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第4回:マシュー・マコノヒー

『インターステラー』リレーインタビュー

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一足早く豪華キャスト&スタッフを直撃!クリストファー・ノーラン監督最新作『インターステラー』リレーインタビュー

 クリストファー・ノーラン監督が『ダークナイト』シリーズ完結後、初めて手掛けたSF映画『インターステラー』が11月22日に公開される。シネマトゥデイでは一足早くマシュー・マコノヒーアン・ハサウェイジェシカ・チャステインという豪華キャストとノーラン監督の妻にしてプロデューサーのエマ・トーマスを直撃! ノーラン監督最新作の秘密を、リレーインタビュー形式で4回にわたってお届けします。(取材・文・構成:編集部・市川遥)

第4回 マシュー・マコノヒー
『ダラス・バイヤーズクラブ』で第86回アカデミー賞主演男優賞に輝き、『マジック・マイク』『MUD マッド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など評価の高い作品に相次いで出演するなど俳優として乗りに乗っているマシュー。そんな彼が、世界的な飢饉(ききん)に陥った近未来を舞台にした本作で演じたのは元エンジニアのクーパー。居住可能な新たな惑星を探すという壮大なミッションに参加することになり、娘に「必ず、帰ってくる」と約束して宇宙へ旅立つという役柄だ。

Q:本作に主演するにあたってどのような準備をしたのですか?

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マシュー・マコノヒー
マシュー演じる主人公クーパーとマッケンジー・フォイ演じる娘マーフ

 クリス(クリストファー・ノーラン監督)のコンセプトを理解しないといけなかった。彼は叙事詩のような大きな概念を持っていて、その中でルールを作るんだ。劇中のタイムゾーンと場所にそれぞれたくさんのルールがあるんだよ。僕は常に「今日、僕らがいる世界のルールは何なの?」「この世界の論理はどういうものなの?」と質問していたよ。僕が4次元立方体やこの世界のルールについて尋ねたとき、彼はいつも完璧な答えを持っているわけじゃなかった。でも、彼は話し合うことが大好きなんだ。そして、いつも彼が戻ってくるときまでには全てを考え抜いていて、「これはこういうことなんだ」と話してくれた。彼は「退屈するのが大好きだ」と言うんだけど、素晴らしい言葉だと思う。「なぜ退屈するのが好きなの?」と聞いたら、「想像力を使うことができるからだ」と答えたよ。空港で乗り継ぎのために3時間待ち時間があるとしたら、彼はその3時間が好きなんだ。歩き回って、ストーリーや脚本のことを想像することができるからね。

 また役づくりでは、時間をかけて「対立すること」に取り組もうとした。どういうことかというと、パイロットで、ドリーマーでもあるクーパーは、宇宙へ行きたい。でも、現実は、状況が彼を地球に押しとどめている。それはどういうことか? 多くのことは家族に関係している。もし、地球を去るとしたら、それはどういうことを意味しているのか? それは彼の夢だけど、ただの個人的な夢じゃないとしよう。やる必要がある何かをやり、人類のためにそれをやるようにと求められるんだ。でも、自分の子供たちを置いていかないといけない。こうした「対立すること」に取り組んだよ。

インターステラー
宇宙船でワームホールに突入!

Q:初めてのノーラン監督作ですね。彼との仕事は予想していたものと比べてどうでしたか? 

 僕はこの映画を撮影しているとき、まるでインディペンデント映画を撮影しているみたいだということに驚いたよ。どれほどたくさんのおもちゃでも使えるし、世界中の誰よりもすごい視野を持った映画を作れる人と仕事をしているんだ。でも、撮影しているときは、全てがインディペンデント映画みたいなんだ。

 僕の彼に対する見方は……彼はとても頭がいいということは知っていた。彼は多分、威圧的な科学的完璧主義者だろうと思っていたんだ。でも、彼は完璧主義者じゃない。彼は、常にさらに遠くへ到達しようとしている。たとえ彼の望んでいたところに到達しても、さらにその先へ行こうとする。いつも自分自身をさらに超えようとしているんだ。だから少し荒削りになるところもある。彼はそれほど野心的なんだ。クリスはすごく細かいところにこだわるわけではなく、そのシーンの全体的な本質を探しているんだ。「これはうまくいくか? どうやればうまくいくのか? これがこのシーンの真実か? うまくいった。次へ進もう」というふうにね。

 彼は(スタンリー・)キューブリックや(デヴィッド・)フィンチャーみたいに80テイクとかやるんだろうと思っていたけど、そうじゃなかった。あと、大規模な映画だから待ち時間がたくさんあるだろうと思っていた。でも、僕たちはすごく速く撮影した。ペースは(指をパチパチ鳴らしながら)こんな感じ。そういう速いペースは好きだし、ワクワクさせられたし、予想していたものとは違っていたよ。

マシュー・マコノヒー
水の惑星に降り立ったクーパーたち

Q:ノーラン監督はあるシーンのために宇宙船を作ったと言っていました。そして、実際の映像を窓の外に流したそうですね? いかがでしたか?

 役者として行動するのをずっとたやすくしてくれたよ。グリーンスクリーンに何があるか想像する必要がなかったからね。彼は実物大のセットを作ったんだ。シーンを撮影していて、彼が「オッケー。これは70%で、残りの30%はポストプロダクションでやらないといけない」と言うことはない。全てをその場で見られるんだ。彼は、宇宙の様子を壁に映写してくれていて、僕らはそれをリアルタイムで追い掛けているわけだよ。想像しているんじゃなくね。「グリーンスクリーン上をテニスボールが動いているから、それに向かって演技してくれ」というんじゃない。クリスは、セットで4次元のリアリティーを与えてくれるんだ。それは、グリーンスクリーンやCGIで何かを想像するよりもずっと簡単で、ずっと楽しくて、もっとクリエイティブだよ。

マシュー・マコノヒー
氷の惑星の降り立ったクーパーたち

Q:ノーラン監督は自身が育ったブロックバスター映画の黄金時代を『インターステラー』で取り戻したいと語っていました。あなたに影響を与えたのはどんな映画ですか?

 僕が初めて観た映画は『キングコング』で、最後は泣いたよ。素晴らしいラブストーリーだと思った。それから、僕が映画学校に行き始めたころに強い印象を受けた映画は『エンゼル・ハート』だね。あと、偉大なポール・ニューマンとパトリシア・ニールの『ハッド』は僕の大好きな映画の一本だよ。『赤ちゃん泥棒』も大好きなコメディーだ。SFは特別好きというわけではなかったけど、『コンタクト』に出演した後、もっとSFに興味を持つようになったんだ。

Q:今おっしゃった作品にどうして惹(ひ)かれたのですか?

 そうだね、こういうことが言えるよ。僕が演じてきた多くのストーリーやキャラクターは、『ハッド』を例として使ってきたんだ。ああいうキャラクターはほとんど見ない。あのキャラクターは、基本的に最初から最後まで同じなんだ。それは僕が主演したテレビドラマ「TRUE DETECTIVE/二人の刑事」や映画『ダラス・バイヤーズクラブ』にも当てはまる。これらのキャラクターには、「おお、僕は間違っていた。そうだ、自分の生き方を正さないといけない」というような大きな変化というものがないんだ。実生活でほとんどの人々は、映画の登場人物たちが変化するほど大きく変化することはないと思う。難しいのは、もし映画の中のキャラクターがそれほど変わらないとしたら、どうやって映画でドラマ的なダイナミックさを見せることができるか、ということだね。僕は、人々が「(驚いて息をのみながら)オーマイゴッド。僕は一体何者なんだ? 僕は、こういうふうにならなくては」みたいな大きな変化の瞬間がない作品のファンなんだ。出来事が積み重なっていって、人々に変化が生まれるんだと思うから。

アン・ハサウェイとマシュー・マコノヒー
アン・ハサウェイふんする生物学者アメリアとクーパー

Q:たくさんの出演依頼がくると思いますが、出演作を選ぶとき、何が最も大事なのですか?

 キャラクターとストーリーと監督、それが三つの重要なことだよ。まず、僕が独自に解釈できると感じられるキャラクターを演じたいんだ。映画を観た後、「あの役は他の誰にも演じられなかった」と思ってもらえるような役をやりたいんだ。または、演じた後で、人々が「おお! きみはクーパー(『インターステラー』での役名)だね」とか、どんな役であれ「おお! あれは君だ。他にあの役を演じられる人を知らないよ」というようなものをね。それにまた、僕はいいストーリーやいい脚本に囲まれていたい。監督は? 僕は、船全体を指揮している誰かと一緒に仕事をしたい。なぜなら、彼らは編集室に行って映画を完成させるんだ。だから、たとえ全てのことに同意し合えなくても、何が素晴らしいか、何が素晴らしくないかについて似たバロメーターを持っている監督と仕事をしたい。それらが僕が必要とする三つのことだよ。僕を驚かせてくれるようなキャラクターで、僕がオリジナルのものにできると感じられるもの。僕自身が観たいと思うような、興味のあるストーリーで、よく書かれたもの。そして、僕自身がそうなればいいなと願っていたよりも、もっと良くしてくれる監督だよ。

Q:今、演じることの原動力となっているものは何ですか?

 今、役者として、ずっとパーソナルな経験をするようになっているんだ。そして、映画作りでどんな経験を得ることができるかに基づいて、仕事の選択をしようとしている。だから今、役を選ぶにあたって、少なくとも「今からリアルライフ(日常の生活)に戻るぞ。さあ、今から仕事に行くぞ」というふうに感じられないものを選びたいんだ。僕は、仕事を通して経験したいし、リアルライフで成長したい。これまで以上にね。これが仕事で、これがリアルライフだ、というふうに、別々のものとして感じないようにね。そうじゃないんだ。仕事もリアルライフだよ。それは僕がやっていることなんだ。だから「パーソナルな経験をしよう。仕事を通して成長させてくれ」ということだよ。

取材後記
上下ともてれんとした超ラフな格好ながら、記者が取材部屋に入ると立ち上がって「マシューです」と真っすぐ目を見てあいさつするなど、自然体である一方でとても真摯(しんし)なマシュー。大きなジェスチャーで、時に芝居風にもなる彼の話に誰もが引き込まれることは請け合いで、共演のアン・ハサウェイが「マシューが話しているのを聞くのはとても楽しいわ。とてもオリジナルな表現の仕方をするの」と語るのにも納得がいった。

『インターステラー』リレーインタビュー バックナンバー
第1回:エマ・トーマス
第2回:ジェシカ・チャステイン
第3回:アン・ハサウェイ

映画『インターステラー』は11月22日より全国公開
映画『インターステラー』公式サイト
(C) 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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