『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』大泉洋&松田龍平 単独インタビュー
男の強さも弱さも「かっこいい」
取材・文:編集部 森田真帆 写真:奥山智明
2011年9月に公開されて大ヒットを記録した映画『探偵はBARにいる』の続編が約2年ぶりに公開。大泉洋が演じる探偵の「俺」と松田龍平演じる「相棒」高田の凸凹コンビが、尾野真千子演じる男勝りなヒロインと共に札幌を再び駆け抜ける! 痛快なアクションシーンの裏側から、おなじみのレアキャラまで、ファン待望の続編の全てを大泉と松田が語り尽くした。
大泉洋は足が速かった!
Q:久しぶりの共演となりましたが、いかがでしたか?
大泉洋(以下、大泉):龍平くんは、久しぶりに会っても全然変わっていなかったですね。どこか助けたくなっちゃう人なんです。一度現場で龍平くんが体調を崩したことがあったんですけど、そのときの僕の仕切りっぷりはわれながらすごかったですね。札幌の病院も東京のはりもどっちも僕が手配して……龍平くんのことは、俺に任せろ! って感じです。撮影の2か月間は、なんとも言えない龍平くんの独特な空気感を感じているのがとても楽しいんです。
松田龍平(以下、松田):大泉さんとの共演は、安心感がありますね。今回久しぶりにお会いしたときも、ほっとするというか。僕は東京生まれ、東京育ちなのですが、どこか帰ってきた感があって。そう思えるのは、大泉さんのおかげだろうなと思っています。
Q:アクションも満載でしたね!
大泉:皆さんにはぜひとも、前回にも増してさらにパワーアップした高田の強さに注目してもらいたいですね。彼の蹴りの威力には毎回びっくりさせられるんですが、今回は本当にすごすぎるんで(笑)。電車での乱闘シーンは怖かったですね。電車ってバックができないので、一度撮影すると何駅も先まで行ってから切り替えして帰ってくるんです。撮影の時間も限られていたのでテストができず、ぶっつけ本番になることもありました。そして電車から落とされそうになるシーンでは近づいてくる駅にぶつかったら死ぬのに、駅との距離感がわからなくて本当に怖かったです。
松田:前作より探偵が走っているのですが、大泉さんは足がすごく速いんですよ。僕、結構足には自信があったのですが、本気で走っても追い付けない。10歳も上なのにすさまじい速さなんです。
大泉:龍平くん、バカですよ~。しまいには僕を抜こうとしますからね! 僕を抜いちゃうと話がおかしくなるから「抜くな!」って言っているのに抜くんですよ(笑)。だから何回も走らされて、最後には足が死にそうになりましたから! それなのにこの人、「仕方がないから今日は引き分けということで」とか言っちゃってね。意味がまったくわからないです(笑)。
松田も大爆笑のアドリブとは?
Q:今回はアクションだけではなく、笑えるシーンもたくさんありましたね。
大泉:そうなんです。いわゆる公開前のマスコミ向けの試写会って結構ドライな感じなんですが、笑いが起きているというのを聞いてうれしくなりましたね。意外に好評なのが、探偵のことを愛してやまない喫茶モンデの峰子(安藤玉恵)が登場するシーン。あそこはアドリブ連発だったので面白かったですね。
松田:変な外国語しゃべっていましたよね(笑)。
大泉:そうそう! まあ観ていただければわかると思うので、本編を観ていただきたいんですが、あそこで僕が話している外国語はちゃんと龍平くんの携帯で調べてもらった言葉なんですよ。
松田:意味のわからない言葉を調べていましたよね。あれ、本当に合っているんですかね? でも、通じるかどうかもわからない言葉をまるで母国語のように言える大泉さんが本当にすごいなと思いましたね。あそこまで自信を持って言ってもらえるならそれでいいやとなってしまうんですよね。
大泉:あれが何語かということを明言するつもりはないです。だってその国の人に、「さっぱりわからない」って言われたらショックですから(笑)。
Q:携帯で言葉を調べているなんて、松田さんは現場でもいい相棒なんですね!
大泉:そうなんですよ。普通そういうことは演出部が手伝ってくれるのですが、なぜか龍平くんが調べ出してくれて、みんながそれに頼っちゃうというね。
松田:僕の演じている高田が、探偵といつも一緒にいる理由を考えたとき、たぶん探偵の行動を見るのが好きなんですよね。探偵が今度は何をするんだろうとか、そういうちょっとした期待みたいなのは、大泉さんにもありますね(笑)。でも大泉さんにも探偵にも共通しているのは、信頼だと思います。
大泉:高田は、基本的に友達って探偵しかいないよね(笑)。パート3で高田がフットサルチームとか作ったら、ちょっとショックだもん!
二人が大好き!レアキャラ・佐山の魅力!
Q:今作には、現在のテレビではなかなか作れないようなシーンがたくさん盛り込まれていた気がしました。
大泉:僕は、この仕事をするようになってから初めて監督が役者に「シートベルトを外してください」って言う場面を目撃しましたね。それは、前作でも登場した波岡一喜さんが演じている花岡組の佐山に対してだったんですけど、確かに、ああいうちょっとクレイジーな感じのヤクザが、車で銃をぶっ放しているときにシートベルトしているなんておかしいですよね。だから、映画としての説得力はそうやって出るんだなって思いました。
松田:ボンネットに人を乗せて運転するのは初めてでしたけど、前日に練習の時間をもらえていたから楽しんでできました。前作より余裕でしたね(笑)。前作は本当に難しいアクションが多くて、精神的にかなり追い詰められましたから。
大泉:もうね、佐山の行動が僕たちにとって本当にツボで……。今回もそうだったんですけど、何でこの人はこういう行動をするんだろうっていうことばっかりするんですよ(笑)。佐山がでてくるだけで、爆笑していましたね。
松田:佐山は、「ルパン三世」でいう銭形警部みたいなんですよね。敵対してはいるのですが、どこか近いところでやっているという(笑)。何だかんだ言って、攻撃しながらどんどん僕たちに近づいてくる。たぶん、好きなんですよ、二人のことが。
大泉:あははは! あれ、近づきたいから来ているんだ! でもアメリカとかですごい人気のキャラクターになりそうだよね。みんなが「SAYAMA」ってプラカード持って、プレミアとかに来ちゃいそう(笑)。
大泉、尾野真千子のバイオリンを絶賛!
Q:待望の続編となりましたが、本作の魅力を語っていただけますか?
大泉:ヒロインの尾野真千子さんとの掛け合いも楽しみにしていてもらいたいですね。彼女のバイオリンシーンは本当に素晴らしかった! すごく練習したそうで、まるで昔からやっていたかのようなうまさでしたから。自分が演じているし、展開もわかっちゃっているからなかなか客観的には観られないんですが、ストーリーもわからない、初めて観るお客様にどんなふうに楽しんでいただけるのか。公開が楽しみです。
松田:現実的な部分と、非現実的な笑いのバランスを楽しんでほしいですね。それが、この映画の魅力だと思っています。「探偵」は、男のリアリティーが全て出ているキャラクターだと思うんです。男の強さも弱さも、ちょっと滑稽に見えるところとかも。全てを含めて「かっこいいなあ」と思えるところが、すごく好きですね。
大泉演じるハードボイルドな探偵と、松田のマイペースな相棒はまさにハマリ役! 「あのキャラクターが!」「あのシーンが!」と映画のことを話し出すと止まらない二人からは、このシリーズへの愛情がひしひしと伝わってくる。前作のスタッフたちと共に楽しみながら映画作りをしているからこそ、出来上がった作品が痛快なものになるのだろう。二人が「観客の皆さんの感想が早く聞きたい」と声をそろえたこの作品。前作よりもさらに笑って、泣いて、めいっぱい楽しんでもらいたい!
映画『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』は5月11日より全国公開