スペシャルドラマから連続ドラマ、そしてスクリーンへと進化を遂げた新作映画『ストロベリーナイト』。主演の竹内結子と共に、本作の人気を支え続けてきたのは、寡黙で繊細な刑事・菊田を演じる西島秀俊だ。これまで数々の映画賞を受賞し、今年の大河ドラマ「八重の桜」の好演が早くも話題を集めている実力派の彼が、自身の役者人生を語った。 |
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大学在学時代から役者道を志すこととなった西島。彼が映画界に惹(ひ)かれた理由は何だったのだろうか? 西島は「中学生や高校生のころは、役者になりたいという気持ちは全くありませんでした。ただ昔から父親にはモノを作る仕事に就くよう言われていたので理系の大学に入りましたが、入学後、別のことに挑戦してみたいという思いが生まれて……」と当時を振り返る。 |
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「大学をやめても後悔しない道は何か」と思い悩んでいた矢先、映画界への興味を抱かせたのは、今月15日に他界した故・大島渚監督の言葉だった。「大島監督が、撮影所の様子、映画作りの魅力を語っていらしたのを聞く機会がありまして。当時は映画のことを全く知らなかったんですが、映画を撮影する毎日が送れるのならきっと何があっても楽しい毎日を過ごしていけると思ったんです」。西島は映画界を目指し、「撮影所で仕事をしてみたい」といろいろな知り合いに声を掛けて仕事を探し始めたという。 |
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役者を志すきっかけとなったという、故・大島渚監督 |
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西島はデビューの頃にテレビドラマ「はぐれ刑事純情派」の若き巡査役を演じた。当時はテレビドラマもフィルムで撮影されており、スタッフや監督も職人かたぎの厳しい人間が多かった。21歳で「撮影現場」の土を踏んだ西島は、撮影初日からプロからの洗礼を受けたという。
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「朝からの撮影だったので、コンビニで朝ご飯を買って行ったんです。あいさつしようと思って監督のところに行ったらそのビニール袋はなんだ? と。朝飯ですって答えた瞬間、現場に朝飯なんて持ってくるな! とめちゃくちゃに怒鳴られました(笑)」と懐かしそうに20年前の衝撃的な思い出を振り返った。ちなみに、西島は、同ドラマ以来一度も刑事ドラマに出演していなかったそうで、「ストロベリーナイト」の菊田和男役は実に18年ぶりの刑事役だったという。「ずっと刑事役を演じたかったので、本当にうれしかったです」。
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『ストロベリーナイト』より
(C) 2013 フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社
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今月26日から公開される映画『ストロベリーナイト』は、2010年にフジテレビ系列のスペシャルドラマとして放送。その後2012年には続編が連続ドラマとして放送、そして今回の映画化……という異例の進化を遂げた作品だ。スペシャルドラマから、竹内結子が演じる姫川玲子の実直な部下・菊田を3年にわたって演じてきた西島は、「菊田役は僕がずっと演じてみたかった役柄です」と笑顔を浮かべた。 |
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「実直で寡黙で、昇進に興味がない。男くさい世界で生きているような職人かたぎの刑事が好きで、デビュー以来ずっと演じてみたかったから、とてもうれしいです」と役柄の魅力を語り出せば止まらなくなるほど本作への思い入れは強い。「20代は優しい役柄が多かったですが、この役を演じてから、タフな男の役を頂くようになったのではないでしょうか?」と話すように菊田役は西島の「男の強さ」という新たな魅力を引き出した。 |
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『ストロベリーナイト』より
(C) 2013 フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社
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映画『ストロベリーナイト』の現場でも、年上の役者の演技を見ては「こんな演技ができるようになりたい」と日々勉強をしていたという西島。彼自身も年を重ねるごとに男としての魅力を増し、俳優としても、役柄の幅を着々と広げていっているが、そんな西島が今後目指す理想の俳優像を聞いてみると、「もっと徹底した役づくりをしていきたい」という答えが返ってきた。
「最近、映画『CUT』で海外の監督さんと組ませていただいて以来、役づくりに対するこだわりが、より強くなりました。目標の設定もすごく高くなったので、空回りすることも少なくないです」。「頭がおかしいんじゃないか? って思われるほど役を作り上げていく役者の一員に僕もなりたい」と語った西島の目からは、俳優としての強い覚悟が伝わってきた。 |
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映画『ストロベリーナイト』は、人気同名テレビドラマの映画版。主演の竹内結子が、ノンキャリアから警視庁捜査一課の刑事にまでのし上がったタフなヒロイン・姫川玲子を熱演。映画版は、誉田哲也原作の人気作品「インビジブルレイン」を基に描く。姫川に思いを寄せる菊田の恋のてん末にも注目したいところ。
映画『ストロベリーナイト』は今月26日より全国公開 |
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(C) 2013 フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社 |
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取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆 |
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