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日本が誇る名優が満を持して海外ドラマ初主演!「HELIX -黒い遺伝子-」真田広之ロングインタビュー

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日本が誇る名優が満を持して海外ドラマ初主演!「HELIX -黒い遺伝子-」真田広之ロングインタビュー

「バトルスター・ギャラクティカ」など優れたSFドラマで知られるケーブル&衛星チャンネルSyfy(サイファイ)による話題の新シリーズ「HELIX -黒い遺伝子-」が、いよいよ1月10日から日本で放映される。ハリウッド映画だけでなく、「LOST」「リベンジ」などの人気ドラマにゲスト出演してきた真田広之が、本作で初めてレギュラーでアメリカのテレビシリーズの主役を演じる。彼がロサンゼルスで、「HELIX」の見どころや、モントリオールでの5か月にわたる撮影の裏側を明かした。(取材・文:細谷佳史)

ハタケ博士は、真田をイメージしたキャラ!

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HELIX
病理学者でCDCの主幹アラン・ファラガット役のビリー・キャンベルとハタケの対立は、シリーズ前半の見どころの一つ

 本作で、ストーリーの鍵を握る研究施設の所長ハタケ博士を好演した真田。出演の経緯については、真田の出演作を観た番組のクリエイターから、出演のオファーと熱い手紙が真田の元に届いたそうだが、真田自身はそのオファーに対して喜びだけでなく、不安もあったという。
 「今までゲストでテレビシリーズに出たことはありますが、レギュラーとなるとちょっと話は違います。セリフの分量も違うし、役割もさらに大きくなるし、こういったサイエンス物はセリフが絶対に難しくなるというのが予想できましたから、簡単に引き受けていいものかと、おじけづく部分があったんです。でも、科学者としての冷たい部分と、一人の人間としての熱い思いが同居している複雑な役で、ただのミステリアスな男じゃないことが徐々に明かされるように書かれていて、そうした内容の面白さに惹(ひ)かれました。それと手紙の中に、ハタケという役は、僕のことをイメージして描いたと書かれていました。こちらでそういうことがあるというのは非常にありがたいことですし、そういった熱意に打たれたのが、やはり大きかったですね」

共演者にハタケ博士の秘密を伏せることで得られた効果

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ハタケの養子で、右腕として活躍するダニエル・アエロフ役のミーグワン・フェアブラザー。シリーズの後半、ダニエルとハタケの関係が大きなドラマとなっていく

 実は、ハタケ博士の意外な秘密がシリーズ終盤の大きな見どころとなっており、真田本人は事前にそのことを聞かされていたというが、共演者にはあえて明かさなかったそうだ。
 「それは役者同士の暗黙の了解みたいなもので、そのことを知らないふりをして、みんなで推測し合うんです。そういったことは連続物の面白さというか醍醐味(だいごみ)でもあると思うんですね。人生と一緒で、誰も本当に明日どうなるかが見えていないということなんです。予定はあるけど、その日になってみないとどうなるかわからないというような面白さが、テレビシリーズにはありますね。映画のように、全部を知っていて計算し尽くしてやるパターンもあると思いますけど、逆に点と点を一本の線で結ばなくても良いと言いますか、物語の展開を知らない方が、演技の振幅も広がるような気がするんです」

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準備の時間が少ないテレビシリーズでは、「最初に脚本を読んだ時の第一印象を大事する」と真田は語る。「途中細かいところは変わっても大筋は変わらないですし。第一印象を大事にし、後は現場でセッションし、毎テイク、基本通りですが、ちゃんと(相手のセリフを)聞いて、感じて、返すというキャッチボールを楽しんで、うそをつかないということですね。余分なことをする時間もないので、もう直球勝負ですね」

 とはいえ、「新エピソードの脚本が届くたびに驚かされ、一度覚えたセリフを撮影直前で一から覚え直すという苦労もしばしばだった」と語る。
 「毎回『こう来たか』というのがありましたね。このお題をどう現場で映像化していくかというのが、スタッフ、キャストにとって面白いところでした。予定調和で収まってしまうよりも、知らないことの面白さをどう使っていくかという方が興味深かったです。それと途中からキャラクターが一人歩きしていくみたいに感じるんです。そこにむちを入れたり、手綱を締める作業が入っていくという感じでしょうか」

時代に先駆けて描かれたウイルスの恐怖

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ハードな描写が登場するのは、ケーブル作品ならでは

 このドラマの大きなテーマの一つに、ウイルスの正体を突き止めるというのがあるが、その部分には、昨年世界的ニュースとなったエボラウイルスを彷彿(ほうふつ)させるところがある。しかし撮影中は、こういった世の中になるとは誰も予想していなかったそうだ。時代が作品に追い付いてきたことで、今観ると、ウイルスの恐怖がSF以上にリアリティーのあるものとして伝わってくる。

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日本版では、真田自身がハタケの吹き替えを担当している。「やはり自分の顔が映っている以上、自分でやりたいというのもあります。観ていただく方たちに違和感を与えたり、余計なことを考えてさせてしまうのは良くないので。(吹き替えを)できる限り自分でやるというのは、常に自分の中にあることなんです」

 「僕らは最初、近未来に起こりうる恐怖というところでやっていましたけど、このドラマのもう一つのテーマである遺伝子操作なども、いつこういったことが現実になってしまうかわからない、時代にマッチしたテーマではありますね。それと、こちらではキャッチコピーに、『神を弄ぶなら、その代償を払え』というのがありましたが、まさに神に挑んでいる部分があると思うんです。科学者として。そしてそこには当然倫理の問題もつきまとってきますし、科学が発達しても、その使い道次第では、良くも悪くも人類に及ぼす影響があると思うんです。地球を滅ぼすのも人間だけど、地球を救えるのも人間ということですね。そういったスケール感のあるテーマを掲げておきながら、その全てが人間ドラマに帰ってくる。男女、親子、兄弟、どの国でも理解しやすい普遍的な家族、肉親というところに全てが跳ね返っていく。壮大なテーマと普遍的な家族のドラマが融合している点が、このアイデアの面白さであり、作品の魅力になっているように思います」

ハリウッド映画にありがちな“不思議ニッポン”を払拭

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全編ダークで緊迫感に満ちた作品だが、それとは対照的に明るい音楽が使用されている点がユニーク。真田自身も番組のサントラをとても気に入っているという。「内容とミスマッチと思えるような1970年代のポップスがかかって、そのことがさらに恐怖を引き立てているんです」

 これまで映画では、『ラスト サムライ』『ウルヴァリン:SAMURAI』など、日本文化を描いたハリウッド作品に出演する機会が多かった真田だが、今回は日本人という部分をそれほど前面に出すことはしなかったとのこと。
 「ハタケは日本生まれの日本人ではあるんですが、北極の基地が舞台ということもあり、特に日本文化を背負うとか、日本人でないといけないという役でもないんです。ハタケのオフィスにある置物とかで、アジア色を出したいという小道具さんの意見もあったんですが、監督と相談して、あえて、『それはやめませんか?』ということになりました。ナニ人でも良い設定なので、日本人だとアピールする必要もないですし、逆にそれをするのは危険が伴うとも思いました。だから唯一、ブッダの置物が一つあるぐらいなんです。逆に言うと、いつもそういったことをチェックしたり、目を光らせていないといけない現場が多いので、今回その部分を取っ払えたことによって、僕としてはすごく楽に仕事できる状況になりました。ドラマをご覧になる方も、妙なアジア的なもの、日本的なものが出てこないので、安心して観ていられるのではないでしょうか」

活動の拠点をアメリカに移してからの10年

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CDCの有能な細胞生物学者、ジュリア・ウォーカー役のキーラ・ザゴースキー。真田との絡みが一番多い役どころだが、真田との共演について次のように語った。「(ヒロとなら)何でもやれる気がする。シーズン1を今振り返ると、わたしのベストの仕事のいくつかは、彼とのシーンだったわ。なぜなら、彼がわたしをとてもサポートしてくれていたからよ。彼は仕事をする上で本当に素晴らしい相手なの」

 『ラスト サムライ』をきっかけに活動フィールドを海外に移して約10年。ハリウッドで仕事をする日本人俳優として、今のアメリカの状況をどう捉えているのか。
 「こっちに飛び込んできた時は、小さい時から(アメリカの映画を)観ていて、かなり誤解されている日本人キャラが多いなと感じていて、何とか自分たちの世代でそれを直したいというのが課題の一つとしてありました。でも、作品にもよるのですが、今は紋切り型の役を押し付けられる時代は終わったかなと思っています。今、日本人やアジア人に求められているのは、特に日本人に対してですが、憧れや尊敬の念も込めて、やはり歴史の長さから来る精神性、神秘性、文化といったものだと思います。こちらにないものとして、そういったことが求められているような気はしますね。でも、先ほどのハタケが日本人じゃなくても成立するということでいくと、もっと普通の存在として、普通に日本人が映画にもテレビにも出ているという、変に文化を背負わなくてもいい時代にしたいなと思いますね。一歩進んで」

 番組の共演者のキーラ・ザゴースキーが、「ヒロはわたしが今までに仕事をした中で、最も作品に打ち込んで、一生懸命仕事をする俳優の一人だった」と、真田を絶賛していたように、こちらのキャストやスタッフの間で、プロの俳優としての真田の評価は非常に高い。地道な努力と実力でハリウッドにおける今の地位を築き上げてきた真田。「HELIX」の後に、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮による新シリーズ「エクスタント」では、オスカー女優ハル・ベリーと共演。世界を舞台にしたボーダーレスな活躍の場は、今後さらに広がっていきそうだ。

「HELIX -黒い遺伝子-」(全13話)

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映画『インターステラー』や『コンタクト』のプロデューサー、リンダ・オブスト、海外ドラマ「X-ファイル」の脚本を手掛けたスティーヴン・マエダ、「バトルスター・ギャラクティカ」の製作総指揮を務めたロナルド・D・ムーアら、そうそうたる顔ぶれが製作総指揮として参加。Syfyチャンネル史上最高の視聴率を獲得した人気シリーズ。北極にある巨大製薬会社の研究施設で、人類を滅ぼす可能性を持った危険なウイルスが発生し、疾病対策予防センター(通称CDC)の科学者たちがその調査に送り込まれるというサイエンススリラー。孤立した施設を舞台に、1話で1日分を描く全13話の緊迫感あふれる密室劇でもある。

全国無料のBSテレビ局Dlife(ディーライフ)にて、1月10日23時より日本放送開始!
吹替版:1月10日23:00~毎週土曜23:00~24:00ほか
字幕版:1月16日25:00~毎週金曜25:00~26:00ほか

「HELIX -黒い遺伝子-」公式サイト>

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