思い出になっています。尊敬し合える相手との恋愛で成長していくつばきの姿を見て、やっぱり恋っていいなと前向きな気持ちになっていただけたらうれしいです。
松坂:完成作を観たら撮影中の記憶がいろいろとよみがえってきて、恋をしていた時期を懐かしく感じました。12曲のテーマソングが恋愛に対するテンションを盛り上げてくれて、後味も爽やかなラブストーリーなので恋の活力っていいね、と思える作品です。個人的にはカップルで観てほしくて、初デートでもOKだと思いますし、ぜひデートのプランの一つに組み込んでほしいですね。
監督が嫉妬を口にするほどラブラブのカップルを演じた二人に改めて拍手! 武井と松坂は、つばきと京汰という役柄のままスクリーンから飛び出してきたかのように仲むつまじく、胸キュンの世界観を大切にして本作を振り返った。少女漫画という題材から一見ティーン向けの恋愛ファンタジーと思われがちだが、オトナ女子が観ても胸キュン必至の作品となっている。人恋しくなるこの季節に鑑賞すれば、あなたの恋愛温度もきっと上昇することだろう。
(C) 2012映画「今日、恋をはじめます」製作委員会 (C) 水波風南 / 小学館
衣装協力(武井咲):Lamp harajuku原宿店
映画『今日、恋をはじめます』は12月8日より全国公開